Enterprise SONiC distribution by Broadcomとは?
はじめに
近年、目覚ましい進化を遂げ続けている生成AIですが、これを支えるためには大量のGPUリソースだけでなく、現状よりもはるかに広帯域のネットワークインフラ構築が必要不可欠と言えます。
その構築が高性能なネットワーク機器で実現でき、且つベンダーからの一気通貫のサポートを受けられるとしたら、運用面において大きなメリットと言えるでしょう。
本記事では、弊社で新たに取り扱いを開始したEnterprise SONiC distribution by Broadcom (以下、Broadcom SONiC)について紹介します。
他にもOpen Networkingに関わる記事がありますので、以下「記事一覧はこちら」からご興味のある記事をご覧ください。
Broadcom SONiCについて
Broadcom SONiCは、Community版 SONiCをベースに、Broadcom社がデータセンター (DC) などの広帯域ネットワーク向けに機能強化と堅牢性を高めた商用版のネットワークOSであり、現在国内でも導入が開始しています。
Broadcom社製ASICを搭載したホワイトボックススイッチと掛け合わせることで、ベンダーから一気通貫のサポートや、独自に実装されたエンハンス機能を使用できるなどのメリットがあります。
Broadcom社の概要についてはこちらのWebページをご参照ください。
以下の表では、Broadcom SONiCとCommunity版 SONiCの違いを簡単にまとめています。
|
Broadcom SONiC |
Community版 SONiC |
|
|
入手先 |
Broadcom |
GitHubから無償配布 |
|
ベンダーサポート |
あり (Broadcom社による一気通貫サポート) |
なし |
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サポート機能 |
◎ |
〇 |
|
業界標準コマンド対応 |
◎ |
△ |
マルチベンダーサポート
Broadcom SONiCは、Broadcom社の高性能ASICであるTrident(TD)や、Tomahawk(TH)シリーズを搭載した様々なベンダーのホワイトボックススイッチをサポートし、設定をチューニングすることにより、ハードウェアレベルでの最適化を実現しています。
また、400G/800Gインターフェースを持ったホワイトボックススイッチもサポートしており、DC、AIファブリックで求められる広帯域な環境でもBroadcom SONiCをご利用いただけます。
Broadcom SONiCでは、以下のようなホワイトボックススイッチに対応しております。
| ベンダー | 機器型番 | ポート構成 | 搭載チップ |
| Edgecore | AS4630-54TE | 48 x 1G(RJ45) + 4 x 25G + 2 x 100G | BCM56371 (TD3-X3) |
| AS4630-54PE | 48 x 1G(PoE) + 4 x 25G + 2 x 100G | BCM56371 (TD3-X3) | |
| AS4625-54P | 48 x 1G + 6 x 10G | BCM56277 (TD3-X2) | |
| AS4630-54NPE | 36 x 2.5G + 12 x 10G + 4 x 25G + 2 x 100G | BCM56370 (TD3-X3) | |
| AS7326-56X | 48 x 25G + 8 x 100G | BCM56873 (TD3-X7) | |
| AS7726-32X | 32 x 100G | BCM56870 (TD3-X7) | |
| AS5835-54X | 48 x 10G(SFP+) + 6 x 100G | BCM56771 (TD3-X5) | |
| AS5835-54T | 48 x 10G(RJ45) + 6 x 100G | BCM56771 (TD3-X5) | |
| AS7816-64X | 64 x 100G | BCM56970 (TH2) | |
| AS9716-32D | 32 x 400G | BCM56980 (TH3) | |
| AS9726-32D | 32 x 400G | BCM56880 (TD4-X11) | |
| AS9736-64D | 64 x 400G | BCM56990(TH4) | |
| AIS800-64D | 64 x 800G QSFP-DD | BCM78900 (TH5) | |
| AIS800-64O | 64 x 800G OSFP | BCM78900 (TH5) | |
| Micas | M2-W6930-64QC | 64 x 400G | BCM56990 (TH4) |
| M2-W6920-32QC | 32 x 400G + 2 x 10G | BCM56980 (TH3) | |
| M2-W6940-128QC | 128 x 400G, QSFP112 | BCM78900 (TH5) | |
| M2-W6940-64OC | 64 x 800G (OSFP) | BCM78900 (TH5) | |
| M2-W6510-32C | 32 x 100G | BCM56870 (TD3-X7) | |
| M2-W6510-48V8C | 48 x 25G + 8 x 100G | BCM56870 (TD3-X7) | |
| M2-W6510-48GT4V | 48 x 1G + 4 x 25G | BCM56274 (TD3-X2) | |
| M2-6520-24DC8QC | 24 x 200G QSFP56 + 8 x 400G QSFP-DD | BCM56780 (TD4-X9) | |
| Ufispace | S8901-54XC | 48 x 25G + 6 x 100G | BCM56770 (TD3-X5) |
