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AIがめまぐるしい進歩を遂げる昨今。アプリ開発の風景は過去から一変し、専門的な言語や複雑な作法を習得しなければ到達できなかった世界が、かつてないほどのスピードで民主化されています。

そんななか、AIを活用した最先端の開発手法「バイブコーディング」を体験できるイベント「AIものづくりフェス’26 vol.1 in Tokyo」が、東京都新宿区の大規模複合施設「コモレ四谷」にて開催されました。本記事では、2026630日におこなわれた、同イベントの様子をご紹介します。

※写真に加工がない人物はマクニカ社員です。

▲プログラム開始前には、ラウンジにてランチミーティングも。和やかな雰囲気のなか、「日々の○○の業務が面倒で」「こんなツールがあったらいいのに」といった、現場のリアルな課題や願望が飛び交っていました。

「AI時代における真のスキルアップ」をゴールに

プログラム冒頭、まずはマクニカのAI&デジタル事業開発部で部長を務める本村から、イベントの趣旨が説明されました。

▲開会から閉会まで、イベントを取りしきった本村。ちょうどワールドカップの開催時期だったこともあり、サッカーのユニフォームを着ての参戦でした。

▲会場の様子。平日午後の開催にもかかわらず、さまざまなバックグラウンドをもつ30名弱の方々が参加してくださいました。

本イベントの意義は「初対面かつ、立場も所属も異なる個人同士がチームを組み、共にひとつのものを作り上げる」ことにありました。

その根底にあるのは、シリコンバレーで活躍するダイアナ・ジョセフ氏が提唱する「ラーニングサイエンス(学習心理学)」の考え方です。彼女と親交のある本村は、「人が何かを学び、新しいスキルを身につけることができるのは、慣れ親しんだ“コンフォートゾーン”から一歩外に出た時だけなのです」と語りました。

すなわち、本イベントに必要なのは技術への習熟度ではなく、「居心地の良い場所」から飛び出し、失敗を恐れずに挑戦するマインドセットを持つことでした。「たとえ思うような結果が出なくても、それは学びのプロセスの一部であり、そこから新しい気づきを得ることが本質的な体験です」と続ける本村。

そんな本イベントのゴールは、座学で知識を持ち帰ることではなく、参加者自身が抱える具体的な課題や、身の回りの不便を解決する「動くデジタルプロトタイプのアプリ」を形にすることにありました。

本村はスタッフやエンジニアへの相談も推奨しつつも、「まずは自分でAIに問いかけ、解決を試みるという主体的な姿勢こそが、AI時代における真のスキルアップにつながります」と結びました。

▲とにかく楽しみ、チャレンジすることが大切なイベントです。

▲全体の流れ。4時間という長丁場ではありましたが、作業に没頭していると、意外とあっという間?

▲肝心のチーム分けは……なんと、ゲーム感覚で実施!? 「AIの活用経験」「ソフトウェア開発経験」「他の人を説得した経験」がどのくらいあるか? という3つの質問に対し、参加者は「自分はこのあたりかな」と思うところに移動し、物理的に整列。それぞれの質問の結果をもとに、各チームにバランスよく人員が割り振られました。

業務効率化アプリが人気か 個人ワーク編

チーム分けが完了すると、いよいよメインイベントの開幕です。最初の個人ワークは「身の回りのちょっとした不便や課題」を探し、それをAIと壁打ちしながら、解決策となるアプリを開発する……という内容でした。

ちなみに、課題のサンプルとしては以下のようなものが見受けられました。総じて、何かしらの「効率化」を求めている参加者が多かったようです。

  • 個人ToDoリストの作成が面倒
  • 全社システムの保守運用の効率化
  • 日々のバックヤード業務を効率化したい
  • コードから仕様書と設計書を起こしたい
  • 業務効率化ツールを誰でも作成できるようにしたい
  • 社内に散らかった議事録をまとめて質問に答えてほしい
  • 自社のセキュリティ環境化でできるアイデアを創出したい
  • 設備管理のノウハウをたくわえて次の世代に引き継ぎたい
  • 社員のスキルを見える化し、戦略的に人のリソースを最大化したい
  • 基幹システムの刷新にともない、漏れのないようにシステム引き継ぎをおこないたい

また、上記のうち「社内に散らかった議事録をまとめて質問に答えてほしい」と記載した参加者の方が、ワークの途中時間にコメントしてくれました(以下、要約)。

「必要な知見をすぐに取り出せないという非効率さを感じているため、それらを一箇所に集約し、AIを用いて横断的に検索できる環境を構築したい。実現すれば部署の垣根を超え、過去の会議内容から即座に回答やナレッジを抽出できるのではないか。」

課題の特定はもちろんのこと、その解決策が明確に提示されている点に本村は称賛を送り、会場からも拍手が送られました。

▲さまざまな課題に対し、アプリを開発していきます。

なお、本イベントではアメリカのStackBlitz社が提供している、「Bolt」という開発ツールが使われました。Boltはブラウザ上で完結するAI駆動型のWebアプリケーション開発ツールで、チャット形式で指示を出すと、AIWebアプリのコード生成・実行・公開までをサポートくれる、というものです。

▲プロンプトを入力すると、課題解決に適したアプリが提案されます。

▲「Planモード」を使えば、開発すべきアプリの詳細がよりクリアに。

▲個人ワーク中の一幕。皆さん、Boltとの対話に夢中になっていました。

知恵を出し合って完成へ! グループワーク編

個人ワークの時間を終え、プログラムは次のグループワークへと進みます。

まず各グループのメンバーは、自身の制作物を同じグループの他の人に共有。メンバー同士でその内容を評価しあい、3種類のシール(下画像右手)を当てはまる人に渡します。そして、そのうちもっとも多く「今日さっそく取り組んでみたい(緑)」の票を獲得した人のアプリをグループ全員でブラッシュアップし、ショーケース(全員の前での発表)に臨むことが目的でした。

