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芝浦機械株式会社様事例

USER PROFILE
■企業情報:芝浦機械株式会社
■事業内容:
企業理念は「世界中でお客様の価値最大化に貢献」すること。そのために、これまで培われた技術・開発力、QCD、営業・サービス力を武器に工作機械をはじめとしたさまざまな産業機械ソリューションを提供。再生可能エネルギー、省エネルギー、環境対応の新素材、生産性向上などの分野を軸に投資推進を行ない、これらを含め、SDGsで示された社会が抱える問題に対し、事業活動を通じて企業としての役割を果たし、持続可能な社会の実現に向けてさらなる貢献を目ざす。

サマリー

背景

  • 多種多様な産業機械を開発、製造

  • 「モノ+コト売り」を全社方針に高付加価値製品の創出へシフト

課題

  • 少子高齢化による生産人口減のカバー

  • 匠技術の伝承を支える、AIによる自動化、省力化

  • AI技術に長けた人材の不足

選定

  • 産業機械業界への理解

  • 高いAI技術力

  • 内製化に向けた教育まで可能な伴走型支援

取り組み

  • 「SENSPIDER」に振動データを収集し加工状態をAIモデルで判別

  • 高いAI技術力

  • 内製化に向けた学習プランや資料の作成、実務でのフィードバック

今後

  • AIモデルとIoTシステムをシームレスに連携し、他の工作機械へ展開

  • 振動以外のデータや、高完成度のデジタルツイン実現へのAI活用

  • カンパニー全体へのAI人材育成

 
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本プロジェクトに参加した方々

芝浦機械株式会社の方々

R&Dセンター研究開発部デジタルツイン開発課 課長 富永 昌登 氏
R&Dセンター研究開発部デジタルツイン開発課 星谷 拓 氏
工作機械技術部開発課 要素開発担当 木村 奈那 氏

株式会社マクニカ 藤原 健吾、本田 恭兵、佐藤 光、芳賀 妙孝

背景

SHIBAURA DXによる高付加価値製品の創出を目ざす
 

工作機械メーカーとして1938年に創業して以来、グループとして培ってきた技術・開発力やQCD、営業・サービス力を武器に、多種多様な産業機械を世に生み出している芝浦機械株式会社。
射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機、工作機械、超精密加工機、産業用ロボット、電子制御装置などさまざまなソリューションを提供しており、再生可能エネルギーや環境対応の新素材などの分野への投資を現在積極的に推進している。

2020年に東芝機械から現在の社名に変更した折、中期経営計画「経営改革プラン」に基づき、これまで以上に全体最適を進めるため「事業部制」を廃止し、「カンパニー制」を採用し、成形機、工作機械および制御機械という3つのカンパニーを新設。
また、これまで事業ごとに分かれていた技術開発の集約や調達を含めた生産活動の円滑化のため、「R&Dセンター」および「生産センター」を創設。
組織再編に伴う人材の最適配置を進めながら、体質改善を通じて経営効率や収益性の向上を図っている。
また、現在掲げる“新生「芝浦機械」長期ビジョン2030”においては、「モノ+コト売り」を全社方針に、カンパニーごとに高付加価値機へのシフトや温室効果ガス削減に貢献するソリューションの提供など新たな戦略を推し進めている。

そんな同社において、技術開発のコアとしてソフト・ハード両面で高度な技術開発をけん引するのが「R&Dセンター」である。
カンパニー横断的に基礎技術を集約した同センターでは、リアルとデジタルを融合させて高付加価値製品の創出を進めており、併せて変化へ柔軟に対応できる組織を目ざしている。
機械メーカーの総合力にDX技術を加えることで新たな価値提供を創出する「SHIBAURA DX」を推進しており、産業の垣根を超えて顧客の現場の生産性向上に寄与する環境づくりを進めている。

課題

産業機械業界に精通した、AIをよく知るパートナーの存在が不可欠だった
 

なかでもDX推進を行っているR&Dセンター 研究開発部 デジタルツイン開発課では、「モノ売り」から「モノ+コト売り」へシフトしていく過程で重要な、AIをはじめとした製品に付加価値を付与する要素技術の開発を行っている。

ー 富永氏
社内向けに守りのDXとしての基盤づくりを推進している部署とも連携し、我々は製品に関連した攻めのDXを推進するための要素研究を進めています。

特に工作機械の開発から製造サービスまで一気通貫で手掛けている同社では、少子高齢化のなかで生産人口の減少をカバーするための技術の1つとしてAIに着目した経緯がある。

ー 富永氏
我々は、加工や組み立てに関する匠の技術を数多く有しており、それらをうまく形式知化して、最終的にはAIによる自動化、省力化を進めていきたいと考えています。デジタル化できる領域と匠の技術を生かす領域をしっかりと区別し、技術伝承を進めていくことが求められています。

そんなAI技術を製品の付加価値向上に生かすため、まずは自社の生産現場で実績を作っていくことから始めることに。
そこで、製品に様々なセンサーを取り付け、データ収集をスタートさせたという。

ー 富永氏
現場から得られた情報を、うまく分析していくプロセスでAIモデルの活用を検討しましたが、内部にメカエンジニアは多く在籍するものの、AI技術に長けたエンジニアは数が少ない。そこで当初はAIベンダーと一緒にプロジェクトを進めていったのです。

しかし、2~30年におよぶ製品寿命を持つ大型機械を扱う同社だけに、コンシューマ製品に適用できるAI技術では顧客に受け入れられない事情があった。

ー 富永氏
AI技術を組み込んだ製品を提供するだけでなく、開発後の保守も含めて長期間にわたってお客さまに提供していく必要があります。産業機械業界に精通した、AIをよく知るパートナーの存在が不可欠だったのです。

と当時を振り返る。


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