昭和電線ケーブルシステム株式会社は、2006年に発足し、建築に留まらずモビリティやヘルスケアなどあらゆる分野の電線ケーブルの生産開発を中心に事業を展開している。
前身の昭和電線電纜株式会社から数えると、実に80年以上日本のあらゆる業界に向け高品質な免震部材や精密デバイス、電線・通信ケーブルを提供。

現在は主にコミュニケーション・エネルギーシステム事業の営業から技術開発、資材の確保から製造まで一手に引き受け、日本の社会インフラを根底から支えている。

「喫緊の課題ではありませんでしたが、将来を見据えた取り組みとして自動清掃ロボ『Neo』の導入はとても有益でした」そう語るのはNeoの実運用を想定しながら製品検討を行っていた、同社電力システム部 電力ケーブル課 製造グループの松崎 峰雄様。

今回はNeo導入の経緯や、導入後のメリットについてお話しをうかがった。
(本記事は2022222日に行われたウェビナーの再録です)

未来を見据えた“課題”に対する解決策として自動清掃ロボット

松崎様:「弊社が自動清掃ロボットに着目したのは、清掃業務の省人化によるコストメリットに加えて、働きかた改革の取り組みの一環にもなり得るのではないかと思い、本格的に検討することになりました」

同社が採用を予定していた昭和電線CS愛知工場は55,000㎡の延べ面積を持ち、規模としては東京ドームと同規模。
マクニカの自動清掃ロボットは倉庫のほか駅や空港、ホテルでの実績も豊富にあるが、「工場」の場合は倉庫と同じく「動線が変わりやすい」という難点がある。
また、常時、埃にまみれており作業前に埃等の除塵が発生するケースもある。

そのほか、工場側としても新型コロナウイルスにより出社規制が発生、清掃はもちろんだが生産や事務作業などどうしてもリモート作業に代替できない業務は、少人数で回す必要があった。
こうした背景の中、自動清掃ロボットの導入は「ESGSDGsの観点でも非常に価値のある取り組みになるのではないかと思いました」と同社 資材調達部 調達企画 伊藤寛直担当部長は語る。

「そもそも清掃をやりたがる人はいないと思っています」と断じる伊藤担当部長は、働きがいやSDGsを特に重視。
本来の業務に集中し働きがいのある環境構築や、今後国際的に課題となっていく「水資源」についても、より効率的に利用する下地を作りたいと言った狙いがあった。
伊藤担当部長:「小さなことかもしれませんが、こういった取り組みを積み重ねていくことも企業としては重要なことなのではないかと思っています」

2019年、昭和電線ケーブルシステムを含む昭和電線グループは「かながわSDGsパートナー」に登録。同パートナープログラムは神奈川県が主催する官民一体となったSDGs普及促進活動

「清掃」はDXを実現しやすい、小さなきっかけにしやすい

松崎様:「重要なポイントはコスト面で清掃への人件費が削減できることと効果を早く出したくて12年で効果を実感できることの2点でした」

ここで敢えて「12年で効果を実感できること」を重要ポイントとして挙げているのは、会社全体、様々な業務で取り組んでいるDXの取り組みによる部分が大きいと伊藤担当部長は続ける。

伊藤担当部長:DXはオペレーションを大きく変える必要があるなど、どうしても時間がかかることが多く運用が軌道に乗るまでが長期化しがちでした。
今回の最重要課題は清掃にかかる人件費の削減で、『効果を早く実感できること』、課題解決までの期間を短縮することで削減効果も大きくなると考えました」


実際に現場での運用を担当している三浦翔太郎様は、現場での選定基準も紹介。
安全面と運用性、設備や資材への衝突がないか、ルート上に障害物があっても避けられるのか、運用者の負担が現状より増えることはないか。

前述したように工場では「動線が変わりやすい」、設備や資材のほか障害物も把握し衝突や事故を起こさないことは大前提。
衝突、事故も含めて操作や管理における、運用者の手間を細かく見ていったと三浦様は語った。
こうした検討の結果、自動清掃ロボットの導入は大きなオペレーション変更は要さず、「清掃対象エリアを決定し、非対称エリアをどうするか」の議論で済むなど、「DX化の難易度が低い」と判断。早速実現に向けて動き出した。

