なるほどブレインテック第4回 ~"ブレインテック×デジタルツイン×メタバースとの融合"~脳波を使ったビジネスの未来構想、どう変わるのか?~ 講演レポート

 

20231018()に、なるほどブレインテック第4ブレインテック×デジタルツイン×メタバースとの融合~脳波を使ったビジネスの未来構想、どう変わるのか?~ のウェビナーを開催いたしました。

今回は、ブレインテック専門企業であるBeam Me up(以下、BMU)社の井本様をゲストにお迎えし、NVIDIAOmniverse™製品担当の弊社社員との対談形式で『メタバース、デジタルツインの実際のユースケース』、『デジタルツイン×ブレインテックの可能性』についてお話しいただきました。



左より:[パネリスト] NVIDIAOmniverse™担当 株式会社マクニカ 大窪、[ゲスト]BMU社 井本様、[ファシリテーター]株式会社マクニカ BRAILコンサルタント 村田


本記事では、当日行われたウェビナーの内容をレポートにまとめております。以下動画と合わせて、是非ご覧ください。

BMU社様のご紹介

まず始めに、今回のゲストである井本様より、BMU社についてご紹介いただきました。

ゲーム開発における課題や想いから起業されたBMU社

井本様BMUは、2013年に設立されたモントリオール(カナダ)の会社です。

元々は、ゲームの翻訳やバグチェックを行う会社でしたが、『ゲーム開発の際に発生するフォーカスグループの作業にかかるコストと時間を縮小させたい』という思いや、『ゲームテスターのリアルな感情を“脳波を測定すること”により、ゲームに反映させたい』という想いから立ち上げました。

製品開発におけるマーケティングリサーチ)

ユーザーのリアルな感情を把握する

井本様:今回のセミナーで紹介する、当社の「NEO(ネオ)」という製品は、脳波を使った“感情測定”および“録画”ができるツールです。専用のヘッドセットを使用して“脳波を測定”し、その情報を基に“AIが感情を測定”するという仕組みになっています。

NEO」の特徴としては、ゲームプレイ中だけではなく映画やコマーシャルなどのコンテンツを見ている時の感情も測定することができ、どの部分に興味があるのか、どの部分をつまらないと感じているのかなど、“ユーザーのリアルな感情”を把握できることが挙げられます。

また、リアルタイムで感情を計測し、その結果を記録しておくことができるため、後から感想を思い出す手間が省けることや、より客観的なパフォーマンス評価を付けられることもこの製品の特長となっており、“様々なジャンルでのコンテンツ評価”で活用が期待できる製品です。

「NEO」活用事例のご紹介

軍隊でどのように “脳波計測”が使われるのか?

次に、「NEO」の実際の活用事例として、カナダ軍隊でのトレーニングの事例をご紹介いただきました。

こちらの事例では、隊員たちがホロレンズを着用し、“バーチャル空間上でトレーニングを行っている際の感情”を、“脳波計測”により読み取っているそうです。

この際、司令官も同じくホロレンズを着用しており、隊員たちが“どこで危険や恐怖を感じているのか”を把握することができるため、“指導時間の短縮”や“メンタルケア”などに活用できるとのことです。

さらに、少し先の未来でのお話として、SDK(ソフトウェア開発キット)についてもご紹介いただきました。

VRと組み合わせた “脳波計測”で認知症対策

井本様:こちらは、ブレインマシンインターフェイスとなっており、ユーザーの脳波から読み取れる感情に応じてゲームのシーンや音を変化させたり、ボタン操作を行ったりできるソフトウェアです。

このソフトウェアを“VR”と組み合わせて活用することで、“高齢者向けの認知症対策”プラットフォームの提供を目指しているそうです。実際に製品が完成すれば、世界的に問題となっている少子高齢化への課題解決にも役立つことが期待される技術となっています。

デジタルツインの空間を構築し、何ができるのか?