▲生成AIに知見がある、デザインが得意、プレゼンならおまかせ……といった具合に、役割分担も重要に。冒頭のチーム分けの伏線が、ここで回収されたわけです。

▲グループワークの様子。どのグループも本当に初対面同士? と思うほどに、和気あいあいと作業を進めていました。

▲ショーケースの概要。

およそ50分をかけ、各グループは代表となる1つのアプリを仕上げました。当日は全部で8チームが発表してくれましたが、本記事ではそのうち2つをピックアップしてご紹介します。

①Web会議のエンゲージメントを向上「AI自動あいづち機能」

このグループが向き合ったのは、現代のリモートワーク環境において多くの人が抱える、「Web会議での孤独感」という課題でした。

というのも、多くの会議ではカメラをオフにして参加する人が多く、発言者は相手の反応や手応えをほとんど得られません。そうした状況が、「一人で話しているような感覚」や「誰にも届いていないのではないか」という発言者の不安感や疎外感を生み出し、会議全体のエンゲージメントを低下させているのでは、という仮説をこのグループは立てたそうです。

そこで、こうした課題を解決するために考案されたのが、一般的なWeb会議ツールにも導入可能な「AI自動あいづち機能」です。この機能は、AIが会話の流れをリアルタイムで解析し、適切なタイミングで「なるほど」「そうですね」といった、自然な相槌やポジティブなリアクションを自動生成してくれるというもの。

これを使えば発言者は安心して話しやすくなるため、心理的な安全性の確保ができ、エンゲージメント向上につながる……というわけです。

同チームはこのツールの本質を「エンゲージメントの向上は認知から始まる」と定義し、単なる技術の実装に留まらず、リモート環境でも「参加者が互いに繋がっている」という実感を得られる場を作ることを、最終的な目標に掲げていたようです。

▲実際の画面。あらかじめ録音しておいたボイスが、他者の発言に応じて選ばれ、自動的に発せられます。このデモンストレーションでは、Google Meetとの連携もできていました。

②洋服管理からコーデ提案までバッチリおまかせ「AIクローゼット」

次のグループは、自身が所有する洋服を正確に管理しつつ、気候やシチュエーションに合わせて最適な着こなしを提案する洋服管理・コーデ提案アプリを開発しました。このグループはメンバー全員が製造業に携わっているという背景がありつつも、業務から離れて、自分自身の日常的な困りごとを解決するためのアプリに着目したとのこと。

課題の出発点となったのは、「整理整頓が苦手」「季節の変わり目にどんな服を持っていたかを忘れる」「手持ちの服の組み合わせに混乱する」といった、個人のクローゼット管理における切実な悩みだったそうです。

▲男性が着ている服の名称が「フラワープリントブラウス」になっているなど、まだ改善の余地を残してはいたようですが、UIは見やすく整理されていました。

このアプリは服の種類をトップやボトムスなどに分けてリスト化し、一覧で把握できる仕組みを実現。また、新しく服を購入した際には、情報を追加することでアプリ上のクローゼットに蓄積され、色やタイプを登録することでアイテムの状態を可視化できます。

▲テキスト入力により、補足情報の追加も可能。

コーデ提案機能は現在地の日時情報を取得し、その日の気温や天候に基づいた服の組み合わせを自動的に作成し、ユーザーの毎日の服選びを効率的にサポートします。

▲データをためていけば着る機会が少ない服を判別できるので、断捨離の判断基準などの活用できます。

発表者によれば、「開発にあたっては、個人のクローゼットの中身をAIが正確に把握し、その人に最適化された提案を行うことに注力しました。ユーザーの好みをさらに深く学習させれば、提案精度をより高めていけるはず」とのこと。

他にも魅力的なアプリが

なお、他のグループでは、下記のようなアプリを開発していました。仕事はもちろん、実生活における利便性が高いものもあり、生成AIを活用したアプリ開発の幅の広さがうかがえます。

  • 企業の新人に向けた、おすすめ動画&本紹介アプリ「LEARNING HUB」
  • 住所を入力すると、その場所にある物件の周辺環境を評価する「物件チェッカー」
  • 冷蔵庫の中身を記録しつつ、1週間の献立などを提案してくれる料理系アプリ
  • 社内の議事録を取りまとめ、さまざまな事項を一挙に確認できる「議事録ハブ」
  • 秘書のように業務をサポートしてくれる「プライベートコンシェルジュ Mio」
  • 組織の自己組織化をスコア化し、自律的なチーム運営を支援するアプリ

おわりに

全グループによるショーケースの完結をもって、「AIものづくりフェス’26 vol.1 in Tokyo」は幕を下ろしました。

参加者にお話を訊いてみたところ、最初は「本当に自分にアプリが作れるのだろうか」と半信半疑だった方も、AIがコードを書き上げていく過程を目の当たりにし、「プロセスが可視化されること自体が大きな学びになる」と確かな手応えを感じたそうです。

また、「いざ手を動かしてみると、こんなに簡単にアプリ開発ができるなんて」とその手軽さに驚いた方や、途中でエラーが出ても、その試行錯誤すら楽しんでいる方などもおられました。

今回実施したAIものづくりフェスは、まさにこのような体験を通して、生成AIの進化とその付き合い方に気づき、学ぶ場としてプログラムを設計しています。

▲テーブルに用意されたポストイットに、さまざまな意見をお寄せいただきました。

マクニカのAI&デジタル事業開発部は、お客様のAI活用を全力でサポートいたします。本イベントにご興味をもたれた方はもちろんのこと、生成AIに関するお困りごとがあれば、ぜひ私たちにお気軽にご相談ください!