しかし、実際に運用をしてみると新たな課題が見えてきた。

実稼動して生じた新たな課題、再度検討へ

松崎様:「本当の意味で省人化が難しそうだなということがわかってきました」

洗浄のタイプによって、ゴミの掃き掃除は人がやらないといけない。運用面でも、自動清掃ロボットのルートマップの作成や調整で、新たな手間や費用がかかるなど、「自動清掃ロボットに期待しすぎていました」と松崎様は語った。

そこで再度、要望に近い自動清掃ロボットを探したところ、マクニカの自動清掃ロボット「Neo」に辿り着いたと伊藤担当部長は続ける。

伊藤担当部長:「正直、最初は最高級品だなと言う印象でしたが、課題と感じていたことがすべてクリアできましたし、運用面を含めたトータルのコストを計算したらメリットが大きいお値打ち品だと判断、導入を決めました」

ゴミ回収もできる追加ブラシにより、一台で掃きと拭きの掃除に対応ができるため、検討当初の目標「省人化」を実現できた。
また、価格に関しても、所定清掃時間などあらゆる数値データを算出、イニシャルコスト、ランニングコストとして「妥当か」を判断しやすかった点で「高評価でした」と松崎様は続けた。

製品到着から稼動まで3日、「効果は実感できている」

導入から約3年、「効果は実感できている」と3人がうなずく中、
三浦様は「初日から洗浄力に衝撃を受けました」と当時を振り返る。

三浦様:「そのほかにもスピードがはやい点は驚きました。自動清掃ロボットのスピードはそのまま作業生産性にも繫がります。
早歩きぐらいの速度で動いているのには驚きました。しかし清掃品質は期待以上です」




導入から稼動までは3日。製品の到着、手押しによるルートマップのデータ取得、翌日にはマップが作成され、スタッフのトレーニングも行う余裕を残しながらも3日で稼動。清掃にかかる人員数が70%削減。
週に一回30分の作業だったが、これが数十人分となると小さくない時間を本業に振ることができるようになった。



三浦様:
「あと、5Sの意識が高まったという声も聞こえてきました。これまでより通路が綺麗になったため、フォークリフトのタイヤ痕をつけないように走る社員も現れているようです」

また昭和電線ケーブルシステム様が「Neo」導入後に起きた新型コロナにおいても、従業員の出社制限により工場内の環境悪化が起きなかったのは「大きな満足点でした」と締めくくった。

現在は愛知工場の実績を基に別の事業所、拠点への展開を進めている。
また、中期経営計画の中での「変革」において「新しい技術を使って身近な業務から変えていく」成功事例のひとつとしてこれからの改革、変革につながる「小さな一歩になった」と伊藤担当部長は語る。

伊藤担当部長:「また社会課題解決型ビジネスを考えて行く上で、弊社のテーマのひとつ『労働人口不足の解決』において、Neoは相性が良く、新ビジネスのヒントになるようにも考えております」


最後に自動清掃ロボットの導入、運用に当たっての着眼点、成功のポイントをうかがった。

三浦様:「『どう清掃できれば綺麗になるか』これをしっかり考えたほうが良いと思います。
弊社で言えば、掃き掃除と拭き掃除のどちらも出来ないと綺麗になったとは言えません。『なんでもできる訳ではない』と考えた上で、それぞれのロボットの利点を見極めていくと良いと思います」

松崎様:「清掃ロボットはボタンを押せば走る訳ではありません。実際に稼動するための手間やコストを充分に検討するべきです」

伊藤担当部長:「価格はやはり高価になりますが、価格が手ごろでも『使えない、使われない』のでは意味がありません。
自社の目的に合っているのか、工場の環境に適しているのかを検討するべき。マクニカさんはそこも踏まえた観点で提案してくるので相談してみると良いです」


導入事例

下記ページでは、昭和電線ケーブルシステム株式会社様の導入事例をご紹介しています。
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