CAN / CAN FDとは?
CANとはController Area Networkの略となり、元々はドイツのBosch社で開発が開始された通信規格です。今や車載業界ではメジャーな通信方式となっています。CANのデータ転送速度は、40mの通信路においては最高で1Mbps程度、500mの通信路においては最高で125kbps程度と言われていますが、昨今求められる自動車における更なる安全性、加速する電動化、自動運転機能、それに付随するサイバーセキュリティ対策などの実現にあたり、より高速で多くのデータ通信が可能な車載ネットワークが求められています。
そこで、CANを開発したBosch社が、CANを拡張する形で発表した規格がCAN FD(CAN with Flexible Data rate)となります。データフェーズの最大ビットレートについてはネットワークトポロジーなどに大きく依存するため明確に規定されていませんが、ISO 11898-2:2016では5Mbpsまでの要件を規定していますので、簡単に言うとCAN FDはCANに比べて、より高速でより多くのデータの通信が可能な車載ネットワーク、ということになります。
なぜCAN FDが求められているのか?
前段にも説明しましたが、現代の自動車では様々な機能が電子制御されており、その電子化は年々加速していることもあり、車1台あたりに約70個もの電子制御ユニット(ECU)が搭載されているとも言われています。自動車の動きに直接関わる「走る・曲がる・止まる」の機能に直結するエンジン制御やxEV車の駆動用モーター制御などが含まれる「パワートレイン系」のアプリケーション、正しく車を制御するために不可欠なパワーステアリングやブレーキ制御が含まれる「セーフティー系」のアプリケーションに加え、車室内の様々な制御やインフォテイメントなどの機能が含まれる「ボディー系」のアプリケーション、自動車の中では様々なECUが存在し、そのECU同士が常に通信をしています。
すでに多くのECUが存在する中、自動運転機能にともない懸念されるサイバーセキュリティ対策も考慮すると、さらに多くのデータの通信が必要になって行きます。そこで、CANでは通信速度と容量が不足するケースがでてきており、CAN FDのニーズが加速している状況です。
注目されるCAN FD SICとは?
CAN FD SICとはSignal Improvement Capabilityの略で、SiCと間違われやすいですが、従来のCAN FDから信号改善機能が入った製品になります。
CANのテクノロジーは堅牢かつスケーラブルなネットワークを提供するために開発されましたが、データレートが高速になると堅牢性を維持することが難しいのが課題でした。低いデータレートのネットワークのリンギングは時間で補償できますが、データレートが高い場合このビットタイムは利用できなくなります。最新のネットワークに求められる安定したネットワークと高いデータレートの両方を実現するため、シグナル改善機能を取り入れたCAN SICトランシーバーが開発されました。
CAN FD SICトランシーバーは、ネットワーク内の信号の整合性を積極的に改善し、信号リンギング効果を軽減し、従来よりも大幅に高速なビット レートで大規模なトポロジーでの動作が可能になります。また、CAN FD SIC製品は既存のCAN(FD)トランシーバーを置き換えることができるため、アプリケーションに大きな変更を加える必要がありません。さらに、既存のCANトランシーバーソリューションとの下位互換性もあります。
新しいCAN FD SICテクノロジーにより、500kbit/sから最大8Mbit/sの伝送速度のネットワークをサポートします。

リンギング防止:
• トランシーバーがドミナントからリセッシブへのエッジを制御
• その後、CANバスを300nsの低インピーダンスで駆動
利点:
• SICは、リセッシブへの状態変化後も安定した信号を保証
• ソフトウェアやマイクロコントローラの変更は不要
• SICにより、データレートの高い大規模トポロジーを柔軟に設計することが可能
インフィニオン社ではCAN FD SIC製品のラインナップもありますので、是非一度製品紹介ページをご覧ください。
CAN-FDに対応するには?
CANからCAN FDに対応するにはいくつか変更すべき点があります。
物理的に変更すべき部分と、ソフトウェアの観点で変更すべき部分がありますが、少なくともCANトランシーバー、マイコン自体をFD対応の物に変更する必要がありますので、以下にインフィニオン社のFD対応のトランシーバーとマイコンをご紹介します。
インフィニオン社 - CAN FD対応のトランシーバー

こちらではインフィニオン社のCAN FD対応のトランシーバーを紹介します。
インフィニオン社では既に10年以上のCANトランシーバーの実績があり、全世界で約20億個の出荷実績があります。パッケージにおいても従来のDSO-8タイプに加え、超小型のTSON-8(3mm × 3mm)のパッケージもご用意しており、5Mbpsに対応したCAN FDに加え、エネルギー効率の更なる改善を狙ったCAN PN(CAN Partial Networking)プロトコルも新たに規定しました。
また、自動車業界に於いては信頼性と言うキーワードをよく耳にしますが、インフィニオン社は車載適合”Grade 0”に対応(Ta: -40°C to +150°C、高温ミッションプロファイルでの試験にクリア)した製品のラインナップもあります。インフィニオン社のトランシーバー製品は優れた性能、耐久性、信頼性により最高の価値を提供します。
- ISO11898-2:2016及びSAE J2284-4/-5に完全準拠
- 最大5Mbpsを実現するべくループ遅延対称性
- VeLIO(Vehicle LAN Interoperability and Optimization)認証取得済 ※TLE935xシリーズ
- MCUインターフェースへの電圧適応のためのVIO入力(3.3V or 5V)
- 低い電磁放射(EME)特性により、CMC無しでの使用が可能
- IEC61000-4-2に準拠したESDに対する堅牢性
- TxDタイムアウト機能
- パワーダウン時の非常に低い消費電流
- AEC-Q100への適合に加え、更に厳しい”Grade 0”に従って認定済 ※TLT925xシリーズ
- 安心の実績と高い信頼性
詳しい製品ラインナップ、仕様につきましては以下のページをご確認ください。
インフィニオン社 - CAN FD対応のマイコン
こちらではインフィニオン社のCAN FD対応のマイコンを紹介します。
インフィニオン社ではどのような車載アプリケーションにも対応できるよう、ハイエンドからローエンドまで非常に幅広いマイコンのラインナップを準備しております。
その中でも特に、AURIXシリーズとTraveoT2Gシリーズは全ての型番でCAN FDに対応している製品群となっております。
AURIX™シリーズ |
TRAVEO™シリーズ |
・ 独自のTriCore™テクノロジーを使用 ・ ASIL-D対応 ・ FULL-EVITA対応 ・ OTA対応 |
・ ARM® Cortex®-Mテクノロジーを使用 ・ ASIL-B対応 ・ FULL-EVITA対応 ・ 低消費電力 ・ OTA対応 |
また、インフィニオン社は車載向けマイコンの世界トップシェアを誇り市場実績も十分にございます。
詳しい製品ラインナップ、仕様につきましては以下のリンクよりご確認ください。
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