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「からだの声を聞く技術」ウェアラブル機器で拓く新たな未来

毎日の体調、見えるようになったら便利だと思いませんか?

「からだの異変をいち早く察知したい」
「もっと快適に、安全に、作業や生活を送りたい」

そんなニーズに応える形で、ウェアラブル機器の活用が急速に広がっています。

マクニカものづくりコンサルティング(ものコン®)では、センサー設計から部材選定、回路設計、量産・調達まで一気通貫で支援できる技術パートナーとして、複数のウェアラブル機器開発プロジェクトに携わってきました。ここでは、いくつかの事例をもとに、具体的な支援内容と、私たちがどのように「からだの声を聞く技術」を支えているかをご紹介します。

安心・安全な素材選定

樹脂素材

ある企業とのウェアラブル開発プロジェクトでは、人体に装着してからだの状況を常時モニタリングするデバイスを開発しました。ここでは、肌に直接触れる部位の素材選定において、アレルギー反応のリスク低減が重要な課題となりました。私たちは、医療用途でも実績のある素材を提案し、装着時の安全性と快適性の両立を実現しました。

この素材選定では、メーカーと直接交渉をおこない、肌にやさしいのはもちろんのこと、柔らかさと強さのバランスの取れた樹脂素材を見つけ出すことで、赤ちゃんから高齢者まで安心して使えるウェアラブル機器の設計が可能となりました。さらに、汗や日光による変形・変色が起きないか、何度もテストを重ねて確認しました。

こうした取り組みを通じて、ユーザーの健康と安全を第一に考えた高品質なウェアラブル機器を形にすることができました。

長時間連続稼働の実現(低消費電力化)

マクニカ漫画

さらに、現場環境における安定動作と一度の充電で長時間連続稼働することを目指し、センサーモジュールの低消費電力化にも積極的に取り組みました。特に、マクニカが代理店として取り扱っている超低消費電力CPUを採用することで、センサーの常時稼働を可能にしながらも、消費電力を大幅に抑えることに成功しました。

ファームウェア設計では、動作モードの最適化やスリープ制御など、消費電力に直結する要素で多くの課題が発生しましたが、当社の技術サポートに加え、メーカー技術者を巻き込んだ協業体制により、設計初期から量産フェーズまで一貫した高品質な支援を提供し、お客様が求めていた低消費電力化を達成することができました。

また、バッテリー選定においても、当初採用予定だったバッテリーが突如入手できなくなる予期せぬ事態に直面しましたが、すぐに世界中のバッテリーメーカーの中から代替品を提案・調達し、設計変更を最小限に抑えながらプロジェクトの遅延を回避。こうした世界中のメーカーとのやり取りや柔軟かつ迅速な対応力も、私たちのケーパビリティの一つです。

エレクトロニクスで支える快適性

猛暑が常態化する昨今、熱中症対策として現場作業員やアウトドアユーザーに広く普及しているのがファン付き作業着です。

ファンや制御ユニットは、単に空気を送り込むだけでなく、使用環境に応じて風量や動作タイミングを細かく制御する必要があります。使用者の快適性を高めるため、温度や湿度、動きに応じてファンの動作モードを自動調整できるよう、複数センサーとの連携し「作業中は強風、休憩中は静音モード」といった環境連動型のスマート制御により、使用者のストレスを大幅に軽減することが可能です。

制御ロジックは、ユーザーごとに好みや職場環境が異なることも考慮し、スマホアプリとの連携によるカスタマイズ機能も組み込み、Bluetooth通信を通じてファームウェアをアップデートできる仕組みを入れることで、現場の声に応じた継続的な機能改良が可能です。

過酷な環境で壊れない堅牢性

これらの製品に入る電子製品は、真夏の直射日光、粉塵、汗、さらには落下衝撃など、過酷な条件下での使用が想定されます。そのため、回路基板の設計では防水・防塵コーティング(コンフォーマルコーティング)を施しつつ、特に高温下での連続稼働を考慮し、温度上昇を検知して自動的に制御するサーマルプロテクション機能の実装も必要です。

加えて、振動や衝撃が加わっても断線しにくいフレキシブル基板(FPC)や、耐久性の高いコネクタ類の厳選、ファームウェアの面でも、誤動作を防ぐフェールセーフ設計を徹底することで、ハード・ソフト両面からの堅牢性を確保することができます。

また、防水性能の強化もウェアラブル機器には必須となりつつあります。ものコン®では工業試験場の研究者と連携して、汗や雨に耐える構造を金型設計の段階から工夫した事例があります。耐水試験を繰り返すたびに予期せぬ箇所から水が入り込んで難儀しましたが、IPX7相当の防水性能を確保し、長時間・屋外作業でも安心して使用できるデバイスの実現に成功しました。

