MOSFETのアバランシェ
MOSFETがターンオフする際に、負荷インダクタンスによるサージ電圧などで、MOSFETがブレークダウン電圧領域に入る場合があります。この時にMOSFET内部で逆バイアスされているPN接合がアバランシェ降伏を起こして、アバランシェ電流が流れ始めます。これがMOSFET内部でアバランシェ降伏が起こっている状態です。オフしようとしているMOSFETのドレインーソース間に、瞬間的に耐圧を超えた電圧がかかった状態です。
アバランシェ電流は、それがMOSFETの許容範囲内であれば、MOSFET内部で消費され熱となって放出されるだけです。
しかしアバランシェ電流が大きい場合、生じた熱でMOSFET規定のジャンクション温度を超えてしまう、あるいはアバランシェ電流によって寄生バイポーラトランジスタがオンしてさらに電流が大きく流れてしまう、といったMOSFETの故障に繋がります。
アバランシェ耐量とは
MOSFETのアバランシェ耐量とは、MOSFETがブレークダウン電圧に達しアバランシェ降伏を起こす際に、MOSFETが許容できるエネルギーを言います。MOSFETが許容できる、つまり規定のジャンクション温度を超えない範囲で、MOSFETがどれくらいのインダクタンス負荷電流を消費できるかを、エネルギーで表したものがMOSFETのアバランシェ耐量です。
アバランシェ耐量は、データシートでは、シングルパルスつまり単発に起こるアバランシェ状態での規定になっています。繰り返される場合は、アバランシェ状態に至らないような設計上の工夫が必要になる場合もあります。
Microchip社のSiC-MOSFETでは、MSC017SMA120B4 (1200V / 15mΩ) の場合で、3500mJ (@25℃)のアバランシェ耐量となっています。






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