様々な分野に広がる偽物
製造業において、消耗品は重要な役割を果たしています。しかしながら、近年では偽物の消耗品が市場に出回るようになり、産業機器の性能や信頼性を脅かすこととなっています。偽物の消耗品は安価であるために魅力的ですが、大きなインシデントを引き起こす可能性があります。
このような消耗品の偽物を判別するための手段として、セキュリティICを用いたものがあります。
本記事では真贋判定に特化したInfineon社製セキュリティICの概要と、それを用いて長距離での認証を可能としたソリューションを紹介します。
Infineon社製の真贋判定ICチップ
Infineon社製の真贋判定ICチップであるOPTIGA™ Authenticate Sには下記のような特徴があり、インクカートリッジやバッテリーが正規品かどうかを判断するために使用されています。
- 正規品と偽物の区別 - 偽物を使用する場合、機能を制限することも可能
- 選べる2つのインターフェース(SWI or I2C)
- ダウンカウンターによる交換/メンテナンス時期の通知
- 使用済み製品における認証機能の無効化(Kill機能)
- 正規リサイクルベンダーによるカウンターのリセット
- デバイス側の認証に加えホスト側の認証も可能(片方向認証 or 双方向認証)
遠隔で行うことが可能な真贋判定
OPTIGA™ Authenticate SのインターフェースであるI2C/SWIは、10mを超えての長距離通信は困難です。そこでマクニカでは、ホストとOPTIGA™ Authenticate SのインターフェースをUARTにすることで、規格上15mまでの通信を可能にしました。さらに、UARTに加えてBluetooth Low Energy(BLE)でのインターフェースの置き換えも行い、無線で規格上100mまでの真贋判定を行うことも可能です。
システム構成
このシステムの構成は下図の通りです。
認証される消耗品や付属品側には、OPTIGA™ Authenticate Sに加え、I2C ↔ UART or BLEの変換を行うMCUが必要になります。
MCUは、通信プロトコルの仲介をする役割のみを担わせる場合、高性能なMCUである必要はありません。また消耗品や付属品側の既存MCUに認証機能を追加することも可能です。

アプリケーション例
想定されるアプリケーション例としては、ホストと交換部が離れているような産業機器や、無線を介してドアの開閉を行う車の鍵等が考えられます。
- 油剤装置
- フィーダー
- リモコンキー
- ゲームコントローラー

OPTIGA™ Authenticate Sを用いた長距離認証 実証実験動画
UART版
BLE版
今回使用したInfineon製品
ホスト側
デバイス側
お問い合わせ / お見積もり
本製品に関してご質問、見積もり希望がありましたら下記リンクよりお問い合わせください。