
ECサイトの売上に直結するコンバージョン率(CVR)。その改善に欠かせないのが、検索性の向上にもつながる商品情報の最適化だ。
2022年6月8日開催の「ECzine Day 2022 Summer」にて、株式会社マクニカネットワークスカンパニーDX事業部AIビジネス部第1課の太田愛美氏と、Colabofact 代表/Bsidefunny株式会社CDOの小松夕祐氏が登壇。
商品情報の中でもとくに重視すべき「ラベル」と「カテゴリ」の最適化に加え、マクニカのAIサービスを活用してアスクル株式会社が取り組む商品情報管理・最適化について解説した。
※本記事は、株式会社翔泳社主催「ECzine Day 2022 Summer2」の講演レポート記事です。
講演者プロフィール

小松 夕祐(こまつ ゆうすけ)氏 【写真右】
Colabofact 代表 / Bsidefunny株式会社 CDO
法政大学卒業後、株式会社メンバーズ入社。国内大手金融機関やメーカーのウェブサイト構築 / 運用ディレクション、プロジェクトマネージメントを6年半経験・同社マネージャーに従事。 2015年~Amazon Japan G.K.入社。 同社にてサイトマーチャンダイザーとしてデジタルマーケティングにおける戦略から実行、分析までを2年経験の後、バイヤーとして担当カテゴリにおける事業戦略、P/L管理、需要予測、商品企画を経験。 2019年3月~Principle Co.,Ltd.に参画。営業専任部門の立ち上げ、2020年10月より同社DX事業部の立ち上げおよび事業運営責任者を担当。2021年5月Bsidefunny株式会社にパートナー・CDOとして参画。2021年6月より個人事業主として独立。
太田 愛美(おおた まなみ)【写真左】
株式会社マクニカ ネットワークス カンパニー DX事業部AIビジネス部第1課
EC業界を中心にAI活用によるビジネス変革を目指すお客様に対し、課題の設定、解決に向けた提案、実装、運用までの支援に従事。
萩原敬生[著]、塩田賢二[写]
【ECビジネス成長×AI】シリーズ 第2回 INDEX
- 商品詳細ページをくまなく見るユーザーは少数派と理解し対策を
- 「カテゴリ自動付与」と「重要属性スコアリング」でコスト削減と属人化リスクの軽減へ
- 探しやすく購入しやすい商品ページ作りに必須な高速PDCAとは
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▼シリーズ第1回の記事はこちら
自社ECビジネス成長のための具体策とは?拡大するEC市場で勝ち続けるポイントを解説!
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1. 商品詳細ページをくまなく見るユーザーは少数派と理解し対策を
まずは、アマゾンジャパン合同会社にてデジタルマーケティングおよびバイヤーを担当した経験のある小松氏より、ECサイトの売上を作る上での注意点が紹介された。

「ECサイトの売上は『訪問数×CVR×購入単価』の式で表すことができます。売上を伸ばすには、これら3つの要素を上げる必要がありますが、もっとも優先度が高いのはCVRです。訪問数を増やすための集客施策に目が向きがちですが、仮にCVRに課題がある状態で訪問数が増えても、それだけ『買いたい商品がない』、『見つからない』、『(欠品などで)買えない』というユーザーが増え、かえってECサイト自体のイメージを毀損してしまう可能性すらあります」(小松氏)
続いて小松氏は、CVRに影響する主な要因として「商品情報」、「在庫」、「プライシング(価格)」を挙げた。ほかに、レビュー数や配送日数なども影響するが、先に挙げた3つがとくに重要だと言う。
「本セッションでメインテーマとして取り上げるのは、商品情報です。商品情報には、訪問者の購入の決め手となる情報が掲載されていること、そして、条件にマッチした商品をスムーズに検索できることが求められます。そのためにとくに注力すべきポイントが、ラベルとカテゴリです」(小松氏)
カテゴリは文字どおり、ECサイトのナビゲーションメニューでもよく使用されている分類のことを指す。ラベルとは、ECサイトの商品タイトルを構成する各要素(属性)を指し、たとえば「ブランド名」、「商品カテゴリ」、「商品名」、「型番」、「スペック属性」などが該当する。

「ユーザーが目的の商品にたどり着くまでの検索の動きとして、ナビゲーションメニューのカテゴリをたどる、あるいは検索窓にキーワードを入力するという大きくふたつのルートが存在します。当然、前者ではカテゴリのわかりやすさ、探しやすさが重要です。
また、いずれのルートも該当する商品一覧ページが表示されますが、ユーザーはそこで商品タイトルを見て、ブランドや大まかなスペックなどから一次振り分けを行います。つまり、商品を探す段階からラベルも重要な役割を担うのです」(小松氏)
次に、ユーザーが商品詳細ページに移動して購買判断を行う上では、適切なラベルで十分な情報を網羅した商品タイトルの掲載が求められる。
「ECサイトを訪れるユーザーの行動を分析すると、商品詳細ページの情報をくまなく見ている人はごく少数です。多くは商品タイトルの情報から自分が求める商品なのかどうかを判断し、補足的にレビューなどを見て、購入に至ります。そのため、購買判断にあたって重要とされる情報(ラベル)を商品タイトルに入れ込むことが必要です」(小松氏)
ラベルやカテゴリを中心とした商品情報の最適化は、商品を探しやすくしたり、購入判断に十分な情報を提供したりする上で欠かせない作業と言える。そのため、「たとえ数万SKUを扱う大規模ECサイトであっても、そのすべてに必要な商品情報をもれなく記載し、最適化しなければならない」と小松氏は指摘する。
「売上の柱となる主力商品にそのリソースを割くことができても、運用リソースの関係上、個々の売上が小さなロングテール商品には情報の漏れやわかりにくさが生じてしまう。こうしたことは往々にして起きがちですが、だからこそ伸びしろのある領域だとも言えます。ぜひ手を加えていきましょう」(小松氏)
とは言え、大規模ECサイトで人手を使って膨大な商品情報を整理し、運用・管理を行うのは非現実的と言えよう。そこで有効となるのが、AI活用だ。ラベルやカテゴリの最適化に関する業務の一部を自動化し、スケール可能な仕組みを構築することで、運用の効率化と成果の最大化を実現できると言う。
2. 「カテゴリ自動付与」と「重要属性スコアリング」でコスト削減と属人化リスクの軽減へ
続いて、AIを使った商品情報の管理について、マクニカの太田氏から解説がなされた。

同社はアスクルのECサイトにおける商品情報の管理および最適化に関する業務をAIサービスで支援している。そのひとつが「カテゴリ自動付与」だ。
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第3回はECサイト運営において欠品による機会損失を低減させる「在庫管理のポイント」について解説予定しています。
お楽しみに!
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