装着性の工夫で「つけたくなる」

高性能であるだけでなく、「つけたくなる」ことがウェアラブル機器の普及には欠かせません。前述の通り、近年の製品は、肌への負担を減らす素材の使用や、アレルギー対策の樹脂、IPX7以上の防水設計など、装着者へのやさしさが重視されますが、見た目のスマートさや装着感の軽さも改善されています。

ものコン®では、誰もが知る有名製品のデザインを手がけたデザイナーをプロジェクトに招聘するなど、ユーザーの感性に響くスタイリッシュな外観を実現しています。さらに、そのデザインを忠実に具現化できる製造パートナーとの連携により、機能性と美しさを両立した製品開発が可能です。

いかにも医療機器といった見た目ではなく、スタイリッシュなデザインであれば、常時付けていても恥ずかしくありません。保育の現場ではぬいぐるみの中にセンサーを内蔵することで、子どもが嫌がらずに装着できるといった工夫も施されています。

事例として、下の写真のようにスマートグラスのモックアップ品を作りました。デザイナーに依頼してデザイン画を描く工程から入り、レンダリング画で完成イメージを共有、実際に3Dプリンタで製造したモックアップ品は満足のいく仕上がりになりました。さらにモックアップ品にこだわりポイントをプラスすることもできます。この事例では、スマートグラスの完成形により近づけるよう塗装を工夫して色味を追求しました。グラス部分は青味がかった黒の塗装、調色でメタリック感を出し、バンド部分は質感を変えてマットな感じに仕上げるといった具合です。様々な要望を取り入れて、より製品イメージに近いものを作ることができます。

デザイン画 デザイン画

デザイン画

レンダリング画 レンダリング画

レンダリング画

3Dプリンタで製造したモックアップ品 3Dプリンタで製造したモックアップ品

3Dプリンタで製造したモックアップ品

センサー×クラウド×AIで実現する「攻めの安全管理」

クラウド

センサーが収集したバイタルデータや環境情報をリアルタイムにクラウドに連携し、異常を検知した際に即座に管理者へアラート通知する仕組みも、マクニカのクラウド技術でサポートさせていただきます。センサー×クラウドの一括管理は、現場ごとのバラつきをなくし、全体最適な安全対策の基盤となります。

また、リアルタイムの警告だけでなく、蓄積されたバイタルデータをAIが分析することで、どの時間帯・どの作業が危険かを予測できるようになります。

たとえば、ある製造ラインでは、お昼休み後に事故リスクが高まる傾向が明らかになり、作業時間を前倒しにすることで事故率が大幅に低下しました。センサーは単なるモニタリングツールではなく、未来を見越すツールとしても価値を発揮し始めています。データの蓄積と予測で「攻めの安全管理」へ移行可能です。

調達から量産まで一貫サポート

ものコン漫画

部品調達面では、グローバル市場を視野に入れた海外調達・海外製造(いわゆるOUT-OUT)にも対応しています。気候変動や地政学リスクによる供給不安に備え、国内外の複数の地域からの調達ルートを事前に確保することで、突発的な供給停止にも柔軟に対応できる体制を整えています。

また、量産フェーズにおいても、現地EMSとの連携による海外製造体制の構築が可能です。設計段階から実装性や組立工数を考慮した回路と筐体の一体最適化を行うことで、現地での検査・量産立ち上げをスムーズに実現しています。多品種・小ロットの海外量産ノウハウは、コスト競争力と供給安定性の両立を支えています。

このように、単なる技術の積み上げではなく、現場環境を深く理解した設計思想と、それを支える開発・調達・製造のエコシステムがしっかり根付いています。

一歩先の開発には、確かなパートナーが必要です

ウェアラブル機器の開発には、「小型・軽量・高性能」に加え、「人にやさしい設計」と「過酷環境での安定動作」という難題が常に伴います。

最近では赤ちゃんや高齢者、ペット向けのウェアラブル機器も開発が進んでいます。熱中症対策に限った話でも、ベビーカーや高齢者の車椅子、ベッドでの利用など、体温の上昇が検知されると冷却素材が自動的に作動し、同時に保護者にアラートが届くといったシステムが考えられます。

ものコン®は、こうした複雑な条件下でこそ力を発揮するエレクトロニクス開発のプロフェッショナル集団です。素材、回路、筐体、調達、評価、量産化──ものづくりのあらゆるフェーズで、必要な支援を最適な形でお届けします。

ウェアラブル機器の開発でお困りなら、ものコン®にご相談ください

「技術的にどこから手をつけたらよいかわからない」
「仕様がまだ固まっていないが、構想段階から相談したい」

そんな段階からでも、私たちはお手伝いできます。必要な人に、最適なテクノロジーを、無理なく届ける。それが、私たちのものづくり支援の原点です。ウェアラブル機器の開発に挑む企業の頼れるパートナーとして、構想から実装、量産まで、確かな技術と柔軟な対応力で支援を続けています。

ウェアラブル機器の開発でお困りなら、マクニカものコン®にご相談ください。

ものづくりコンサルティングサービス

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