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SBCとは?

SBCとはSystem Basis Chipの略でCANLINのトランシーバーと、LDODC/DCコンバーターなどの電源ICが統合されたシンプルな集積回路を指します。

SBCを採用するメリット

昨今の自動車には、安全性や快適性を向上するためにさまざまな機能が搭載されており、その機能は各ECUElectronic Control Unit)により制御され、そのECUの搭載数は年々増えている状況です。富士キメラ総研*の調べによると、2021年における自動車1台当たりのECUは平均で29.6個搭載されており、今後搭載数は年々増加し、2035年には46.6個になると言われています。

この急速に進む自動車の高機能化と並行し、環境問題の観点においてはガソリン車では低燃費が求められ、電気自動車では走行可能距離が重要になります。この燃費、電費の鍵となるのが自動車の重量となり、各自動車メーカーからはECUの軽量化や小型化が要求されます。年々増えるECUに対し、自動車内部の搭載場所は限られてくるため、小型化はどのアプリケーションにおいても強く求められる部分です。

そこで省スペースに貢献するのが、統合ICSBCです。前段で説明の通り、SBCは主にトランシーバーと電源ICが統合されたICになるため、ほとんどのマイコンを搭載するアプリケーションにおいて、マイコン周辺の部品を統合し、部品点数の削減、省スペースが実現できます。また、省スペースに加え、従来ではトランシーバーや出力電圧違いの電源ICなど、複数の部品を採用する必要があったところを1つの部品にすることにより、納期トラブル時の対応などの部品管理や、新規採用の際に必要になる部品認定においても工数の削減に貢献します。

次項では、Infineon社製SBCの紹介と、実際にSBCを最小することによりどのくらいの省スペースに貢献できるか示しております。

*参考:『車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2022 下巻』まとまる

Infineon社製SBCのラインナップ

Infineonでは必要な電流値、トランシーバーのチャンネル数などに応じて大きく分けて4つのファミリー製品のラインナップがございます。

※OPTIREG™はInfineon社製車載向け電源ICの総称です

OPTIREG™ Lite SBC

Lite SBCSBCのラインナップの中でも一番シンプルな、CAN FDトランシーバー、電源IC、及びチャージポンプを統合した製品です。トランシーバーはCAN FDでもPartial Networkingに対応した製品もあり、外部出力用の電源ICLDODC/DCバックコンバーターの2種類から選べます。また、マイコンなどの周辺部品への電源供給用として、出力電圧はそれぞれ5Vと3.3Vのラインナップがございます。

OPTIREG™ DC/DC SBC

DC/DC SBCは、出力電圧5Vまたは3.3VのDC/DCバックコンバーター(SMPS)と、別系統の5VのLDO、1個のCAN FDトランシーバー、そして最大4個のLINトランシーバーが統合された製品です。DC/DC SBCファミリーは全て、エクスポーズドパッドのVQFN-48(7x7mm)のパッケージを用いており、DC/DC SBCファミリー内ではソフトウェア互換、かつピン互換となっています。

OPTIREG™ Mid-Range+ SBC

Mid-Range+ SBCは、複数の電源IC、1個のCAN FDトランシーバー、そして最大2個のLINトランシーバーが統合された製品です。前段のLite SBCDC/DC SBCと異なる点として、5Vまたは3.3Vの出力電圧を備えた最大3個のLDOを搭載しており、加えて4チャンネルのハイサイドスイッチも取り込まれています。Mid-Range+ SBCファミリーは全て、エクスポーズドパッドのVQFN-48(7x7mm)のパッケージを用いており、Mid-Range+ SBCファミリーSBCファミリー内ではソフトウェア互換、かつピン互換となっています。

OPTIREG™ Multi-CAN Power+ SBC

Multi-CAN Power+ SBCはその名の通り、独自に4つのCAN FDトランシーバーを搭載しており、極めて高効率のSMPSバック/ブースト技術を使って最大750mAまでの5Vまたは3.3V出力電圧を供給します。主に、ゲートウェイやハイエンドのボディーコントロールモジュールなど、複数チャンネルのCANトランシーバーを必要とする車載アプリケーションに最適な製品となっています。

Infineon社製SBCの技術的メリット

上記では、Infineon社製のSBCを採用することによる部品点数削減での省スペースについて説明しておりますが、SBCには技術的なメリットも多くございます。そのメリットの一部を次項にて説明します。

暗電流の低減

電源IC、トランシーバーなど、各製品を個別に使用する場合に比べ、統合されたSBCを採用することにより暗電流を抑えられるというメリットがありますが、暗電流の削減をさらに後押しする、CAN PN(Partial Networking)機能も一部ファミリー製品に搭載しております。

通常のHigh Speed CANトランシーバーは、ECUに割り当てられているかに関わらず、任意のCANトラフィックに対してECUを起動しますが、CAN PNは同じCAN Bus上にぶら下がるECUの中でも、特定のECUに割り当てられたウェイクアップフレームにより特定のECUのみ起動でき、その他のメッセージは無視されるため、システム全体の暗電流をさらに低減させることができます。

信頼性の向上

SBCには広範な診断と保護機能が組み込まれており、外部コンポーネントの数を減らすことができるため、ディスクリート構成と比較してシステムの信頼性を向上させます。

右の図は、一番シンプルなファミリーのLite SBCの電源ICがLDOの製品、TLE9461シリーズのブロック図と、Mid-Range+ SBCのブロック図になりますが、Infineon社製SBCは全てのファミリーにおいてSPI制御となっているため、内部に搭載されたWatchdog機能も、Timeout Watchdog、Window Watchdogなどにより、通常の電源ICよりさらに細かい監視が可能となり、システムとしての信頼性を向上できます。

また、State Machineも搭載しているため、Fail-Safe Outputs/Inputs、Fail-Safe Operating Mode、Over-/Under-Voltage Monitoringなど、さまざまな機能が含まれているため、より一層、信頼性の高いシステム構成が可能です。

便利なツールチェーン

SBCをご検討いただく際のハードルをできる限り下げられるよう、Infineon社ではさまざまなツールをご用意しております。

すぐに製品の性能を確認できる評価ボード、検討の際に必要なユーザーマニュアルや機能安全向けの情報の提供、消費電力のシミュレーションツール、ユーザーフレンドリーなインターフェースを通じてデバイスを簡単に構成して迅速に評価できるConfig Wizardなど、開発に役立つ情報やツールをぜひご活用ください。

アプリケーション例

Infineon社製SBCファミリーは、さまざまな車載アプリケーションにご検討いただけます。

こちらに記載のアプリケーションは一例となり、その他アプリケーションにも最適な製品のご紹介が可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。

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