脳波はウソつかない!? 「NEO」を使った感情分析が面白かった! 【ブレインテック体験記 Vol.1】

近年はエレクトロニクスや機械学習、脳科学が目覚ましい発展を遂げています。そんななか、世界的に注目が集まっているのが、Brain(脳)とTechnology(技術)をかけ合わせた「ブレインテック」です。そしてマクニカでは、同分野で「脳波」を使ったさまざまなソリューションを展開しています。

今回はそんなブレインテックの面白さや奥深さを皆さまにもぜひお届けしたく、筆者が身体を張って(?)行った、脳波測定の体験談をレポート化しました!

「NEO」とは?

本企画の説明を事前に受けたときから、私はとてもワクワクしていました。なにせ、体験の内容が「脳波反応を利用した感情分析」と聞いていたからです。そもそも自分の脳波を測定するなど、今後の人生でも機会があるかどうか……!? しかも脳波から感情分析ができるなんて、なんとも面白そうではありませんか!

――そして体験当日、製品担当者からの事前説明がありました。まず、今回はNeuro Experience Optmizer(以下、NEO というソフトウェアサービスを使うこと。次に、色々なシーンで人が抱く感情の可視化・分析機能をNEOがもっていることです。

たとえば、人が映像を観たりゲームをしているときなどに感じる「楽しい」「つまらない」といった感情は定性的で、客観的な評価がしづらいものです。とはいえ、コンテンツの作り手はできるだけ精度の高いフィードバックをユーザーから得て、ブラッシュアップをしたい……。そこで、NEOの出番というわけです。

NEOのすごいところは、コンテンツに対するユーザーの感情や認知を素早く正確に読み取り、それを可視化できる点です。さらに、リアルタイムな感情変化もしっかりキャッチ。収集されたデータはWebでの閲覧やダウンロードにも対応しているので、作り手はそれを参考に、開発などをよりよい方向に進めることができます。

ユースケースはゲーム・映画・ドラマ・VRコンテンツなど、実に豊富。特にVRは没入しながら楽しめることがウリ ですが、その体験で得たものを正確に表現するのは至難の業……。しかし、確かに感情が定量化されれば、改善ポイントを探り当てるヒントになりそうです。NEOの使い方は、他にもまだまだ考えられます。こうした説明を聞くなかで、「ブレインテックの市場には、大きな伸びしろがありそうだ」と私は思いました。

ちなみに、NEOを開発したのはカナダのケベック州・モントリオールに本社を構えるBEAM ME UP社 (サイトは英語表記)。人々の行動や認知力の向上をビジョンに掲げた同社は、生体測定やAIなどの専門知識を有し、人工知能機能の組み込みモジュールを集約したソフトウェアを提供しているそうです。

実際に体験してみた!

準備編

一通り説明を受けたところで、ドキドキの本番へ。今回は、「動画を観ているときの感情」を計測することになりました。観たい動画を訊かれたので、私は最近ハマっている、とあるアニメの総集編をリクエストしました(この決断が、結果に意外な影響を及ぼす……)。

脳波測定には、Electro Encephalo Graphy(以下、EEG)という脳波計を使います。「NEOはあくまで脳波から感情を分析するソフトウェアなので、物理的に脳波を読み取るハードウェア、すなわちEEGが別に必要」とのことでした。また、EEGにはさまざまなタイプがありますが、今回はやや簡易的なものだったそうです。

▲ところどころから飛び出している突起物は、脳波を読み取る電極です。このヘッドセットの電極は10個でしたが、高密度のEEGだと、128個などもあるのだとか。

 

▲ヘッドセットと、動画を観るためのスマートグラスを装着。かなりシュールですが、本人はいたって真面目です(誰がター●ネーターや!)。
私は髪型の主張が強いので、ヘッドセットがあまり目立ちませんでした……。

今回使用したVITURE Inc.様のスマートグラスはこちら

計測(1回目)

ともあれ、計測スタートへ向かいます。動画の再生前、私は(どのシーンがくるかな~、好きなところだったらワクワクの感情が強くなったりするのかな~?)などと考えていました。

しかしその直後、私は底知れぬ絶望の淵へ沈むことになりました。
(このシーン、まだ見たことない……!!!!!)

