NRZインターフェースを持つ100G光トランシーバー

現在データセンターをはじめ、多くのネットワーク機器において、100G QSFP28光トランシーバーが主流となっています。

これらは100GBASE-SR4やLR4、CWDM4といった規格に準拠しているものが主であり、基板上のスイッチICなどとの間の電気側インターフェースは 25Gbps NRZ x 4レーン (CAUI4 C2M : Chip to Module)となっています。光トランシーバー内部では、各レーンごとに電気信号と光信号の相互変換をしています。

規格によって、最終的にこの光信号を多重して送受各1芯の光ファイバーで出力するか、4レーンのままパラレルの光ファイバーで出力するか、の違いはありますが、いずれにしても光トランシーバー内での光信号の扱いは電気信号同様に4レーンでの伝送となっています。

100GBASE-CWDM4光トランシーバー構造

図1 100GBASE-CWDM4 光トランシーバー 構成ブロック図

PAM4インターフェースを持つ400G光トランシーバー

一方で、ネットワークインターフェースの高速化やポート当たりの伝送容量は増大し続けており、現在では400G QSFP56-DD 光トランシーバーの製品化が進んでいます。QSFP-DD 光トランシーバーは、既存のQSFP+やQSFP28 光トランシーバーと筐体外形寸法に共通性を持たせつつ、電気側、光側ともにPAM4(Pulse Amplitude Modulation 4)を採用しています。

電気側インターフェースのレーン数は、400G化のためのレーン拡張により8レーン(50G/レーン)となっています。このレーン拡張のため、電気側インターフェースのコネクター形状は従来のQSFP+の2倍の信号密度となっており、-DD (Double Density) というフォームファクター名称になっています。他方、光側インターフェースはQSFP28同様に4レーン(ただし100G/レーン)となっています(400GBASE-SR8を除く)。

400GBASE-SR4 光トランシーバー構造

図2 400GBASE-SR4 光トランシーバー 構成ブロック図

NRZとPAM4の波形の違い

光トランシーバーの筐体外形寸法は、上記のように下位互換性も加味して決定されていますので内蔵可能な光コンポーネント数にも制約があります。したがって、伝送容量を上げるためとはいえ、むやみにレーン数を増やすことができません。このため、レーン数を増やすのではなく、1レーン当たりの伝送容量を上げる方法として採用されたのがPAM4です。

従来のNRZ伝送とPAM4伝送の波形の違いを下記に示します。

NRZ波形

図3-1 NRZ電気波形例

PAM4波形

図3-2 PAM4電気波形例

波形からもわかる通り、NRZが0/1の 1ビット 2値信号であるのに対して、PAM4は4値の信号になります。

NRZは0,1の各電圧レベルの状態がそのまま論理レベル(HighまたはLow)となりますが、PAM4の場合はこの4つの電圧レベルが直接的に論理レベルを示しているわけではなく、4つのレベル各々に2ビットの情報を割り付けて伝送をおこなっています。

上記の波形の場合、クロスポイント間の時間幅 (UI、Unit Interval:ユニット・インターバル) はNRZもPAM4も同じですが、NRZが1ビットの信号伝送を行うのと同じ単位時間内にPAM4は2ビットの情報を伝送できるため、伝送容量が2倍になります。

PAM4インターフェースのメリット・デメリット

メリット

NRZで伝送容量を2倍にするにはUIを半分にするしかありませんが、上述の通り、PAM4の場合はNRZと同じUIで伝送容量を2倍にできます。UIが同じということは、ボーレート(Baud Rate、信号を1sik秒間に何回変復調できるかを示す単位)が同じということになります。

このため、基板上の伝送線路設計において、NRZで伝送容量を2倍にするよりも既存設計からの技術的飛躍が少なく、比較的早期に適用できる点が挙げられます。

デメリット

NRZで0または1を表現していた電圧レベルの間に新しく2つの電圧レベルが追加されることになるので各レベル間の振幅はNRZのおよそ1/3となります。これはSNRがNRZの1/3となってしまうことを意味します。ノイズ耐性が低下するため、NRZのように受信端でのエラーフリー伝送は期待できません。

次回予告

次回は、エラーフリーを実現するための施策について説明します。

Broadcom社のPAM4光トランシーバーソリューション

Broadcom社では、PAM4光トランシーバー製品を展開中です。

400Gbps DR4 (500m) Ethernet Transceiver AFCT-91DRDHZ

400Gbps DR4+ (2Km) Ethernet Transceiver AFCT-91DRPHZ

100Gbps DR (500m) Ethernet Transceiver AFCT-89SDHZ

100Gbps FR (2km) Ethernet Transceiver AFCT-89SFHZ

100Gbps LR (10km) Ethernet Transceiver AFCT-89SLHZ

お問い合わせ

上記以外にも多数の製品を取り揃えておりますので、Broadcom社光トランシーバー製品ホームページをご覧いただき、ぜひ下記までお問い合わせください。

Broadcom メーカー情報Topへ

Broadcomメーカー情報Topに戻りたい方は以下をクリックしてください。