DXを推進してビジネスを成長させることが、業種を問わず再注目の課題になっています。DX推進の鍵を握るのは、IoTAI、そしてロボットです。マクニカが提供するのは、従来の単純な繰り返し作業を実行し続けるロボットではなく、顧客にパーソナライズされたサービスを柔軟に提供することができるスマートなサービスロボットです。デジタルデータを活用して、そのときの状況に応じた最適なアクションを選択し、実行します。

本記事では、取り組み例を紹介しながら、お客さまとの共創により目指すマクニカ版スマートロボットの将来像を紹介します。

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コロナ禍で加速した変化

2020年は、製造業だけでなくあらゆる産業にサービスロボットが広がるだろうと予想されました。
現在の私たちは、コロナ禍の影響により強制的なデジタルシフトを経験し、顔を合わせて行うミーティングがリモートで代替され、現地での人手による作業は自動化が進んでいます。手書きや紙の書類もデジタル化しつつあります。
リアルな店舗に買い物に行く機会が減り、eコマースの利用が爆発的に増え、非接触という新たな価値も出てきています。ところが、労働力不足の課題は未解決のままです。

新型コロナウイルス感染者が減少し、さまざまな行動制限が解除され、これから私たちの生活や経済が活発になると、一気に進んだデジタルシフトを活用してロボット、デジタルによる労働力の代替が進み、サービスロボットの利用拡大が、あらゆる業種で本格的に始まります。

また、ロボットがさまざまなシステムとつながり、高度なサービスが実現されることも期待されてきました。
単純作業を繰り返す従来型のロボットではなく、IoTセンサー、AI、外部のロボット、業務システムと連携し、臨機応変に作業を行うスマートなサービスロボットが高度なサービスを実現します。

つながるスマートなサービスロボット

労働人口が減少し、労働力が不足するこれからの時代は、高度経済成長期のようなモーレツな働き方ではなく、短い時間、少ない労働力でも高い成果を出すことが求められます。仕事にも私生活にも、充実したワークライフバランスが求められます。そこでは、「遠隔化」「自動化」「非接触」が新たな価値を提供します。

コロナ禍で進んだデジタルシフトにより、労働力不足や働き方改革のために必要なのが、先述したIoT/デジタルデータ、AI、ロボットです。ここの本題であるスマートなサービスロボットとは、どのようなものでしょうか。

従来型のロボットは、決められた作業、繰り返しの業務、均一な品質に特徴がありました。早く正確に作業でき、24時間365日働き続け、バラつきのない一定の作業品質などの極めて優れた特徴によりFAを中心に活躍をしています。
一方、スマートなサービスロボットは、決められた作業ではなく外部環境に合わせて、その場に応じた適切なサービスを行います。利用者に合わせたサービスを提供し、過去に実行したアクションの履歴に基づいて結果を学習することにより、さらに最適化されたサービスを実行します。

マクニカのスマートなサービスロボットは、外部環境に合わせたサービスを提供します。
IoT/データで時間や気象条件、その他外部イベント情報を入手し、それら情報を基にカメラで撮影されたデータから、人の属性情報や混雑状況、過去の利用履歴を合わせAIが解析することにより、ロボットが最適なサービスを実行していきます。
つまり、人を減らす、あるいは、同じ業務を人からロボットに代替するだけではなく、利用者にとってより役に立つサービスを提供するのです。人の作業では実現できなかった非接触のような新たな価値を生み出します。

未来は、ロボット単体で非常に優れたロボットを作ることも可能かもしれません。あらゆるセンサーを実装し、さまざまなアプリケーションを実行でき、移動ができ、モノを持ち上げられるロボット。
しかし、それは非常に高価です。ロボットに搭載したセンサーで取得できる情報は、ロボットの周辺だけです。

マクニカが提供するスマートなサービスロボットは、さまざまなシステムと連携して、臨機応変に動きます。
施設にセンサーやカメラが設置されているなら、そのデータを活用しない手はありません。
ロボット自体が限られた機能でも外部システムと連動する、異なる機能の複数台のロボットが連携することで、多種多様な機能を実現できます。

マクニカのサービスロボットと活用例

マクニカが現在取り扱うサービスロボットの「Relay」「Neo」「Temi」を紹介します。Relayは、ホテルのルームサービスをスタッフに代わり客室まで届けます。宿泊客が受付に「タオルがほしい」といった要望をすると、Relayがエレベーターも使いながら部屋までお届けします。
清掃ロボットのNeoは、空港やショッピングモール、物流倉庫、工場など非常に広大な床を持つ施設を一気に自動清掃します。自動で走行し、物体を認識して回避しながら最後まで清掃を行い、人手による長い作業時間を削減します。
Temiは、テレプレゼンス機能を搭載し、自律走行を行い、遠隔からでも現場にいるようにビデオコミュニケーションとさまざまなアプリケーションを実行できます。マクニカのプラットフォームと連携し、ロボット、アプリケーション、デバイス、デジタルデータ、AIがつながっていくことで、遠隔化と自動化を実現し、新たな価値を生み出します。

遠隔化では場所の制限を超え、あたかもその場にいるような臨場感のあるサービスを提供します。
自動化ではあらかじめ設定された時間に動くのではなく、「必要である」ということをトリガーにして、オンデマンドで最適なアクションを実行します。

