新人技術者の脳波測定記 ~アーチファクト② 眼球運動2 目を片方ずつ閉じる、開ける~

はじめに

脳波とは?EEGとは?何がわかるの?
そんな状況からスタートした新人技術者が実際にEEGをさわってみて感じたことを掲載する”新人技術者の脳波測定記”。

予備知識なしで挑む生の声をお伝えしようと思います。

眼球運動2:目を片方ずつ閉じる、開ける

前回(眼球運動1)は随意的まばたきを行った際の脳波計出力を観測し、自発性まばたきが脳波計にどの様な影響を与え、どう対処すべきか解説いたしました。
これは、言ってしまえば左右同時に目を閉じる、開けるという行為でした。
では、片方ずつ閉じる・開けるという行為を行った場合、どの様な波形が観測できるのでしょうか。

さっそく、測定してみましょう。

グラフ1.脳波計の出力(前頭部(frontal)左側)
グラフ2.脳波計の出力(前頭部(frontal)右側)

測定手順は、左目、右目、左目、右目の順番で目を閉じる/開けるを行い、その際の脳波計の電圧を観測しました。
前回(眼球運動1)より、眼球運動の影響は眼球に近い位置ほど大きく離れるほど小さくなることから、本記事では前頭部(frontal)のデータに絞って掲載致します。

グラフ1より左目が閉じる/開けるを行った場合F3の脳波計に、グラフ2より右目が閉じる/開けるを行った場合F4の脳波計に顕著な電圧変化が見られます。

グラフ3.脳波計の出力(前頭部(frontal)左右2点の信号を重ね合わせ)

グラフ3はF3とF4の脳波計出力を重ね合わせたものになります。
左右の閉じる、開けるのタイミングはほぼ同じ間隔になるように実験を行ったため、信号も意図通り等間隔に現れています。
信号に大小が見られるのは、片目づつ実験しているためつぶる程度にばらつきが発生していると思われ、規則性はありませんでした。
この信号は前回ご紹介させて頂いた通り、目の構造に由来します。

1.眼球の構造
網膜は静止電位の為マイナスの電荷を、その結果角膜はプラスの電荷を帯びている構造

2.瞬き時の眼球運動
眼球は眼を閉じると上を向き、目を開けると正面に向く構造

上記特性により、目をつぶると瞼に電気が流れ皮膚をつたって頭部に伝搬します。
本来、脳波だけを観測したい脳波計が電気信号を観測していることから、同じ電気信号である目の開閉によるアーチファクトを捉えてしまいます。
その影響は大きく、脳波信号の百倍以上の電圧となります。

対策/対策必須度/対策難易度

【対策】
 信号の大きさ・周波数はその時々で異なる為、汎用フィルタ等で除去を試み、それでも取り除くことが難しい場合はその期間のデータを破棄する。
 予備実験として、意図的に瞬きを行ってもらい、上記対応に活用する。

【対策必須度】
 必須

【対策難易度】
 中

無料デモンストレーション

実際に脳波を計測してみませんか?

脳波をベースにした「熟練者の技能伝承」とは?
脳波ベースにした人間の意識、判断を学習するAIとは?
不明なことが多いかと思いますので、まずは脳波を測定してどんなものか体験してみませんか?
詳細・お申込みは下記をクリックしてください。

お問い合わせ

InnerEye メーカー情報Topへ

InnerEyeメーカー情報Topページへ戻りたい方は、以下をクリックください。

免責および情報の利用

本ページは予告なく変更することがあります。
脳科学は日々新しい研究成果が発表されている分野です。
情報の正確性について万全を期しておりますが、掲載されている内容が最新の研究成果にそぐわない場合もございます。
様々な論文をご参照の上総合的にご判断下さい。
また、本ページに掲載されている内容をもとに作成されたプログラムに対して責任を負いかねますので予めご了承ください。