ブレインテックx製造業

製造業ユースケース

【AIxブレインテック ユースケース】
会社情報:機械部品メーカーK社

近年、製造業において熟練技能者の高度な技術や経験をいかに継承していくかが大きな課題となっています。引退の時期を迎えた熟練技能者から、彼らが蓄積してきたノウハウを引き継ぐことが非常に難しくなっているためです。従業員3000人規模の機械部品メーカーK社も同様の課題を抱えていましたが、これを解決すべく導入したのが、マクニカが提供する人間の脳とAIを融合させる「ブレインテック」技術でした。InnerEye社のAI製品を活用するこのソリューションは、人の判断を脳波から瞬時に読み取り、その結果をAIに学ばせることで、少ないデータ数で効率の良い学習を可能にするというものです。これにより、熟練技能者の判断を短期間でAIに取り込むことができ、その技術や経験を継承できるようになると期待されています。

不良品の見逃しは顧客の損害に直結…検査を支える熟練技能者の目

昨今、高度な技術・経験を持つ熟練技能者がなかなか引退できないという問題がクローズアップされています。本来であれば次世代の技能者を育ててバトンタッチすべきところですが、労働人口の減少や雇用形態の変化などもあって企業はなかなか後継者を確保できず、近い将来、製品の生産やサービスの継続が難しくなるものもあると言われています。

特に、熟練技能者が長年蓄積してきたノウハウは往々にして言語化が難しいため、これをシステムによって自動化することは困難です。こうした背景もあり、高度な技術・経験をいかに継承していくかが製造業にとって喫緊の課題となっています。

写真はイメージです

従業員規模が3000人、大手企業に位置付けられるK社は、機械部品の製造・販売を行っているメーカーです。同社の部品は高品質と評判で、製造ラインで使われる加工用機械製品から自動車や冷蔵庫など一般に販売されている製品まで、多岐にわたり使用されています。

「しかしながら、当社も同様の課題を抱えていました。経験をベースにした暗黙知、傍から見れば『職人の勘』ともいえる高度な技術を持った熟練技能者の多くが、数年のうちに定年を迎える予定だったからです。特に目視検査の工程では、熟練技能者の不良品を見出す目が、お客様の品質要求に応える上で大きな役割を担っています。仮に彼らが引退したことで不良品の見逃しが頻発するようになれば、お客様に多大な損害を与えてしまうことにもなりかねません」(K社)

そこでK社は、どうにか彼らのノウハウを継承しようと試みましたが、このような技術は言語化しにくく、当然マニュアルに落とし込むこともできません。以前は長い実務経験、いわば“修行”を通じて後継者を育てていましたが、人手不足が深刻化し、労働者の意識も変わってきている現在ではそれも困難です。とはいえ、このままでは製品の品質、ひいては事業継続にも支障が出てしまいます。
「日々真剣に品質と向き合っている現場からは『○○さんがいなくなったら品質が保てなくなる』『△△さんの代わりはいないがこれからどうなるのか』等、不安の声が上がるようになってきており、対策は急務でした」(K社)

人間の脳とAIが融合、少ない時間とデータで効率的に学習

そこでK社が目を向けたのがAIでした。とあるベンダに相談し実証実験も行ったのですが、暗黙知を必要とする技術をAIに学習させる際にはかなりの時間を要します。さらに、もともと不良品はめったに発生しないため、使えるデータの数が少なすぎ、なかなか学習が進みませんでした。結果的に、現場で使えるような精度を出すことができなかったのです。

そこでK社は別の方法を検討することにしたのですが、このとき出会ったのがマクニカが提供する人間の脳とAIを融合させる「ブレインテック」技術でした。InnerEye社のAI製品を活用するこのソリューションでは、人の判断を脳波から瞬時に読み取り、その結果をAIに学習させることができます。さらに脳波から人の疲労度、集中力等を測り、確信度として学習に取り入れることで、少ないデータで効率的に学習できます。
「熟練技能者の脳内で行っている判別アルゴリズムを直接AIへ取り込むという画期的な考え方に注目しました。従来のAIモデルと比較すると、大幅に少ない時間とデータで学習でき、精度も向上するとのこと。これなら熟練技能者の暗黙知を素早く学習させ、目視検査の自動化が実現できると考えました」(K社)

加えてマクニカは、InnerEye社のAIと組み合わせて使える、さまざまなデバイスを取り扱っています。ゴーグル型、ヘッドマウント型、ヘルメット型、イヤホンタイプなど、利用シーンに合わせたデバイスを選択することが可能です。こうした点を評価し、K社はブレインテックの採用を決めました。

不良品を見出す目の継承が実現、「暗黙知」を未来につなげる

K社は、脳波測定デバイスから熟練技能者の脳波を取得。その判断をAIに取り込み、課題となっていた不良品を見出す目の継承に取り組んでいます。この際、不良品のデータが少なくても、効率よく学習できることが大きいと評価します。

「こうして熟練技能者の技術や経験を継承するのはもちろん、それをシステムによって自動化することで、属人化を排除できるのもメリットです。熟練技能者でも検査が長時間に及べば集中力が落ちてきて、最悪ミスにつながる可能性がありますが、システムならそれもありません」(K社)

なお、今回の導入にあたっては、K社の強い希望により、マクニカのエンジニアが定期的に脳波採取の場に立ち会いサポート。暗黙知を未来へ継承していく支援を行っています。

これ以外にも、マクニカはブレインテック技術への取り組みを続けています。このほど、オープンイノベーションを通じた新たな付加価値の創造を行い、ブレインテック技術の社会実装を推進していくための組織として、BRAIN AI Innovation Lab. (BRAIL=ブレイル)を設立しました。InnerEye社の技術のほか、世界中の大学や企業との連携を通じてプロジェクトや実証実験を進め、BRAIN AIの適用範囲を拡大。生産性向上や人手不足の解消といった社会問題の解決に貢献していきます。

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