グループ一丸で目指す、AIとの進歩
──へいせいグループ様
へいせいグループは土木・建築・住宅・リフォーム・不動産といった街づくり事業に加え、清掃・介護・食などの暮らしのことまで、幅広い事業を手がけています。そんな同グループでは猛スピードで進歩を遂げるAIの様子を目の当たりにし、現場や経営層といったレイヤーを問わず、「今後はAIの活用なくしては生き残れない」と実感。今回のワークショップを通じ、新たなノウハウの獲得を目指すに至りました。
本インタビューの参加メンバー
へいせいグループの方々
- 株式会社へいせいグループホールディングス 主任 照本 旭生様
- 株式会社へいせいグループホールディングス 広報主任 永翁 慎介様
- 株式会社新希望 社長室 室長 ケア・ラポート野間 施設長 原田 康平様
- 株式会社へいせい 建築部 係長 山下 有子様
現場と経営層の距離が近い、地域密着型の会社
――最初に、御社について教えてください。
照本様:今回のワークショップは株式会社へいせいのみではなく、へいせいグループとして参加させていただきました。私たちのグループは、下記のような創業の精神・経営理念・行動指針を軸に、福岡市西部エリアから糸島市地区の全般をカバーしつつ、地域に密着したさまざまな事業を展開しています。
画像出典:株式会社へいせい ホームページ,https://heisei-g.co.jp/message/(参照 2024-08-19)
――皆さま本当に明るく元気で、経営層やコーポレート層と現場の距離も近いと感じました。
照本様:へいせいグループにはグループ会社をまたぐ委員会組織があって、今回のワークショップのような取り組みを随時推進しています。私は入社から3年ちょっとですが、会社間の繋がりが強いのはこの委員会のおかげだと思います。現在はWeb戦略・財務戦略・社会貢献など12種類の委員会があって、社員は基本的にどこかの委員会に所属しています。前職もグループ会社は存在していましたが、そのときはまったく関わりがなかったので、状況がまったく違うと感じています。
――確かに今回のワークショップは横断的に行われたものでしたが、最初から盛り上がっていましたね。
原田様:やはり知らない方と同じ班になって何かをするのが初めてではないので、グループ全体で行われる研修などと同じような感覚で参加できるのだと思います。
新たなチャレンジにはAIが不可欠と判断
――今回はなぜ、AIワークショップの開催をご希望いただいたのでしょうか。
照本様:AIが進歩しているというざっくりとした感覚は上層部も私も以前から持っていたのですが、ChatGPTの流行と共にAIの進歩が顕著になり始めたころから、「今後はAIを活用しなければ、時代に取り残されて生き残れなくなる」と感じ始めたからです。
特に新型コロナウイルス感染症の影響に耐えきれなかった中小企業が多くあるなかで、同様の立場にある私たちはまだ他社がしていないことに挑戦したり、他社が始めたことに追随したりしなければなりません。その観点からも「今後はAIをしっかり取り入れていこう」という考えが経営層にもあったのですが、何からどのように進めればよいかなど、グループの皆さまのAIに対する印象は未知数でした。そこで、最初に勉強会を行うことになりました。
――照本様が主導されたのですね。
照本様:幹部会でAIのすごさや、活用しなければならない背景などをプレゼンして経営層の同意を得たあと、AIを学ぶための勉強会や教育ツールなど色々な手段を探して、多くの会社に話を聞きました。そのなかで見つけたマクニカ様とタミヤ様のワークショップには、実践形式かつ体系的に学べるという他にはない特徴があり、楽しく学べそうだなと思ってお願いしました。
――最先端テクノロジーの導入などでは経営層の説得がハードルになる企業も少なくありませんが、その点はまったく問題なかったのですか?
照本様:完全に賛同していただける方もいれば、そうでない方もいました。ただ、今回の場合は「それでもやっていかなければならない」というところに落ち着きましたね。
――アドバイザーの原田様から見ていかがですか。
原田様:照本の言う通りです。思えば長い時間をかけてきましたが、「一度触ってみなければ何も分からないし、部下に情報を伝えることもできない」ということで、今回のワークショップ実施に至りました。ワークショップを終えた今でも皆がAIの説明をすることは難しいですが、使い方自体はそこまで難しくないし、使えば便利という共通認識はできたと思います。原動力となった照本がいなければ私はマクニカ様の社名も知らなかったですし、有料のChatGPT4を使うこともなかったでしょう。それほど彼の存在は大きいです。
AI初心者でも楽しく学べた!
――山下様はワークショップについて、どのように感じていましたか?
山下様:私もAIについて説明できるほどの知識はなかったのですが、楽しそうなので参加してみたいと声をあげました。何をするのかも分からない状態でワークショップ会場に行った結果、率直に言うととにかく楽しかったです。会場で説明を受ける前にロボットを見たときは「機械かあ、どうなんだろう?」などと思っていましたが、いざプログラムが始まると皆と試行錯誤しながらワイワイ楽しむことができて、まずは体験することが本当に重要だと身にしみて感じました。
――聞き慣れない単語も多かったと思いますが、座学との実践でAIのイメージは代わりましたか?
山下様:座学には難しい言葉やカタカナが多かったので、メモをして後で自分で調べたりもしました。教えていただいたことのなかでは、小さな成功体験の積み重ねが大事だという「Small Win&Quick Win」がとてもいいなと感じました。
――普段の業務のなかでテクノロジー活用はしていますか?
