モジュールとディスクリートの違いは何か。

ディスクリート製品は、1つか2つ程度のダイ(チップ)を1つのパッケージに入れたもので、パッケージにはTO-220, TO-247, TO-3P, DPAK, TO-268などJEDEC等の標準パッケージを使っていて、デバイスの種類も豊富です。お客様はこれを基板上に1つずつ配置し接続して回路を構成していくことになります。

対してモジュール製品は、数個以上のダイを組み合わせ互いに接続して、1つのパッケージに収めています。電気的にはフェイズレグやフルブリッジなどを網羅しています。外観の形状や寸法もディスクリート製品とは異なります。

 

モジュール製品のパッケージは、各メーカーで多く種類があり類似した物もありますが、ディスクリートのように標準化はされてなく各メーカごとの仕様になっています。一例ですが、下図で右端のモジュールはMicrochip社のSP6LIという、スイッチング特性の改善に役立つ3nH低インダクタンスパッケージで、寸法はおよそ108mmx62mmx17㎜ほどです。(例:MSCSM120AM02CT6LIAG

これはSiC-MOSFETのフェイズレグ(ハーフブリッジ)モジュールで耐圧1200V, オン抵抗2.6mΩの製品です。

ディスクリートとモジュール、パッケージの例
ディスクリートとモジュール、内部構成の例

モジュールのメリット、デメリット

例えば、大きな電流を流したい、あるいはオン抵抗を抑えたい、といった場合には、複数のMOSFETを並列に接続して動作させることがあります。しかし、この「並列」数が多くなってくると、回路設計、基板設計が難しくなる傾向があるため、そういった場合にモジュールを使うメリットが出てきます。メリットばかりだけではなく、もちろんモジュール使用するデメリットもあります。そこで、モジュールのメリット、デメリットを以下に記載します。


メリット
・モジュールは複数のチップを搭載しているため、基板上でディスクリートを並列接続する必要が無く、回路や基板の設計が軽減される。
・モジュール自体で一定の機能や電気特性が提供されている。
・ディスクリート品で組むのに比べて基板を小さくできる可能性があり、さらにSiCでは動作周波数を高められるため、
 トランス、コイルなど周辺の小型化ができ、アプリケーション装置の小型化や電力密度向上が期待できる。

 

デメリット
・基板設計や熱設計の面でモジュールの形状に依存してしまい自由度に欠ける。
・単価が高め、ディスクリートを数多く並べたほうが安いこともある。


従って用途に応じて使い分けにはなるのですが、脱炭素のこれからは、自然エネルギー、蓄電、EV車関連など大きい電力を扱う分野は大きな広がりが期待されます。

SiCモジュール製品がお役に立つ機会がこれまで以上に増えるのではないでしょうか。

マイクロチップ社のモジュール製品は?

Microchip社では、古くからモジュールビジネスを展開しており、航空宇宙をはじめ幅広いアプリケーションに適応する製品をご用意しています。多種類のパワーデバイスチップ、パッケージ等を揃え、それらを高品質に組み合わせた多くのモジュール製品をリリースしています。標準品の以外にもお客様の用途に応じたカスタムモジュールの対応をおこなっています。

Microchip社のモジュール製品には、SiCを使うものの他にもSiのMOSFETやIGBT、Diodeを搭載したものもあって、全体としてはかなり多くの品種になります。中でもSiCモジュールにはおよそ下記のような種類があります。本来なら、ここで製品名一覧などを掲載するところですが品種が多くあるため、別掲のメーカWEBサイトの資料へのリンクを記載させていただきます。
ここではご紹介しきれないほどですので、ぜひクリックしてメーカ資料をご覧ください。

Micochip社 SiCモジュールのタイプと回路形式

製品カタログ

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