光通信の世界で、正確なデータ伝送は成功の鍵です。dBとdBmの違いを理解することは、効果的な測定と効率的なトラブルシューティングのためには欠かせません。本記事では、データセンターネットワークで光トランシーバーモジュールを扱うエンジニアが知っておくべき、dBとdBmの基本的な概念とその違いについて深掘りします。さらに、実践的な練習問題を通じて、自分の理解度を試すチャンスもご用意!あなたの技術力を一層高めるための知識を身につけましょう。
dBとは?
dBは「デシベル(decibel)」の略で、電気や光のパワーの大きさを相対的に表す単位です。
相対的にというのは、ある基準のパワーに対して何倍になりましたか?何分の1になりましたか?ということであり、これを対数スケールで表しています。
式で表すと、以下のようになります。

具体的に見てみましょう。
光ファイバーに光を通す例です。光ファイバーの入力側でのパワーが1ワット、出力側でのパワーが0.9ワットだとします。

これは、以下のように言うことができます。
- 光ファイバーを通って、0.1ワット損失する
- 光ファイバーを通って、電力が9/10になる
- 光ファイバーの損失は0.46dBである
光ファイバーの損失0.46dBは、dB表現の式で「基準となるパワー」を入力電力1ワット、「対象となるパワー」を出力パワー0.9ワットとして計算しています。

値が負(マイナス)なので、損失を表しています。
次の例を考えてみましょう。
光アンプで増幅させる例です。光アンプの入力側でパワーが0.1ワット、出力側で1ワットだとします。

これは、以下のように言うことができます。
- 光アンプを通って、0.9ワット増える
- 光アンプを通って、電力が1/0.1=10倍になる
- 光アンプの利得は10dBである
光アンプの利得10dBは、dB表現の式で「基準となるパワー」を入力電力0.1ワット、「対象となるパワー」を出力パワー1ワットとして計算しています。

値が正(プラス)なので、利得を表しています。
dBmとは?
dBmはデシベルミリワット(decibel-milliwatt)の略で、電気や光のパワーの絶対的な値を表す単位です。
絶対的というのは、基準の値が1ミリワットと決まっていて、この1ミリワットに対して何倍になりましたか?何分の1になりましたか?ということを対数スケールで表しています。
式で表すと、以下のようになります。

先ほどの光ファイバーの例で具体的に見てみましょう。

これは、以下のように言うことができます。
- 入力1ワットは、入力30dBmと言い換えることができる
- 出力0.9ワットは、出力29.54dBmと言い換えることができる
- 両者の差から光ファイバーの損失は0.46dBである
入力1ワットをdBmに変換してみましょう。

次は出力0.9ワットです。

出力から入力を引くと、光ファイバーの損失となります。

先のdB表現のところで求めた光ファイバーの損失と、同じ値になりました。
dBとdBmの違いについて
dBとdBmの主な違いは、dBが相対的な尺度であるのに対して、dBmが絶対的な尺度である点です。
dBは任意の基準値を基準にしているのに対し、dBmは1ミリワットを基準にしています。
したがって、dBは比、割合、変化量を表している単位であるのに対して、dBmは特定の物理的な量を表す単位です。
違いを理解して、正しく使えるようにしましょう。
練習問題にトライ
正しい表現はどちらでしょうか?(カッコ)にあるdBかdBmかを選択してみてください。
問1.光ファイバーから出てくる光パワーは-10(dBm or dB)である。
問2.光アンプの利得は(5dBm or 5dB)である。
問3.光パワーの測定誤差はワット表記で±50% → ±3(dB or dBm)である、ともいえる。
<答え>
問1.光ファイバーから出てくる光パワーは-10(dBm)である。
問2.光アンプの利得は(5dB)である。
問3.光パワーの測定誤差はワット表記で±50% → ±3(dB)である、ともいえる。
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