こんにちは!2025年度入社、新卒FAEのパワーちゃんです。
大学時代は生物系の専攻で、高校時代も物理基礎すら未履修という電気電子知識ゼロの私が挑んだ、3か月でロボットを作る製作実習。ゼロベースからの3か月間の奮闘と新人らしい失敗談を本ブログでお届けします!
今回のテーマは「ダイオードのアノード・カソード」についてです。
期限たった3か月のロボット製作
本題のダイオードのアノード・カソードの話をする前に、まずは今回の製作実習について簡単に説明させていただきますね。
毎年新人FAEは、製作実習を通して回路設計やソフトウェアの知識を、実際に手を動かしながら学んでいきます。
今回の製作実習のテーマは「迷路脱出マシンの開発」でした。これは、センサーで壁を検知して迷路内を自動走行するといったものです。なかなかイメージが付きにくいな、という方は「マイクロマウス」と検索していただけるとイメージが付くかと思います。
どこよりも詳しいマイクロマウス解説(出典:日本システムデザイン株式会社様)
マイクロマウスは正式なロボコンの一種で全国大会などもおこなわれています。マウスを自作する場合、参加者は大体1年ほどかけて準備をするらしいのですが、私たちに与えられた時間はたったの3か月。全国大会で戦えるレベルのロボットまでは求められていないにしても3か月は短すぎやしませんか。この計画を聞いたとき、私は正直「私にはきっとロボットは完成させられないな」と思いましたが、人間その気になればできちゃうものなんですね。実際に作成したロボットがこちら。チーターコンセプトのとってもかわいいロボットができました。
実際に作製したロボット
基本的には予算内であれば自由に作ってよいとのことだったのですが、仕様の規定で唯一あったものが、アナログ・デバイセズのスイッチングタイプのDCDCコンバーターをユニバーサル基板で実装するということ。これがもう大変で大変で(涙)。「FAEになったの大間違いだったかも、、」と何度思ったことでしょうか。ただ、この話をしてしまうと長くなってしまうので、別の機会にしましょう。
今回私は9V電池の電圧をDCDCコンバーターで5Vに降圧させ、モーターと赤外線センサーに電力供給をしました。今回使用した赤外線センサーは、SFH 4550という赤外線LEDとST-1KL3Aというフォトトランジスターを組み合わせることで作成しました。
やっと出てきましたね。かなり前置きが長くなってしまいましたが、ここでアノードとカソードの話に繋がってくるわけです。
赤外線センサー
先ほど話に出てきた赤外線センサーですが、このセンサーは壁検知の用途で使用しました。製作実習では使う部品や仕様もすべて自身で検討する必要があったため、作り手によって見た目も部品も仕様も全く異なるロボットができあがるわけです。
赤外線センサーは実際のマイクロマウスの大会でも使用されており、今回使用したLEDとフォトトランジスターの組み合わせは実績も多かったことから、これなら私でも使えるかも!!と思い採用しました。
赤外線センサーの仕組み
今回利用した赤外線センサーの仕組みを簡単に説明します。
まず、赤外線LEDが前方に赤外線を照射します。この赤外線が壁に当たって反射し、その反射光をフォトトランジスターが検出します。この反射光の強度や角度から物体までの距離を推定するといった仕組みになります。
赤外線センサーの仕組み
一般的に反射光が強いほど壁が近く、弱いほど遠いというように判断されます。かなりシンプルでわかりやすい仕組みですね。
アノード・カソード
お待たせいたしました。やっと本題のアノード・カソード問題についてお話できますね。
LEDにはアノード・カソードと呼ばれる極性が存在します。アノード側からカソード側に向かって電流が流れるため、プラス側にアノードを、マイナス側にカソードを接続する必要があります。この接続の向きを間違えてしまうとなんと電流が流れないようになっていて、LEDの種類や電圧によっては壊れてしまうこともあるので、要注意なポイントです。
じゃあどうやってアノードとカソードを見分けるの??といったところですが、一般的にはダイオードは足の長いほうがアノード、短いほうがカソードと言われております。
どっちがアノード?
これらの知識は製作実習前の研修で学んでいたため、赤外線センサーの動作確認のためのテスト回路をブレッドボードで組む際に「長いほうがアノードね!!」と意気揚々と作業に取り掛かりました。これが実際に作成したテスト回路です。
赤外線センサーのテスト回路
この回路を組んだ時はjの穴からfの穴、eの穴からaの穴にかけて順番に電流が流れると思っていたため、きっちり順番通りに配線を組み、かなり汚いレイアウトになってしまっています。これも新人らしいミスですね。
勘違いの図解(簡略化のためLEDの回路のみ)
それはさておき、回路は間違っていないはずなのに、なぜか赤外線がLEDから照射されないという問題が発生しました。「赤外線って目では見えないのに、どうして照射されていないってわかったの?」と疑問に思った方がいるかもしれませんね。実は、スマートフォンのカメラを使用すると簡単に確認することができるんです!しかも確認方法はとっても簡単!なんとスマートフォンのカメラを通して赤外線LEDを見るだけ!スマートフォンのカメラやデジタルカメラでは赤外線を可視化することができるため、画面上に白や紫っぽい光が見えた場合、赤外線が照射されていると確認することができるのです。
※カメラによっては確認できないものもあります。
カメラ越しに見たLEDから照射された赤外線
テスト回路のLEDを、実際にカメラを通して見たところ、本来なら上の画像のようにピンク色っぽい光が確認できるところ、何の光も確認できなかったため、赤外線が照射されていないと判断しました。アノードとカソードを逆に取り付けてしまったかな?と思い、一度取り外して確認してみても、きちんと長いほうをプラス側に繋いでいました。何度回路を確認してみてもおかしなところは見つかりません。そこで赤外線LEDのデータシートを確認したところ、なんと、このLEDは短いほうがアノードだったのです。いやぁ、まさか「長いほうがアノード」という概念を1か月足らずで覆されるとは思いませんでしたね。LEDの向きを変えて繋ぎ直したところ、これまた簡単にLEDが照射されるようになりました。幸い壊れる前に気づくことができたみたいです。LEDって本当に1方向にしか電流が流れないんですね~~。
まとめ
とにかくまずはデータシートを読みましょう!!
これが今回の失敗で得た一番大きな学びです。自分の持っている知識を過信しすぎてはなりません。これを今後の教訓として胸に刻みたいと思います。
これをお読み新人のみなさん!ものづくりに挑戦する際は、必ず製品のデータシートを読み込むことをおすすめします!!
以上、新人FAEパワーちゃんのかわいらしい失敗談その①でした!