新人技術者の脳波測定記 脳波計(EEG)の選び方

はじめに

脳波とは?EEG(イーイージー)とは?何がわかるの?
そんな状況からスタートした新人技術者が実際にEEGをさわってみて感じたことを掲載する”新人技術者の脳波測定記”。

予備知識なしで挑む生の声をお伝えしようと思います。

脳波計(EEG)の種類

脳波計(EEG)をいざ購入しようと思うと、センサーの構造、形状が複数存在し迷ってしまうかと思います。

本稿では、脳波計(EEG)をセンサー構造という切り口で分類し、どのような製品を選べばよいかについてまとめてみました。

形状に関しては、電極の配置方法をご参照ください。

 

脳波計(EEG)をセンサー構造でおおまかに分類すると、下記の通りとなります。

それぞれの方式に関して簡単に説明します。

図1.センサー構造での分類

①パッシブ電極

パッシブ電極を用いた脳波計は、センサーパッド(平面電極)を用いて取り出した微弱な脳は信号がリード線を通って脳波測定器に送られる構造となっています。脳波計本体に送られてから信号を増幅する構造となっており、リード線が外来ノイズを拾ってしまう恐れがあるため、電磁シールド内で計測を行うほうが望ましいと言われています。参照電極と複数ある対象電極の接触抵抗を一致させた上で作動増幅を行うと同相の外来ノイズを除去することが可能なため、接触インピーダンスの絶対値を小さく工夫が必要となってきます。

接触インピーダンスを小さくするため、下記2通りの方式が考案されています。

▶導電性ジェルを用いる製品

接触インピーダンスを低下させるために、センサーパッドと頭皮の間に導電性ジェルを挿入して利用する脳波計になります。密着度を高めやすい為、接触インピーダンスが下げやすい長所があります。具体的には、数百KΩの接触抵抗を10KΩ以下まで下げることができます。

一方、導電性ジェルは測定部位で留まるよう粘度の高いものが用いられるため、装着後に洗髪しなければならない短所が存在します。また、構造がシンプルであるためにセンサーを小型化しやすい長所もありましたが、近年半導体の進歩によりその優位性は失われてしまいました。

図2.導電性ジェルを用いる製品 構造イメージ図

▶電解液を用いる製品

センサーパッドをスポンジで覆い、スポンジに電解液を含ませることで導電性ジェルを用いるより実験を容易にした製品になります。実験後に髪が濡れてしまう問題はあるものの電解液を拭き取るだけでよく、導電性ジェルに比べ比較的安価な特徴があります。

一方、導電性ジェルより接触インピーダンスが下がらないことから、ノイズが乗りやすいという弱点もあります。導電性ジェルを用いた製品と同様、構造がシンプルであるためにセンサーを小型化しやすい長所もありましたが、近年半導体の進歩によりその優位性は失われてしまいました。

図3.電解液を用いる製品 構造イメージ図

②アクティブ電極

従来のセンサーパッドにアンプを内蔵することで、高い入力インピーダンスで脳波信号を受け取り、低い出力インピーダンスで出力することが可能になった製品です。一般的なアクティブ電極の入力インピーダンスは数G~数百GΩとパッシブ型(100MΩ程度)と比べ遥かに高いものになります。
長所は下記のとおりです。

1.リード線上にノイズがのっても十分なS/N比を確保しているため、電磁シールドがなくても脳波計測が可能である
2.高い入力インピーダンスで脳波信号を受け取ることができるため、接触インピーダンスが多少高くても影響度を抑えることができる

 

接触インピーダンスが多少高くても実用上問題ないことから、ウエットタイプに加えドライタイプの脳波計を利用することが可能です。

▶平面電極(ドライタイプ)

ウエットタイプの脳波計をそのままアクティブ電極に置き換えた製品です。接触インピーダンスが多少高くても影響度を抑えることができるものの、頭髪のインピーダンスは多大のため、主に頭髪のないおでこ部分(10-20法のF/Fpエリアを対象)を測定する目的の製品が多い傾向です。

結果的に、F/Fpエリアの脳活動が顕著に活性化する事象での活用が見込まれます。

図4.平面電極(ドライタイプ) 構造イメージ図

※Ampの位置は便宜上記載したもので実際とは異なります。

▶剣山型電極

頭髪を避け頭皮と電極を接触させるために、センサーパッドの先端に先が尖っていない剣山型のモジュールを取り付けたものです。髪の毛が挟まる事があるため、回転させることができるものが多いのが特徴です。頭部のいかなる場所に設置することも可能であるため、幅広い用途で利用することが可能です。

 

図5.剣山型電極 構造イメージ図

※Ampの位置は便宜上記載したもので実際とは異なります。

まとめ

入力インピーダンスの影響でウエットタイプの脳波計が従来主流でしたが、半導体の進化に伴いセンサパッドに高性能なアンプを組み込んだドライタイプの脳波計が台頭しつつあります。皿型か剣山型かは測定ポイント・製品コンセプトにより選択されているようです。

日々進化を続ける脳波計ですが、新しい製品がリリースされましたら改めてご紹介させて頂こうと思います。

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