山下様:これまで分からないことはGoogle検索するのがベースでしたが、現在はCopilotやClaudeを利用しています。ただ、まだ壁打ち相手に利用している程度なので、今後はもっと活用していきたいです。私は建築部の営業事務職としてさまざまな業務をしているのですが、まだまだアナログでの作業や確認が多く、そこに時間を費やすのがもったいないと感じるようにはなりました。
――広報の永翁様はいかがでしたか?
永翁様:私は入社してまだ半年以内ですが、こういった取り組みは社外にもどんどん発信していきたいですね。また、担当している住宅のマーケティングでボディコピーやキャッチコピーを今までは自分で考えていたのですが、Claudeを知ってからはかかる時間が10分の1くらいになりました。AIは便利という認識は皆さまもお持ちだと思うのですが、それを体系的に説明していただける機会はなかなかないので、非常に貴重な経験ができたと思います。
プログラムのなかで自律走行AIのレースをしたのですが、あれで本当に「Small Win&Quick Win」を実感できましたし、「AIを使うとこんなことができるんだ」ということに結びついて良かったです。へいせいグループではもともと「まずはやってみよう」という考え方を大事にしているので、通ずる部分もあった気がします。
――ちなみに共催のタミヤ様はミニ四駆で有名ですが、やはり男性だと心惹かれますか。
照本様:私たちはみんな世代ですし、現役でやっている仲間もいますね。
山下様:ステッカーをもらってめちゃくちゃ喜んでいる参加者もいました(笑)。
――参加者としての感想も伺えますか、原田様。
原田様:自律走行AIに指示を出すための写真は撮影枚数に目安が設けられていましたが、実は参加者に「言われたことは守らなきゃ!」という人が少なく、また「写真を撮るだけなら簡単だ」と写真を撮りまくっていたのが印象的でした。ただ、結果的には写真を多く用意したほうがAIの精度が高くなることが分かって良かったですね。
AIにやってもらう業務と、AIには難しい(人がやる)業務をふせんに貼って振り分ける終盤のプログラムでは、全部を前者にしているかたもいました。「私たちもういらないね」などと笑いながら言っていましたが、それだけ可能性を感じたのではないでしょうか。いま自分たちが行っている業務が今後AIでもできてしまうことについて、これからは人間の私たちにしかできないサービスや寄り添いなどにフォーカスしていく必要性にも気づけたことも、非常に良かったと思います。
――AIに任せられる仕事もあることに気づき、空いた時間で何をできるかという前向きな会話への第一歩を踏み出せたのですね。今回は若い方もいらっしゃいましたが、参加者の選定やグルーピングはどのように行いましたか?
照本様:ワークショップの内容をこちらでまとめたうえで、原田経由で幹部の方々に一任し、そこから下ろしてもらいました。
原田様:細かい指定はしていませんが、私がなるべく若い人を選んでくださいと言った気がします。それと、女性も複数名選ばれていましたね。へいせいグループでは総務関連の業務に携わる女性の方が多く、その領域はAIを活用しやすいという判断だったのだと思います。
――照本様はワークショップ全体を通してどのように感じましたか?
照本様:一定の反響は予想していましたが、期待値よりもよい反応をもらえました。かつてはAIに対する社員の興味度合いは低かったのですが、今回のワークショップについて幹部会で報告するためにアンケートを集計してみたところ、強く興味を持ってくれたかたが明らかに増えていました。また、終了時には色々な人から「楽しかった」「おまとめ忍者(マクニカ開発のアプリ)を導入してほしい」といった声も聞けました。
――山下様はアンケートにどんなことを書きましたか?
山下様:私たち自身が新しいことに触れる時間を楽しませていただいたことや、マクニカ様とタミヤ様が、本当に楽しそうに運営に取り組まれていたことなどです。今回のワークショップを通じて初めてホームページを拝見してそれぞれの会社のことを知って、ブログなども読ませていただき、「私たちもこんな風に働きたい」と思いました。お互いに業務を進めるなかで難しいことや厳しいときもありますが、一生懸命に楽しく自分たちの商品やサービスを提供できる環境にいらっしゃることを羨ましく感じると同時に、「私たちにももっとできることがある」と刺激になりました。
デジタルと人の共存を目指して
――最後に、今後のへいせいグループの変革について原田様と照本様に一言ずついただければと思います。
原田様:グループ内でお互いに見ているものも任されているものも違いますが、管理に関しては照本がグループの柱になっていることは間違いありません。私がどうこうではなく、彼がどうしたいのかを一緒に考えて後押しできれば、私は必ずうまくいくと思っています。
照本様:(AIの活用を含め)デジタルで処理すべき部分と、人間が対応すべき部分を棲み分けて、働きがいのある環境を整えることが私の目標です。株式会社へいせいだけでも非常に大変なことではありますが、最終的にはグループ全体での適応も見据えながら、皆さまがへいせいグループで働いていることを自慢できるような、働きやすくて魅力のある職場環境をつくっていきたいです。
へいせいグループ
- 事業内容
- 土木・建築・住宅・リフォーム・不動産・清掃・介護・健康・食・運動・生活インフラ整備
- 創立
- 1947年8月
- 従業員数
- 約600名(2024年9月時点)
- ウェブサイト
- https://www.heisei-g.jp/
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