次に3つの活用シーンにおける価値をご紹介します。まずはリテールでの売り上げアップの施策です。

・館内のご案内:毎日固定のご案内をロボットが代替します
・混雑の解消、機会損失の削減:混雑エリアからすいているエリアに誘導し、機会損失を削減し、売り上げアップに貢献します
・注目を集める移動型広告:ロボットが音声や映像を流しながら移動することで、強い注目を集めます。広告効果をアップさせ、売り上げアップに貢献します
・必要な場所で必要なタイミングでアクション:タイムセールやランチタイムなどタイミングと状況に合わせて適切なアクションを行います。
・顧客属性に合わせたパーソナライズ接客:カメラから性別や年齢を予想できます。CRMなどと連携し、利用者の属性情報、個人に合わせて、パーソナライズな接客を行うことができます。

ここでは、共創パートナーのPdc様と検討を進め、Pdc様のデジタルサイネージやコンテンツ配信システムと、マクニカが持つIoTセンサーデータ、カメラ、AI、ロボットが連携し、小売業の売り上げアップにつながるサービスを目指しています。
ロボットを活用した移動型のデジタルサイネージから協業を開始して、ロボットが移動しながら広告を配信することで強い注目を集めたり、時間に合わせて最適なコンテンツを配信したり固定型のサイネージにはない新しい価値を提供します。


次に、無人店舗・リモート接客での活用です。

・店舗オペレーションの無人化、リモート化:複数店舗の運営を遠隔からまとめて行えます
・エキスパートによるリモート接客:場所の制限がなくなるため、高度な接客を行えるスタッフがリモートからサポートをすることで、接客の質を上げます
・生産者の思いを伝える販売促進:生産者がその場にいなくても品物の背後にあるストーリーを伝えることができます
・オンラインから継続したタッチポイント:Webやアプリと連動した顧客体験をリアル店舗でも受けられます
・イベント店舗によるプロモーション:ポータブルに手早くオープンできるイベント店舗で、商品の認知度向上を図ります

ここでは、共創パートナーのニッポン放送様、Yacyber様と、10月にタワーマンションでの直売所という形で実証実験を行いました。
新鮮な「朝どれ野菜」を昼には店頭に並べて販売し、ロボットが商品を案内します。
無人販売では、せっかくこだわりを持って作った品物であっても、その良さを説明できません。
ですが、その場にスタッフがいなくても、ロボットが商品のご案内を行い、また必要な時には、ロボットを介して、スタッフと遠隔でのビデオコミュニケーションをすることで、無人店舗であっても、商品の持つ良さを、しっかりとお伝えすることができます。

この2つの活用シーンでは、センサーやカメラ、業務システム、Webアプリなどからデジタルデータを取得し、解析することによりAIのアクションを決定し、ロボットが実行します。
このサイクルを回すことで、ロボットは効果が高い最適なアクションを学習します。売り上げアップの目標のもと、AIが強化学習し、そのために最適なアクションを自動で行います。

また、ロボットとAIでは別々のロボットが学習した結果も共有され、圧倒的なスピードで学習が進みます。単純に10台であれば10倍、100台なら100倍のスピードで学習が進みます。
その結果は全てのロボットにすぐ適用され、十分に経験を積んで習得するような効果の高いアクションを全てのロボットが行えるようになります。新しくロボットを導入する場合にも、それまでの学習データを引き継ぎ、あたかもベテランスタッフのような経験を積み、接客を行うことになります。

3番目が施設運用の高度化です。

・夜間巡回監視業務の自動化:ロボットが夜間巡回し、その記録も残します。センサーやカメラで異常を検知した場合は、通報を行います
・警備業務との連携:施設のカメラで異常を検知した際に真っ先にロボットが現場にかけつけます。ロボットが現状確認し、人がロボットを通じて、遠隔から現場の確認を行うことで、警備効率を高めます
・施設利用状況に合わせたメンテナンス:定期的なメンテナンスではなく、施設の利用情報を取得、解析することで必要なタイミングで必要なメンテナンスを行います。
・オンデマンドのサービス:各種センサーやカメラなどが異常を検知した際には、その異常をトリガーにオンデマンドでロボットが動き出します。例えば、誰かが何かをこぼしてしまったという異常を検知し、清掃ロボットが自動で動き出します。人が座り込んでしまっているという異常を検知し、ロボットがすぐにその場に移動して声を掛け、遠隔から状態を確認します

・ライフスタイルのシフト
ロボットがデジタルデータやAIと連携し、遠隔化・自動化を実現することで、私たちが利用するサービスは大きく変わり、また、私たちのライフスタイルも大きく変わると予想されます

遠隔化により仕事において場所の制限がなくなり、通勤にかかる時間もなく、自宅に居ながら仕事をすることができます。隙間時間を見つけて柔軟に仕事をすることも実現されます。
人が行わなくても自動化できる作業は、自動化が進みます。人とロボットが役割分担を行うことで、人は人にしかできない創造性の高い業務に集中でき、1人あたりの作業生産性が著しく高まります。
また、重いものを運ぶような体力的に負担が大きい業務を自動化することで、仕事の選択肢を広げやすくなります。

そして、働き方の自由度が高まり、企業が労働力を確保することができます。
子育てや介護などさまざまな理由でスキルを持っているのに仕事をすることができない方でも、仕事をしやすくなります。また、労働力を確保して、さらに一人ひとりの生産性が高くなれば、企業の競争力のアップにもつながります。
デジタルデータ、AI、ロボットがあらゆる業種でさまざまなサービスを提供することで私たちのライフスタイルが大きく変わります。


マクニカは、「CoTomorrowing」のスローガンのもと、最先端のテクノロジーとインテリジェンスをつなぎ、共創パートナーの皆様とともに、未来社会の発展に貢献するサービスを提供します。

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