ネットワーク運用の課題を解決する生成AIソリューション【Part2】~「Network Copilot™」の活用事例編~

本記事では、ネットワーク運用の課題を解決する生成AIソリューションとして、「Network Copilot™」を実用的な事例を踏まえてご紹介いたします。
part1の記事で、LLMとRAGを用いた学習手法について詳しく解説しておりますので、是非合わせてお読みください。
Network Copilot™のご紹介
Network Copilot™は、マクニカが代理店をしている、Aviz Networks社のソリューションです。2019年に創業した若い会社ではありますが、Network OS SONiC関連のツールやサポート等で日本国内でも採用実績のある会社です。
Aviz社はソリューションとして、ネットワークスイッチのテスト検証サービス「FTAS」、ネットワークの監視・設定ソフトウエア「ONES」、ネットワークパケットブローカーソフトウエア「OBP」を提供してきました。それらの経験、ノウハウと生成AIに関する知見を活かして、2024年2月にNetwork Copilot™をリリースしています。
Aviz社が考える生成AIをネットワーク運用に活用する際のポイントとしては下記が挙げられ、Network Copilot™はそれらを全てのポイントを満たしています。

Network Copilot™のユースケース
Network Copilot™のユースケースは様々考えられますが、主に次のようなユースケースが挙げられます。

① ネットワーク更新
トラフィックの増加傾向から適切な更新タイミングを提案したり、更新後の動作レポートを簡単に生成したりすることが可能になります。
② セキュリティ監査
自社のセキュリティ要件を事前に読み込み、その要件あっているかチャットでの問合せや、自社の自動化ツールへ統合も可能になります。
③ 性能チェック
欲しいダッシュボードをチャットで生成依頼し、リアルタイムでネットワーク機器の状況把握が可能になります。
④ 運用基準チェック
常に最新の運用基準を取り込み、その基準に合っているかチャットで問い合わせたり、既存のNetOpsツールにNetwork Copilot™の機能を統合したりすることも可能になります。
⑤ トラブルシューティング
初心者でもチャットで問い合わせることで、ネットワークから取得した実データや、過去の類似トラブルから解決に向けた提案を得ることができます。
Network Copilot™のシステムアーキテクチャー
次にNetwork Copilot™のシステムアーキテクチャーについてご紹介します。

緑色のブロックは、最新のオープンなLLMやライブラリを活用しています。現在のLLMは、フランスMistral社の7B(70億)パラメータ のモデルを使用しています。
青色のブロックは、Aviz社でNetwork Copilot™用に開発している部分です。
お客様のネットワークのデータを取り込み、Databaseに常に保存しておきます。またお客様の運用基準やナレッジベースも取り込んで、RAG手法で参照した内容に基づいた回答をすることも可能です。
ユーザーが、ネットワークの運用に関して日本語で問い合わせると、Network Copilot™のLLMがデータベースに問合せ、その結果に基づいてレスポンスを返すという仕組みです。
ここで、Network Copilot™の動作フローをより深く理解するために、下記の事例を通してどのような動作になるかご紹介します。

事例として、ネットワークが運用基準を満たしているか問合せるケースを考えてみます。
運用基準は、ネットワーク装置のCPU負荷が80%以下なら正常とします。
まず事前準備として、ネットワーク機器からCPU負荷データをデータベースに常に取り込んでおきます。また自社の運用基準CPU負荷80%以下が記載されたファイルを取り込みます。

実際の問合せでは、ユーザーは「ネットワークは運用基準を満たしていますか?」と問い合わせます。その問合せをLLMが理解し、データベースに問合せるためのSQLクエリーを生成します。その結果、データベースからCPU負荷データを取得します。ここでは負荷50%だったと仮定します。
同時に、自社の運用基準はCPU負荷が80%以下なら正常という情報もRAG手法で参照し、「現在CPU負荷は50%で、運用基準は80%以下なら正常ですが、運用基準をみたしていますか?」とLLMに問合せ、LLMが「取得したデータと運用基準から基準を満たしています」とユーザーに回答します。

まとめ
Network Copilot™が期待動作するためには下記のようなポイントが重要です。
①LLMがプロンプトを理解できるように、適正なLLM学習やファインチューニング、プロンプトエンジニアリングを行う
②データベースに必要なデータが蓄積されるように、ネットワークからデータを取り込む
③LLMが正しいSQLクエリーを生成して、データベースに問合せができる
④運用基準やナレッジベースをRAG手法で参照するため、適正な埋め込みモデルやベクタストアを使う
⑤取得したデータやRAGで参照した内容に基づいて、LLMが正しく回答するためのチューニングを行う
上記の重要なポイントを踏まえて生成AIの活用を進めていくために、マクニカでは導入時のお客様サポートを行っております。
Network Copilot™を活用する際には、お客様のユースケースを伺い、お客様専用のLLMを準備し、一緒に検証を進めながらチューニングを行い、実運用に使えるものを作り上げていきます。
もっと詳しい製品説明が聞きたい、コストを知りたい、自社ユースケースのデモが見たいといったご相談がありましたら、お気軽にお問合せ下さい。
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