AIや大規模データセンターの発展により、ネットワークの高速化・省電力化・柔軟な構成変更が求められるようになりました。その中で、次世代ネットワークの基盤技術として、Optical Circuit Switch (OCS)に注目されています。そこで、今回はOptical Circuit Switchについて、紹介します。
OCS (Optical Circuit Switch)とは?
Optical Circuit Switch(OCS)は、”光-電気変換をおこなわない”スイッチです。
従来のネットワークスイッチでは、光トランシーバーで信号を光-電気変換をおこない、電気信号のパケット情報を元に転送(Switch)していました。
それに対して、OCSはスイッチ内部で光路を切り替えることで、入力された光信号のまま転送します。
従来のネットワークスイッチのイメージ
Optical Circuit Switchのイメージ
OCSの市場規模
Cignal AI社のレポートによると、OCS市場は2029年に25億ドルを超える規模に成長する見込みです。AI・データセンターが主な用途で、Googleなどの大手クラウド事業者だけでなく、多くの企業がOCSの導入を進めています。
OCSのメリット
OCSは光-電気変換をおこなわないため、以下のようなメリットがあります。
- 低遅延・低消費電力
光信号を直接転送するため、電気変換による遅延や消費電力が発生しません。
- レート・プロトコル非依存
通信速度やプロトコルに依存しないため、ネットワークのアップグレードにも柔軟に対応できます。
OCSの主要技術方式
OCSには複数の技術方式があり、それぞれの特長があります。
- Digital Liquid Crystal(液晶)方式
液晶素子で光路を切り替える方式です。機械的可動部なし・低消費電力・低クロストークが代表的な特長です。
- MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式
MEMSと呼ばれる微小なデバイスを利用し、光路を切り替える方式です。比較的低損失、またテレコム通信機器にも採用実績のある点が代表的な特長です。
- Robotics方式
ロボットで物理的にファイバーを接続・切り替えし、光路を切り替える方式です。低い光損失が代表的な特長です。
- Piezoelectric(圧電素子)方式
圧電素子の変形を利用し、光路を切り替る方式です。速い切替時間が代表的な特長です。
- シリコンフォトニクス(SiPh)方式
半導体プロセスにより大量生産可能なシリコンフォトニクスを用いて、光路を切り替える方式です。速い切替時間が代表的な特長です。
|
コア技術 |
スイッチ時間 |
挿入損失 |
駆動電圧 |
クロストーク |
機械的可動部 |
|
Digital Liquid Crystal |
○ |
○ |
◎ |
◎ |
無 |
|
MEMS |
○ |
○ |
△ |
△ |
有 |
|
Robotic |
△ |
◎ |
◎ |
◎ |
有 |
|
Piezoelectric |
◎ |
○ |
○ |
△ |
有 |
|
SiPh |
◎ |
△ |
○ |
△ |
有 |
※OCSの主要技術方式の比較
OCSの代表的な使用例
- AIクラスターネットワーク
ハイパースケールAIクラスターネットワークでは、OCSを用いて、トレーニング時間の短縮・スループット向上を実現しています。
- データセンターのスパインスイッチの置換
スパインスイッチをOCSに置き換え、消費電力・コスト・遅延を低減できます。
まとめ
Optical Circuit Switchは、AI・データセンターのネットワーク基盤として期待されています。
低遅延・省電力・柔軟な構成変更といったメリットがあり、Digital Liquid Crystal 、MEMS、Robotics、Piezoelectricシリコンフォトニクスなど複数の技術方式があります。
弊社では、Digital Liquid Crystal式OCSを提供するCoherent社の製品を取り扱いしております。ご興味がございましたら、お問い合わせください。