短絡耐量とは

短絡耐量とは、負荷が短絡したときにパワーデバイスが破壊に至るまでの時間を言い、SCWT、Tscなどで表記されます。パワーデバイスを用いた回路で通常動作では、パワーデバイスがオンしてドレインーソース間(MOSFET)に流れた電流は、回路に接続されている負荷へ流れ込み負荷電圧を生じさせます。もしもその状態で負荷が短絡すると、パワーデバイスはオンのまま電流が流れ、負荷は短絡で電圧がほとんど無くなってしまい、パワーデバイスには電源からの電流と電圧が同時に掛かる事になってしまいます。そうなるとパワーデバイスは急激に温度上昇を起こし、デバイスの定格を超えて破損に至ります。
短絡耐量は、万一の負荷短絡が起こった場合に、デバイス破損に至らせないように働く保護回路のための猶予とも言えます。

 

測定は下図のように、ドレイン電圧(VDS)をかけたまま、ゲート電圧で短い時間だけMOSFETをオンさせ電流を流します。少しずつオン時間を大きくしていき破損するまでおこないます。デバイスの耐量範囲のうちは破損しませんが、耐量を超えると破損します。破損するとドレイン電流(Id)が急激に増加しますので、その手前が短絡耐量になります。
なお高い電流電圧を使うため測定には危険を伴います。

Microchip SiC-MOSFETの場合

MicrochipのSiC MOSFETでは、一定の条件での短絡耐量がデータシートに記載されています。
例えば、耐圧定格が700Vと1200V製品の場合ですと以下のようです。

700V製品:3uS (typ, Vds=560V / Vgs=20V)

1200V製品:3uS (typ, Vds=960V / Vgs=20V)

短絡耐量は、ドレイン印加電圧、ゲート印加電圧、ジャンクション温度等に依存します。印加電圧が小さい、温度が低いと耐量は大きくなる傾向があります。参考としてMicrochipの測定例では、700V耐圧のSiC-MOSFETでVds350Vでは10uS程度でした。
短絡耐量が必要なアプリケーションにおいて、MicrochipのSiC-MOSFETはとても有用なデバイスとなるでしょう。

 

 

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