● こんな方におすすめ ●

・監視システムのAI導入を検討されている方
・交通業界でAI運用を検討されている方
・最新の自動監視AI事例や技術を知りたい方

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はじめに

大盛況の中閉幕となった2021東京オリンピック・パラリンピック。
コロナ禍で無観客となってしまいましたが、オリンピックにおける市場の変化や働き方の変化は今後も大きく影響してくるでしょう。
またコロナの影響はもちろんのこと、国内でも人口の地方分散の兆しが見えたりと、オリンピック・パラリンピック後はさまざまな業界で産業・技術体制が新旧交代すると言われています。
そこで今回はオリンピックで成長した自動監視について、交通業界における最新事例および技術を紹介したいと思います。

手動監視が抱える課題

そもそも、監視業務の自動化への動きが加速した背景には、東京オリンピック・パラリンピックが大きく影響しています。
多くの監視業務が増えることが予想され、手動監視を行う人々の作業負荷の軽減やリソースの削減が必要となりました。

また、近年では画像解析の市場規模も大きく成長しており、画像認証技術も同様に進歩していたことも追い風になりました。
人による「うっかりミス」は、どの作業においても発生する課題であり、人為的ミスが自動化により削減できるのであれば、リスクヘッジにもなります。

自動監視AI事例

では早速、AIを用いた自動監視事例をいくつかご紹介していきます。

事故の検知・予測

自動車事故や、車両故障によって失速・停車した車両を検出するシステム提案や事例が多く発表されています。
このような交通異常をほぼリアルタイムに検出するAIモデルは以前より存在し、現在はより新しいニーズに対する手法やこれまでとは異なるアプローチの手法も見かけます。

また、最近では論文でも実例(または実現に向けたシミュレーション)としてエッジデバイスやクラウドを活用し、より効率の良いシステム化に向けた提案を行う論文も多く見かけます。

ここでひとつ、最近提出された実現に向けた研究を紹介いたします。
車両同士の衝突シーンをAIモデルで判定するのではなく、魚眼レンズを持つ360度撮影可能なカメラを用い、交差点のインシデントを車両の軌跡から判断するというもので、2021年に提出された論文で提唱されたフレームワークです。
このフレームワークでは過去の車両の軌跡と比較し、交通インシデント車両を検出します。
下図のような360度カメラを使用することで1つの交差点に対し、1つのカメラ利用で全体を撮影かつ全体を監視することができています。

出典:Incident Detection on Junctions Using Image Processing
キャプション:Fig. 8. Example of a fisheye frame and bird eye view.
https://arxiv.org/pdf/2104.13437.pdf


事故は車両に限りません。
日本でもスマートシティの取り組みとして、具合の悪い人や、交通事故などを監視するカメラやシステムが導入されていますので、私たちの暮らしの中でも監視事例が増えています。

例として、下図は歩行者の事故を減らすために市内の動画データを利用して市民の行動を考慮したシミュレーションを作成し、現実と比較しながら事故の要因を見つけていくコロンビアの実例になります。スマートシティ構築の第一歩として事故の多い場所を改善していこうという取り組みです。

出典:Datacentric analysis to reduce pedestrians accidents: A case study in Colombia
キャプション:Fig 3. Camera selected in Bucaramanga-Colombia.
Fig 5. Viswalk micro-simulation in San Francisco neighborhood.
https://arxiv.org/pdf/2104.00912.pdf

交通密度予測

そもそも交通事故の要因の一つとして、車両交通量の増加があります。
交通量増加は他にも環境汚染や健康問題、そして交通違反や緊急車両の通過阻害を引き起こします。

このような交通の生産性を低下させる交通量増加を防ぎ、最適な交通量になるよう信号機の制御などの自動化が世界で実施されています。

下図は、より計算コストが低い車両交通量密度推定を提案した論文から引用しています。
これは画像処理と機械学習技術をラズベリーパイ(必要最低限の基幹部品を1枚のボードに搭載した小型コンピュータ)で動かせるほど効率化された戦略です。
交通状況を示す画像からHOG(Histogram of Oriented Gradients)とLBP(Local Binary Patterns)という画像の特徴を抽出し、交通情報を持つセルの数(以下の図の赤枠セル)から交通密度を算出しています。

出典:HOG, LBP and SVM based Traf ic Density Estimation at Intersection
キャプション:Fig 10. Results on video frames.
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2005/2005.01770.pdf

応用される物体検知×交通

ここまでご紹介した事例は物体検知モデルから得られたデータを活かした取り組みです。
物体検知に関する記事も非常に好評をいただいておりますので、是非ご覧いただければと思います!

物体検知×交通(車両検出)デモ動画

上記デモはAI City Challengeという交通にまつわるコンペティションでも使用された、YOLOv5を使用した、車両検出のデモです。
コンペティションが近年盛り上がっているように、交通業界でのAI利用や、利用に留まらない効果的・効率的なAIシステム開発は世界各地で主要なニーズとなっています。

デモのような物体検知のAI技術がベースとなり、得られるデータの利活用によってさまざまな応用が交通業界でも行われています。
まだ事例は少ない状況ですが、AIを利用したより良い社会の構築は、アイデアの数だけさまざまなアプローチが可能であるということも改めて伺い知ることができました。

 

■ 本ページでご紹介した内容・論文の出典元/References

Murat Tulgac, Enes Yuncu, Mohamad-Alhaddad, Ceylan Yozgatlıgil,“Incident Detection on Junctions Using Image Processing ”,Fig. 8. Example of a fisheye frame and bird eye view.,
https://arxiv.org/pdf/2104.13437.pdf

Michael Puentes, Diana Novoa, John M. Delgado Nivia, Carlos J. Barrios Hernandez, Oscar Carrillo, Frederic Le Mouel,“Datacentric analysis to reduce pedestrians accidents: A case study in Colombia ”,Fig 3. Camera selected in Bucaramanga-Colombia.,Fig 5. Viswalk micro-simulation in San Francisco neighborhood.,
https://arxiv.org/pdf/2104.00912.pdf

Devashish Prasad, Kshitij Kapadni, Ayan Gadpal, Manish Visave, Kavita Sultanpure Pune Institute of Computer Technology,“HOG, LBP and SVM based Traf ic Density Estimation at Intersection ”,Fig 10. Results on video frames.,
https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2005/2005.01770.pdf

論文を活用した事例はこちら

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