ある日。研修日誌を書いている私。

 

「電気は一度使ったら無くなるものではなく、常に流れ続けるもの。

もし、デバイスや基板をグラウンドに繋がないと、電流の逃げ道がないから、導線の中をひたすら流れ続ける。

そうなると回路がショートして…」

という文章を打っていたら、先輩からダメ出しが入った。

 

先輩 「それ、ショートじゃないから。オープンだから。」

私  「オープンって何ですか?」

先輩 「電気が流れていないこと。繋がってないから、電気は流れないよ(笑)」

私  「あっ…」

 

この 2 つの現象を簡単に説明すると、

 

● ショート:電源とグラウンドが何も介せず直接繋がった状態

● オープン:電源とグラウンドが繋がってない状態

 

オープンでは電流は流れないので、デバイスや回路が動作しない。

でもショートは抵抗を介さずに電源とグラウンドが繋がってる状態なので、

オームの法則「電流 = 電圧 ÷ 0 Ω = ∞ 」より、電流が無限大の電流が流れていることになる。

つまり、伝送線路に大電流が流れ込むことで、電源の供給源が破損したり、周辺部品がダメージを受けたりする可能性があるのだ。

 

なお、アルテラ社 の FPGA / CPLD にも Absolute Maximum Ratings というものがある。

ひとことでいうと「この値を超えると壊れる値」。

絶対最大定格というもの。

電源の種類によっても絶対最大定格の数値が異なってくるので、一つひとつ確認する必要がある。

これらの数値はデバイス・ファミリーによって異なるが、上表は Cyclone® IV の場合。

例えば、 I/O の電圧レベルが 3.3 V だった場合、

VCCINT (内部コア用電源) を VCCIO ( I/O 用電源) と勘違いして接続することで 3.3 V が供給されてしまうので、

絶対最大定格を超えることにより、デバイス内部が破壊されるなどの大惨事が待っている。

また一つ学んだなぁ、とのん気につぶやくと、先輩が一言

「あ、製作実習のために支給したデバイス、2つとも壊したら次からは自腹だからね。」

と言い残して去って行った。

「…電源を投入する前には、はんだ付けや配線の確認をしよう!」

と、強く心に誓わずにはいられない私だった。