そう。あろうことか、私は完全なる不意打ちで「ネタバレ」を食らったのです。そのアニメは現在も絶賛視聴中がゆえ、安易に総集編を観るべきではなかった……。あまりにも大きなミステイクでした。

(ヤバイよヤバイよ!)(でも続き気になる!)
ジェットコースターのように揺さぶられる感情。そしておよそ2分後、動画がストップ。計測データを見せてもらうことになりました。なんだかホッとしたような、もどかしいような……。人の感情は、なんともワガママだなと思いました。

こちらが、その結果です。感情が色分けされ、円グラフで示されています。特に強かった感情は「Worried(心配)」 で、26.67%でした。これはおそらく、(頼む!! せめて超重要なシーンだけは見せないで!!)とハラハラしていたからでしょう。

その後には「Calm(落ち着き)」が16.67%、Hopeful(期待)が15.00%と続きます。やはり好きなアニメということで、ワクワク感があったことの表れだと考えられます。それ以外では、「Confident(自信)」と「frustrated(イライラ)」が11.67%で同率、「Taken Aback(困惑する・不意を突かれる) 」の8.33%などが高めに出ていました。総じて、入り交じる期待と不安……といったところでしょうか。

この結果を受け、私は「NEOの精度は高い」と感じました。理由はもちろん、不意打ちでネタバレを食らった私の感情を如実に表現していたからです。もし動画の内容が私の観たことのあるシーンばかりだったとしたら、おそらくマイナス感情がもっと少なくなり、プラス感情がより多くなっていたことでしょう。

「脳波は、ウソつかないんだ――」。客観的にそう思える体験でした。

計測(2回目)

2回目の計測 は、激しいアクション映画でトライしました。銃撃シーンやカーチェイスなどが満載の、ハラハラする内容です。ちなみに、その作品はシリーズもので過去作を観たことがあったので、(久しぶりだな~)とも思っていました。

まず、1回目と同じグラフを見てみます。今度は最多が「Hopeful(期待)」で、43.33%でした。これは好きな作品への気持ちや、内容の面白さへの期待が素直に表れた結果と言えるでしょう。

次いで高かったのは、「Calm(落ち着き)」の20.00%、「Worried(心配)」の13.33%、「convinced(確信)」の11.67%などでした。スピード感と迫力のあるシーンを観て、落ち着き払いながらもどこかで心配をしているという、人の感情の複雑さが垣間見えます。また、1回目と異なる動画を観たことで、結果もまったく違うものになりました。

さらに、2回目の実施後はその結果を受け、もう少し詳細な解析をしてもらいました。

こちらのグラフでは、感情の揺れ動きを時間軸と共に見ることができます。項目数が多く見た目が複雑なので本記事では詳細を割愛しますが、データ閲覧画面ではピンポイントに絞った表示も可能です。そのため、「どのタイミングで、どの感情が特に強かったか?」などを把握するのに役立ちます。


最後は、「Engagement注意・興味)」を示したグラフです。こちらも時間軸と共に見ることができます。今回は54秒あたりまで非常に集中して観ていたのですが、 それ以降に大きく下がってしまったようです。私自身に心当たりはなかったのですが、動画内でシーンが変わったことで、無意識に興味が損なわれたのかもしれません。

いかなるコンテンツにおいても、ユーザーの興味度が下がることは基本的にマイナス要素だと考えられます。こうしたデータを得られることは、やはり有益だと言えましょう。

まとめ

今回は、筆者によるNEOの体験レポートをお届けしました。私にとっては初の試みで若干のハプニング(?)もありましたが、その精度の高さに驚くとともに、NEOが秘める可能性に、いち個人としても大いに期待したいと思いました。

マクニカでは、NEOを無料体験できるデモンストレーションの受付を随時行っています。コンテンツの開発などに携わる方々をはじめ、脳波を活用したソフトウェアやサービスにご興味のある方も、まずはご自身で楽しい脳波測定を体験してみてはいかがでしょうか!




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