ショットキーバリアダイオード(SBD)とは

ショットキーバリアダイオード(SBD)とは、金属とn型半導体の接触によるショットキー接合を用いたダイオードのことです。ショットキー接合とは金属と半導体の接触が整流作用を示すものを言い、その原理を用いて作ったダイオードがショットキーバリアダイオードです。ちなみに「ショットキーバリア」は、これを発見したドイツの科学者 Walter Hans Schottky氏(1886– 1976)にちなんで名付けられました。

一方、一般整流ダイオードやファストリカバリーダイオード(FRD)、ツェナーダイオードなどは、p型半導体とn型半導体のpn接合を用いて作られたダイオードになります。

ショットキー接合かpn接合かによる違いですが、それによってダイオードとしての特性に違いが出てきます。

SBDとSiC

SBDには、順方向電圧が小さい、逆回復がいらない、といった優れた面がある一方で、逆耐圧が取れない、漏れ電流が多いなど短所もあり、長短はっきりしていて、シリコン(Si)のSBDには使いづらい点がありました。その点、シリコンカーバイド(SiC)を用いてSBDを作りますと、SBDの短所だった点がカバーでき、かつ長所も備えたダイオードになって、「高耐圧」・「低VF」・「逆回復時間無し」 という高耐圧パワー用途に大変使いやすいものになりました。これらを加えて、マイクロチップのSiC-SBDは、アバランシェ耐量を確保しサージなどへも備えをしています。

下記に特徴をまとめて記載します。

SiC-SBD, Si-SBD, Si-FRDの主な違いまとめ

 

SiC-SBD

Si-SBD

Si-FRD

逆方向耐圧(VR)
SiCの特性によりSBD構造でも高耐圧可能
X
大きくても200V程度まで

pn接合で中高耐圧まで対応
逆方向漏れ電流(IR)
SiCの特性により高温でも漏れ電流増加が少ない
X
高温になると大きく増加する
VFと相反関係がある

高温になると増加、SBDほどではない
逆回復特性(Trr)
n型だけのユニポーラーのため逆回復電荷が生じない

n型だけのユニポーラーのため逆回復電荷が生じない

一般の整流ダイオードよりも優れるが、一定の逆回復電荷がある
順方向電圧(VF)
SiCはバンドギャップが大きいがSB接合のためSi-PN接合並み

SB接合で拡散電位が小さい

SBDよりも大きい、逆回復特性(Trr)と相反する傾向
順方向電圧ー温度
電流が大きい領域では温度ととにVFが上がるので、電流が減り熱暴走しない、並列接続が容易
X
温度が上がるとVFは下がる傾向、逆漏れ電流と相まって熱暴走することがある

温度とともにVFは下がる傾向

Microchip社のSiC-SBD

マイクロチップ社では、SiC-SBD製品を取り揃えています。

・耐圧:700V, 1200V, 1700V

・電流:10A ~ 50A

・順電圧:1.5V

・アバランシェ耐量:100mJ

・パッケージ:TO-220, TO-247, TO-268, SOT-227

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