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こんにちは、もつです。
今回も、お客様から良くお問い合わせをいただく内容について書こうと思っています。

今回は、電源の IO Standard に関することです。
ピン設定の段階での問い合わせですね。

問い合わせ内容としては、
「Stratix® V を用いています。 Bank 8A, 8B, 8C には 3.0 V IO Standard を設定し、Bank 8D には、2.5 V IO Standard を設定しました。なにか注意すべきことはありますでしょうか?」
というものです。

「Bank 8 には、同じ電圧を供給しないといけないのでは?でも、8A, 8B, 8C, 8D と分かれているなら、それぞれ別々の電圧でもいいのかな?」
と分からないまま、まずはデバイスのバイブルであるハンドブックと、ピン・ガイドラインの資料を調べました。

すると、Stratix® V のハンドブックに気になる箇所を発見しました。

Use the Same VCCPD for All I/O Banks in a Group」 という部分です。
ここの部分を読みますと、VCCPD によって、設定できる I/O Standard が決まっているようです。
VCCPD とは、IO のプリドライバ用電源で IO を使用するための電源であり、VCCPD は複数の IO バンクで共有されている場合があります。
例えば、Bank 3A とBank 3B で 1 つの VCCPD グループを形成しており、Bank 3C とBank 3D で 1 つの VCCPD グループを形成しています。

一方で、Pin-Out file には、VCCPDの名称が下記のように記載されていました。

表 1: VCCPD グループ

VCCPD3AB となっているのは、Bank 3A と Bank 3B で 1 つの VCCPD グループを形成しているという意味です。
これにより、Bank 3A と Bank 3B の IO 電源(VCCIO)は、同一の VCCPD(VCCPD3AB)にする必要がある事が分かります。

そこで、Stratix V GX デバイスにおける、VCCIO と VCCPD の対応についてまとめてみました。

表 2: Bank, IO 電源と VCCPD の関係

また、VCCPD と VCCIO(IO Standard 電圧) の電圧値についてですが、これにもきちんと決まりがありデバイス・データーシートの VCCPD の注釈に記載があります(下図)。

上図にあるように VCCIO が 2.5 V 以下の際は、VCCPD を 2.5 V に VCCIO が 3.0 Vの際は、VCCPD は3.0 V に設定しないといけません。
表にまとめると下記の通りとなります。

表 3: VCCIO 電圧値と VCCPD 電圧値の関係

これらにより、Bank 8A, 8B, 8C, 8D には個別に IO 電圧を設定することができるが、VCCPD の値が異なる IO 電圧を設定することができないことが分かりました。

そのため、お客様の問い合わせ内容に対する答えは、
「Bank 8 は、8A, 8B, 8C, 8D が同じ VCCPD 電圧の、VCCIO を使用する必要があります(表 2)。 VCCIO が 2.5 V 以下なら、VCCPD は 2.5 V, VCCIO が 3.0 V なら VCCPD は、3.0 V で統一する必要があるため(表 3)、 Bank 8 内で 2.5 V と 3.3 V は同時に配置することができません」
ということですね。

まとめ

各 Bank ごとに IO Standard の電圧を変える際は、VCCPD グループに気を付ける必要がある!

 

製作実習の際は気にしていなかったですが、というか、そもそもそういう設定はなかったため、すごく勉強になりました。
今回、ハンドブックやピン・ガイドラインに記載されている文章だけだとわかりづらいと思い、表にまとめてみましたが、皆さんわかりましたでしょうか?

また、VCCPD 以外にも電源ピンはたくさん種類があり、それぞれの電源がどのような役割をしているのか興味をもちましたので、次回は電源ピンについて調べてみたいと思います。