ここからは、“デジタルツイン”およびNVIDIA社「Omniverse™(オムニバース)」のご紹介をさせていただきます。

“デジタルツイン”とは、工場や建物など、通常現実空間の中にあるものを仮想空間上で再現し、その中で分析やシミュレーションを行い、その結果を基に現実空間の最適化を図るための仕組みです。

物理的なスペースおよび機材の用意や、それらの搬入に伴う人件費・材料費などのコストを削減しながら新しいことに挑戦できるということが、デジタルツインの最大のメリットと言えます。このようなデジタルツインの空間を構築するにあたって今回ご紹介したのが、NVIDIA社(米)が提供している「Omniverse™」というプラットフォームです。

この製品は、ソフトウェア用のプラットフォームとなっており、NVIDIA社が提供している“自動運転”や“環境分析”のアプリケーションなどと組み合わせて環境を構築することが可能だそうです。

また、NVIDIA社の製品以外でも、現時点で約220の様々なツールと連携して活用することができるため、物理法則や推論モデルを入れ込むなどの工夫により、“工場のシミュレーション”など多様な環境での検証のアウトプットに活用することができるそうです。

「Omniverse™」活用事例のご紹介

-BMW社の事例-

Omniverse™」を実際の業務の中で活用している企業として、まずはBMW社の事例が紹介されました。

BMWでは、2025年にEV(電気自動車)工場の新設が決まっており、その新設にあたって「Omniverse™」を活用しています。

現実にはまだ存在していない建屋を仮想空間上に作り、ラインの最適化や人員のシミュレーション、ロボットのトレーニング準備などを事前に実施しておくことで、最適化された状態で工場を稼働させることができます。

通常であれば、工場の完成から稼働まで1~2年の期間を要するところ、この期間を短縮してすぐに稼働させることができるのは大きなメリットと言えます。

 

-Amazon社の事例-

次にご紹介されたAmazon社の事例では、“物流拠点でのロボットトレーニング”に「Omniverse™」を活用しています。

Amazonの物流拠点(Amazon Robotics)では、コンテナの自動搬送ロボットが稼働しています。このロボットの“搬送精度を向上”させるため、「Omniverse™」のレプリケーターという機能を使い、画像AI学習のためのデータを生成しています。

通常は、ロボット目線の映像を撮影しデータを仕立て上げる作業が必要となりますが、その映像を仮想空間上で簡単に作ることができるため、“開発にかかる作業時間とコストの削減”ができるだけでなく、“AIの精度自体も約98%まで向上”したという結果が出ているそうです。

メタバース、デジタルツインx ブレインテックの可能性

最後に、これまでご紹介させていただいた、BMU社のブレインテック技術とNVIDIA社のデジタルツインの技術を組み合わせることで、『これから先の未来でどのようなことができるのか?』ディスカッションを行いました。

(村田)
デジタルツインの技術だけでも十分先進的で広がっていきそうなイメージがありますが、あえてブレインテックを取り入れることのメリットを教えていただければと思います。

(大窪)
フォトリアルな空間を形成し、リアルに近い環境の中でユーザーの脳波を計測することができれば、“様々な業界で活用”ができるのではないかと考えております。
例えば不動産業界では、マンションプラザなどで建物を実際に見に来ていただく前に、『どのような機能設備があればお客様の感情を動かすことができるのか』、検証することができます。
また、広告効果の事前検証といった、『今はないものを実現しながらユーザーの感情を分析できる』というのが、ブレインテック×デジタルツインの最大のメリットだと思います。

(井本様)
やはり、コンテンツを作る側がユーザーの感情を知ることで、『開発中の製品に対する評価を事前に把握し、改善していくことができる』というのは非常に大きなメリットですね。
これから先、バーチャルトラベルなど、何か事情があって旅行に行けない方向けのコンテンツを作るなど、応用の範囲は本当に多岐に渡ると考えています。

(村田)
特に、“マンションや住宅設計”での『仮想空間の活用』というのは、今すぐにでも必要とされる技術になると考えられるので、『そこに感情分析を取り入れる』というのは非常におもしろいですね。

(大窪)
不動産業界では、内見の際の『お客様の気持ちがいまいちわからないという課題』があるので、まさに最適な活用方法になると思います。

このように、『現状の課題解決から、少し先の未来でのコンテンツ作りまで』、デジタルツイン×ブレインテックの活用は幅広く取り入れることができるのではないかと、話に花が咲くディスカッションとなりました。

まとめ

さて、第4回目となる今回のセミナーでは、今話題の『メタバース・デジタルツインの技術とブレインテックを掛け合わせることでどのようなことができるのか?』実際の活用事例から少し先の未来の話までご紹介いただきました。

双方のメリットを最大限に活かすことで、『ユーザーの気持ちを取り入れた、より実用的なコンテンツ』が今後たくさん生まれるのではないかと考えられます。

この記事をご覧いただいているみなさまのお悩み事の中にも、マクニカが提供する技術で解決できることがあるかもしれません。是非一度、みなさまが抱えている課題をお聞かせいただき、最適なソリューションについて一緒に考えてみませんか?

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