※ 2023.05.10 本記事に記載しております Enpirion 製品は、生産終了通知がされております。詳細は、製品の生産終了通知 PDN 2133 をご参考ください。

はじめに

こんにちは。相変わらず日々奮闘中のなみぃです。
前回の記事では FPGA の基礎について書きました。
そんな私もこれでインテル(旧:アルテラ)の製品についての基礎は大丈夫だ。
……とはなりませんでした。

そうです。なぜならインテルの製品は FPGA だけではありません。
その中で今回は製品ラインナップの中の Enpirion®について紹介したいと思います。

Enpirion とは

Enpirion は DC – DC コンバーターという直流電圧を変圧する電源 ICです。
つまり PLD である FPGA とは全く異なる役割を持っているのです。
ちなみに DC – DC コンバーターについて詳しく知りたい方はどふぃの記事をご覧ください。
アナログの事なら彼が頼りになりますね!

そもそも何故アルテラは FPGA だけではなく電源 IC を扱っているのでしょう?
その背景をお話しします。
技術の進歩に伴い FPGA に搭載される各種機器の高機能化が進みました。
そのため、 FPGA は多くの機能を果たすために様々な役割を持った電源ピンを持つようになったのです(図. 1 )。

図 1 :Cyclone® V E においての電源

これらの電源ピンはそれぞれ違う役割を持っています。
別のシリーズではこれよりも電源の種類が増えます…。
更にあろうことか高性能化に伴い、Core 電源 ( VCC ) のためのより高精度の電源が必要となりました(表 1 )。

表.1 Core 電源部の電源要求

表 1 のように Cyclone® IV と比べて Cyclone® V は要求精度が上がっております
しかし、Enpirion には以下のような特長があり、複雑化した電源周りの問題を解決してくれます。

Enpirion の特長

なぜ Enpirion ならば低リップルかつ高精度の電源が供給できるのか?
それは 3 つの技術的特長によります。


1. 高周波のスイッチング回路を実現する技術

Enpirion はスイッチングレギュレーターであり、これはスイッチの ON/OFF により変圧をおこないます(図 2 )。

図 2 :スイッチングレギュレータイメージ図

Enpirion はスイッチの部分に EDMOS という技術が採用されており、高周波の動作が可能。つまり高速で ON/OFF ができます。
このおかげで低ノイズ化が実現できます(図 3 )。

図 3 : 高速スイッチング

2. 自社設計の高性能インダクタ(コイル)

Enpirion に使われるインダクターは設計者が物質から選定し設計しております。
それにより各製品に対して最適なインダクターを選定し採用することができています。
インダクタの性能や形はチップサイズ、実装面積、効率、ノイズ、リップルに多大な影響を与えるため、とても重要です。


3. 主要部品を内蔵することによる小型化

Enpirion はDC – DC コンバーターの主要部品
・コントローラー
・FET
・インダクター
をワンチップに収めることにより小型化されております(図. 4 )。

図 4 : Enpirionイメージ図

そのため、基板上で FPGA の近くに実装可能であり、配線による電圧降下を小さくすることができます(図. 5 )。

図 5 : Enpirion サイズイメージ

このような特長により Enpirion は精度の高い電圧を供給することが可能なのですね。
やはり丁寧に作られているものは性能が良いのですね!
私もハンドメイドで作られたギターや機材を使っていますがやはり音が抜群に良いです…!(著者はギタリスト)

終わりに

Enpirion はこのようにして FPGA が動作するための環境を整えているのです。
今後更に高機能化が進んでいくと考えると必要不可欠な存在ですね。
ちなみに Enpirion はもちろん FPGA 以外のデバイス電源としても使えます。
Enpirion ありがとう。
Enpirion の型番選定の方法はぽき先輩の記事に書かれているので こちらをご参照ください。

Enpirion🄬 製品から置き換えをご検討の方

Enpirion🄬 製品の生産終了により、置き換を検討する必要がでてきています。置き換え検討に最適な電源モジュールは、アナログ・デバイセズ社の電源モジュール μModule🄬 になります。置き換えご検討される際は、以下ページをご覧ください。