| S9110-32X | 32 x 100G | BCM56870 (TD3-X7) | |
| S6301-56ST | 48 x 10/100/1000 BASE-T + 8 x 1G/10G SFP/SFP+ | BCM56274 (TD3-X2) | |
| S9321-64E | 64 x 800G QSFPDD | BCM78900 (TH5) | |
| S9300-32D | 32 x 400G QSFP-DD | BCM56880 (TD4-X11) |
※上記は一例となります。
※赤文字は、400G/800G対応のホワイトボックススイッチとなります。
一気通貫のトータルソリューション
Broadcom SONiCで使用されているソフトウェアには、Broadcom社が独自に開発・提供しているコンポーネント(下記図の赤色部分)もあり、シングルベンダーから一気通貫したサポートを受けられるのも魅力の一つです。
Broadcom社は コントリビューターとしてCommunity版SONiC にも貢献しており、SONiC全般のナレッジを有しています。そのため、シングルベンダーでSONiC全体のサポートを完結できるため、運用上の課題、問題解決に要する時間の短縮に寄与します。
DCやAIファブリック用途に向けた機能実装
Broadcom SONiCでは、用途に応じて複数のパッケージを提供しています。
DC向けにはEnterpriseパッケージ、AIファブリック向けにはAIパッケージが提供されており、それぞれ以下のような機能に対応しています。
Enterpriseパッケージ
・アンダーレイ機能:eBGP、ZTP、QoS、ACLなど
・オーバーレイ機能:BGP EVPN、VXLANなど
・エンタープライズ機能:RPVST+、IPマルチキャストなど
・テレメトリ機能:BSTによるしきい値監視とスナップショット
AIパッケージ
・Tomahawk 4/5対応
・RoCEv2(PFC、ECN)、QPNベースECMPハッシュ、ECMP強化
・L3 VXLAN(TH5)、DLB(TH4/TH5)
各パッケージの概要についてはこちらのサイトをご参照ください。
エンハンス機能
Broadcom SONiCでは、Community版 SONiCの機能に対して、実運用で必要になる冗長性・性能・セキュリティ機能をBroadcom ASICと一体で強化、実装されております。
以下にBroadcom SONiCで実装されたエンハンス機能をいくつかご紹介します。
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機能カテゴリ |
Broadcom SONiCでの追加・強化点 (2026/03/01時点) |
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障害収束 |
Fast Link Failover (TH5) |
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ルーティング |
Inter‑VRF Route Leaking (HW 処理) |
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トラフィック制御 |
Weighted ECMP (UCMP) |
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トラフィック安定性 |
Resilient Hashing |
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L2 拡張 |
L2 Protocol Tunneling (LACP/CDP/LLDP) |
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ルーティング制御 |
BGP Max‑Prefix (Route Drop) |
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セキュリティ |
PKI 機能強化 |
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運用・HW |
LPO Optics Qualification |
次期バージョンでは、確立された安定性と実用性を土台に、次世代のデータセンターおよび AIファブリックを見据えた基盤強化が進められています。
個別機能にフォーカスした追加ではなく、将来の高速化・大規模化に柔軟に対応できる OS・プラットフォーム全体の進化と、新しいハードウェア世代への対応を通じて、長期運用に適した信頼性と拡張性を高めていく予定です。
まとめ
今回ご紹介しましたBroadcom SONiCは、業界標準のユーザーインターフェースを提供するだけでなく、同一ベンダーのASICを搭載した高性能且つ広帯域のネットワーク機器と組み合わせることで、Broadcomが提供するソリューションの真価を最大限に引き出すことができます。
ハードウェアとソフトウェアの親和性を活かし、運用の効率化、パフォーマンスの最適化、そして信頼性向上を実現、それがBroadcom SONiCの強みです。
最後に
マクニカでは、Broadcom SONiCを含むオープンネットワークの試験や検証を行えるリモート検証サービスを無償で用意しております。
ホワイトボックススイッチの検討時、Broadcom SONiCを少し触ってみたい、簡易的なネットワークを構築・検証してみたいという場合に、本サービスを活用し、「SONiCに手を出しづらい」という懸念も解消できます。
リモート検証サービスの利用を検討の際は、お気軽にご相談ください。
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