こんにちは、頭領です。

今回はちょっと回路設計がわかるようになった新人が、新たな領域に首を突っ込んだ結果、デバイスの外側で待ち受ける “ 荒波 ” に呑まれていく (?) 様子をお伝えし、その中で得た便利な情報を紹介します。



FPGA での回路設計も慣れてきて、周囲の先輩たちが発している単語の意味がだんだんわかるようになってきた頭領。

そして、その会話を聞いていると、どうやら最近では 「ギガ帯」 といった高速でデータのやりとりを行うようになり、それに伴って 「信号品質」 が重要になってくるようだ。

 

でもなぁ、そういう話はデバイスの外側の伝送路の話で、自分が普段使っている インテル® Quartus® Prime や ModelSim* - Intel® FPGA Edition といった、FPGA 内部に関わるツールとは関係ないんじゃないかなぁ…

 

と頭の中で考えていたら、それを見透かすかのようにお客様からお問い合わせをいただいた。

 

「 インテル® Quartus® Prime で作成したデザイン情報を IBIS モデルに反映させる方法を教えてください」

 

頭領の電話を持つ手は震えていた。今まさに、IBIS モデル、FPGA 、そして インテル® Quartus® Prime の間に、何かが生まれる瞬間を目にしようとしているのだ。



そもそも、IBIS モデルとは何か。

IBIS は I/O Buffer Information Specification の略称で、デジタル集積回路の入出力の電気的特性が記述されたテキスト・ファイルである。

このファイルは、メンター・グラフィックス社 HyperLynx® をはじめとする伝送路シミュレーション・ツールを使ってシグナル・インテグリティ解析を行う際に必要で、デバイスの電気的特性を考慮したシミュレーション結果を波形として確認することができるのだ。

 

インテル社の場合、ホームページで各デバイスに対応する IBIS モデルを提供している。

ホームページ右上にある 「FPGA向けダウンロード・サービス( 英語版では Download Center for FPGAs ) 」 をクリックすると、ダウンロード・センターのページが開く。

 

左側に並んでいるメニューの、ボード・レイアウト&テストの欄にある「 IBIS モデル」をクリック。

 

すると、IBIS モデルのページが開くので、そこで下にスクロールすると…

 

各デバイス・ファミリに対応した IBIS モデルのリストがあり、以下の 3 種類のファイルがダウンロード出来る。

 

1. List of Models : I/O Standard 等のスペックと、それに対応するモデル名のリスト

 

2. RSC Values : 各パッケージにおける抵抗、キャパシタ等の値

 

3. IBIS Model : .ibs ファイル

 

IBIS モデルをダウンロードしたディレクトリにある .ibs ファイルを開くと…

 

左側にモデルのリストが表示されるので、自分が使いたいモデルを List of Models に記載されている名前を参照しクリックすると、そのモデルの

電気的特性等を見ることができる。

 

このように、典型的な IBIS モデルならアルテラのホームページでダウンロード可能だが、「いっそのこと インテル® Quartus® Prime で作成したデザインの情報を IBIS にダイレクトに反映させたい!」という場合はどうしたらいいのだろう…

 

と途方に暮れていたら、そこに先輩がやってきた。

 

先輩 「インテル® Quartus® Prime で好きなプロジェクトを開いて、Pin Planner でピン情報を入力してみ 」

 

頭領 「はい」

 

先輩 「そしたら Assignments > Settings を開いて、左側の Category の中から EDA Tool Settings の Board-Level をクリックすると、真ん中に Board-level signal integrity analysis があるから、 Format で “ IBIS ” を選択する」

 

先輩 「OK をクリックして、コンパイルする。そして、Settings で指定した保存先を参照すると… 」

 

 

頭領 「おお! .ibs ファイルが生成されてる!」

 

先輩 「開いたファイルを下にスクロールすれば…」

 

 

頭領 「ちゃんとピン情報が反映されてますね!」

 

先輩 「これで質問に回答出来るね」

 

頭領 「ユーザ仕様 IBIS モデルの生成のためには、インテル® Quartus® Prime を使えば FPGA のデバイスと回路のピン情報が反映されるんですね!」

 

そう、対象のプロジェクト内で使用されたもののみが IBIS モデル・ファイルに生成される。その為、必要のないモデルが含まれない事からファイルの容量も抑制でき、おまけにピン名で検索できるので非常に使いやすいのである。

これこそが、FPGA - IBIS - インテル® Quartus® Prime の三重奏や…!

 

こうして新人エンジニアは、また新しい便利機能を知り、お客様の質問に対し回答することが出来た。

そして、そこにはお客様・頭領・先輩の織り成す “ 三重奏 ” が生まれたのだった。