展示会は、多くのBtoB企業にとって最大のリード獲得機会です。しかしその一方で、獲得した名刺が増えるほどフォローは後回しになり、せっかくの接点が商談につながらないまま埋もれていく。「展示会あるある」として語られるこの構図は、リソースの限られた新規事業チームにとってはより切実な問題です。
王子グループの経営支援を担う王子マネジメントオフィス株式会社。そのマーケティング企画部は、グループの新規事業・既存事業のマーケティングをサポートする部門として2025年に立ち上がりました。パルプモールドの事業化に取り組む同部にとって、展示会は既存顧客リストを持たない中での最重要の顧客接点です。
しかし、フォローの優先順位は営業担当者それぞれの感覚に委ねられ、いつまでにフォローするかという定義すらない状態でした。少人数のチームで数百枚の名刺に向き合うには、単純にリソースが足りていなかったのです。
同社が選択したのが、マクニカの展示会フォロー自動化ツール「おまとめ忍者 フォロー版」でした。導入後、獲得リードは約100件から約600件へと6倍に拡大したにもかかわらず、優先度の高いお客様には当日中にフォローが届く体制を実現。限られたリソースでも効率的かつ漏れのないフォローが可能となり、その成果は王子グループの経営層にまで報告されています。マーケティング企画部の皆様に、導入の背景と成果を伺いました。
王子マネジメントオフィス様の事業概要と、皆様の役割について教えてください
王子マネジメントオフィス株式会社は、王子グループのコーポレートマネジメントを担う会社 です。人事、経理、財務、企画といったグループ横断の間接サポート業務に加え、グループのマーケティング施策の推進 も担っています。
マーケティング企画部は、2025年にグループ会社の新規事業開発や既存事業のマーケティング支援を目的に立ち上がった部門です。現在はパルプモールドという紙の立体成型品に関するパッケージング事業ろーの事業化に取り組んでおり、展示会やWebでの顧客接点づくりからフォロー、商談化までを一貫して担当しています。その他にも近年はお客様の課題解決に向けて、王子グループの総合力を活かした提案活動を行っています。
今回の展示会では、どのような提案をされていたのでしょうか?
今回の展示会では「パッケージで製品価値を引き上げる」ことをコンセプトに掲げていました。当社が提案するパルプモールドは、単なる脱プラスチック素材ではありません。製品を保護する機能性に加え、デザイン性や高級感も表現できる紙製の立体パッケージです。化粧品や工業製品、日用品や食品など幅広い分野で活用でき、パッケージを通じて商品の魅力や価値を高めることができます。
展示会では多くのお客様と課題やニーズについて意見交換を行いました。そうした会話内容を確実に記録し、展示会当日からフォローできる体制を構築することも一つのテーマでした。
「フォローすべきかどうか」が、担当者の感覚に委ねられていた
Q. 導入前、展示会後のフォローにどのような課題を感じていましたか?
最も大きかったのは、フォローの優先順位づけが属人的だったことです。名刺交換をしたお客様のランク分けは、営業担当者それぞれの感覚で判断していました。そのため「フォローすべきリード」の件数も、担当者によって30件から100件くらいまでばらついてしまう状態でした。
フォローの期限も定義されていませんでした。いつまでにフォローするか、というルールそのものがなかったのです。展示会が終わって通常業務に戻ると、フォローが後回しになり、有効リードの商談を逃すこともしばしばありました。
名刺のデータ化についても、以前は手入力で対応していました。前年に名刺管理ツールを導入してからはスキャナーでの取り込みに切り替わりましたが、その先のフォロー業務は依然として手つかずのままでした。
Q. ブースでの会話内容は、どのように記録・共有されていましたか?
会話の内容は、後日の週報に記載する運用でした。フォローメールは基本テンプレートを用意しておき、覚えている内容があれば追記する、という形です。
ただ、数日経つとお客様と何を話したのか記憶が曖昧になります。結果として当たり障りのないテンプレートメールになってしまい、返信もいただけない。そうした悪循環がありました。
そして何より、少人数のチームで数百枚の名刺に向き合うには、リソースそのものが足りていませんでした。
ランク定義はできた。次に必要だったのは、それを回しきる仕組みだった
Q. ツールを探し始めた直接のきっかけは何でしたか?
転機になったのは、他社を参考にしながらリードのランク定義を整備したことです。誰が判断しても迷わずS・A・B・Cに分けられる基準を、ようやくチームで共有できました。
ただ、基準ができても、展示会当日にそれを回しきる仕組みがなければ絵に描いた餅です。定義したランクを現場でどう運用するか。そこを支えてくれるツールを探し始めました。
