Matterとは?

「Matter」は、スマートホーム標準規格で、Connectivity Standards Alliance(CSA)が策定しています。Wi-FiやThreadのネットワーク層で動作し、Amazon、Apple、Googleなどのスマートスピーカーと連動することで、家電、照明、電子錠などへの活用が期待されています。Matterに対応した機器は、家庭内で簡単に接続ができます。また、Matterのセキュリティ要件として、認証局を活用し、Root認証局ー中間認証局ー機器間の信頼を確立することで、高いセキュリティ水準を実現しています。

Matter対応製品で実現できること

では実際にMatter対応製品はどのようなことができるのでしょうか?いくつかの例を下記に示します。

Matter活用例 ~センサー×スマートプラグ~

マクニカではMatterの活用例として、デバイス同士のM2M通信を模したデモを作成しました。
デモのコンセプトとしては、人感センサーとプラグをMatterで接続し、人の検知によって機器がON/OFFするというものになります。

デモ動画

構成ブロック図

Matterデモの構成ブロック図は下記の通りです。今回の構成は、Infineon社製の60GHzレーダーを用いた人感検知をトリガーに、市販のMatter対応スマートプラグのスイッチをON/OFFにするというものです。

ユースケース例

Matterはメーカーが異なる製品でもシームレスに接続可能というメリットがありますが、そこから派生して様々なユースケースが考えられます。

今回作成したデモのように、人感センサーや温度センサー、気圧センサーなど、各種センサーからのフィードバックを受けて家電を制御するというユースケースが考えられます。センサーを搭載していない製品であっても、別製品のセンサー情報を利用することができます。
他にも、各製品の消費電力を集約してスマートフォンで可視化するという利用方法もあります。Matterに対応している製品であれば、メーカー問わず消費電力の情報を一元化できるため、ユーザーは一目で利用量を把握することができ、その製品の使い方を考え直すといったことも可能になります。

またこれらのユースケースは、インターネットに接続していないローカルな環境でも利用できるという利点もあります。

Matter導入までの流れ

ここまでは、Matterが実際にどのように利用されるのかを見てきました。以下は、Matterを導入するにあたっての大まかなステップになります。

1. 部材の選定

まずはMCUや無線モジュールなどの部材を選定します。Matterはソフトウェアで実装するためハードウェアの制約はありませんが、各半導体メーカーがMatter対応をうたった製品をリリースしています。それらの製品には下記のような特徴があります。

  • Matterネットワークに参加するために必要なBluetooth Low Energy(BLE)機能を搭載
  • Matterアプリケーションを容易に実装できるメーカー別SDKの提供

2. ソフトウェアの実装

Matter規格は主にインターネットプロトコル(IP)に基づいて設計されています。Matterのプロトコルスタックはオープンソースであり、GitHub上で公開されています。お客様はGitHubから各ターゲットアプリケーションのサンプルコードを入手し、開発の参考にすることができます。

3. Matter認証の取得

「Matter対応製品」を販売するためには、Matter認証が必要になります。認証を取得した製品にはデバイス証明書と暗号鍵が付与され、それらをもとにしてMatter製品の安全な接続を実現しています。

Matter認証には認証局の準備に加えて、証明書の実装方法の検討が必要になります。マクニカではこれらの課題に対して、ご相談からソリューション提供まで一貫したサポートができますので、お気軽にお問い合わせください。

Infineon製品を選ぶ理由

Infineon社の製品ラインナップは、Matter製品の構成要素と考えられるMCU、Connectivity、Security、Peripheral、Matter SDKを全て揃えており、ソフトウェアからハードウェアまで一貫した提供が可能です。特に、Infineon社のMCUは超低消費電力と高い設計柔軟性を持ち、IoT機器に最適です。またセキュリティ面では、物理的攻撃と論理的攻撃の両方に対して強力な耐性を実現するハードウェアベースのセキュリティを提供します。これらの特長により、Infineon社はMatterに対して最適な選択肢となります。

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