Q. おまとめ忍者を選んだ決め手は何でしたか?
決め手は大きく4つありました。
① ブースでの会話を音声で読み取れること
商談の内容をその場で音声として記録し、AIが内容を読み取ってくれます。記憶に頼らずに済むという点が、まず魅力的でした。
② フォローアップメールが自動で作成されること
会話の内容が反映されたメールが自動生成されるため、テンプレートに記憶を頼りに追記する作業から解放されます。お客様一人ひとりに合わせた内容を、無理なく届けられるようになると考えました。
③ フォロー状況をダッシュボードで確認できること
誰がどこまで対応したかがリアルタイムで見えるため、対応漏れや重複を防げます。属人化していたフォロー業務を、チームの業務として管理できるようになる点を評価しました。
④ リード情報をチーム全体で共有できること
これは導入前の想定以上に価値がありました。Sランクを多く獲得しているメンバーの情報を、チーム全員が見られる。誰がどんなお客様と出会っているかが可視化されることの意味は大きいと感じています。
Q. 社内での検討では、どのような点が論点になりましたか?
主な論点は2つでした。ひとつは、フォロー優先度の判定を本当に自動化できるのかという点。もうひとつは、費用対効果が見合うのかという点です。
前者については、ランク定義をすでに整備していたこともあり、その基準に沿った判定が自動で行われるのであれば運用に乗せられると判断しました。
検証開始から本格利用まで約1週間──「ボタンを押せば、すぐ使えた」
Q. 導入までにどのような準備をされましたか?
初回利用となる展示会の約1ヶ月前から動き始め、実際に「まず検証してみよう」となってから本格利用までは1週間ほどでした。展示会の日程は動かせませんから、このスピード感で立ち上げられたことは大きかったと思います。
ツールを入れるだけでなく、当日どう話し、どうフォローするかまで一緒に設計できたことが良かったと思っています。
Q. 現場メンバーへの説明や習熟には、どのくらい時間がかかりましたか?
ほとんどかかりませんでした。ボタンを押せば、すぐに使えます。操作に迷うような場面もなく、事前準備も含めて、とても楽に使えたというのが率直な感想です。
展示会リード「100件→600件」──導入後に現れた4つの効果
Q. 導入後、具体的にどのような変化がありましたか?
| 指標 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 展示会での獲得リード数 | 約100件 | 約600件 |
| リードのランク分け | 営業担当者の感覚に依存 | 会話内容をもとにAIが即時に提示 |
| 初回フォローまでの日数 | 期限の定義がなく属人的 | S/Aランクは当日〜翌日 |
| フォローメールの作成 | テンプレートに記憶を頼りに追記 | 会話内容を反映して自動生成 |
| フォロー状況の共有 | 週報ベース | ダッシュボードでリアルタイム |
獲得数の拡大への対応力向上
展示会では想定を大きく上回る約600件のリードを獲得しました。「おまとめ忍者」によりリード整理やフォロー業務を効率化できたことで、従来の約6倍となるリード数にも無理なく対応できました。その結果、担当者は接客や商談機会の創出に注力し、展示会成果の最大化につながりました。
フォロースピードの向上
会話を記録すると、AIが内容をもとに即座にランクを提示します。S・Aランクのお客様には、その日のうち、遅くとも翌日にはフォローできました。以前は期限の定義すらなかったことを思えば、大きな変化です。さらに、展示会の会場内でそのままアポイントを獲得する「即アポ」にも取り組みました。アポイント率は格段に上がっています。
メール品質の向上
会話の内容が反映されたメールが届くため、お客様の反応が変わりました。返信率も明らかに違います。「覚えていてくれたんだ」と感じていただけているのだと思います。担当者にとっても、メールを書くときに何を話したか思い出す助けになり、一人ひとりに丁寧な文面を書けるようになりました。
チームの意識変化
これまで展示会後のフォローは、正直なところ、だらだらと続く業務でした。それが今回は、チーム全員が「その日のうちに対応する」という目標を持って動けた。やり切れたという手応えを、メンバー全員で共有できたことが一番の収穫だと感じています。
経営層への報告、そしてグループ全体での活用へ
Q. 社内での反響はいかがでしたか?
今回の成果は、王子グループの経営層にも報告させていただきました。展示会のフォローという現場の業務改善が、獲得リード数という目に見える成果につながったことで、経営層にも価値が伝わりやすかったと思います。
現在は、グループ全体での活用に向けた検討も進めているところです。
Q. 一方で、次の課題として見えてきたことはありますか?
想定を上回る来場者にお越しいただいたこともあり、S・Aランクのお客様までしか商談内容を記録しきれなかった場面がありました。また、従来どおりExcelでの管理を続けたメンバーも一部にいました。
そういったメンバーのフォローアップは抜け漏れが発生している可能性が高く、次回は、全ランクのお客様の会話をきちんと残せる体制で臨みたいと考えています。運用として全員に定着させることが、次の課題です。
Q. 最後に、展示会のフォローに課題を感じている企業へアドバイスをお願いします
展示会のフォローアップに割けるリソースが足りていない企業には、間違いなく効果があると思います。私たちのような少人数のチームでも、600件のリードにきちんと向き合うことができました。
そして、重要な商談ほど、記録を残してその日のうちにフォローする。当たり前のようでいて、今までできていなかったことです。それが仕組みとして回るようになったことが、おまとめ忍者の一番の価値だと感じています。