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毎年38日は、国連が定めた「国際女性デー」であり、女性の地位向上と社会進出を世界的に促進する日です。
DE&I活動を積極的に推進するマクニカでは、昨年に続く第2回となる社員限定イベント『Macnica Diversity Fes 2025』を開催。当日はマクニカ本社ビル1階ショールーム「MET Valley」を使用したリアル会場とオンライン配信のハイブリッド形式で実施し、最大約500名の社員が参加しました。大盛況だったイベントの様子をレポートでお伝えします。

レポート目次

第1部:真のダイバーシティ企業とは?~アカマイ・テクノロジーズ鈴木氏×原社長による対談~

1部では、グローバルな視点を活かしてDE&Iの推進に取り組む、アカマイの鈴木達也氏をゲストに迎え、マクニカの原社長・西川執行役員と共に、「本質的なダイバーシティ推進」について対談が行われました。

登壇者

  • 鈴木 達也 氏(Akamai Technologies, Inc. Regional Vice President)
  • 原 一将(株式会社マクニカ 代表取締役社長)
  • 西川 厚志(株式会社マクニカ 執行役員/営業統括本部長)

対談より

■DE&I推進に取り組むマクニカ

冒頭は、原社長によるマクニカのDE&I推進に対する考えの説明から始まりました。「マクニカはサービスソリューションカンパニーとして成長するために、多様性を取り入れた環境づくりを進め、個々が最大限に能力を発揮できる強い企業を目指しています。」と、これまでの文化に加えて、実践的な取り組みを通じてDE&Iをさらに加速させていく必要性を強調しました。

■「ダイバーシティ≠女性優遇」について

アカマイで働く鈴木達也氏は、5年前からAsia Pacificを管轄し、多様性に富んだチームを率いる中で、ダイバーシティについて独自のリサーチ手法を使って深く学び、現場の改善に活かしてきました。

その経験の中で、多くの女性が「特別扱いされたいわけではない」と感じていることに気づいたと話しました。「ダイバーシティ=女性優遇」という考えに疑問を呈し、「数値目標の達成よりも、その背後にあるコアの向上が重要だ」と強調しました。

この意見について西川役員も、「数字も重要ではあるが、本質は“誰もが働きやすい環境”をつくることであり、それこそがダイバーシティの本質である」と共感を示しました。

さらに原社長も、「数値はあくまで結果であり、大切なのは中身のクオリティ。女性だけにフォーカスするのでなく、マクニカは個々のマイノリティが尊重される企業文化を目指していきたい。」と述べました。

ダイバーシティ推進は単なる優遇措置にはとどまらず、すべての人々の多様性を尊重する企業文化の構築が鍵である、ということに、皆深く納得していました。

■データの収集と3階層モデルについて

データの収集と3階層モデルについて

続いて鈴木氏からは、ダイバーシティに関する調査の方法について説明がありました。
鈴木氏「ダイバーシティは“感じ方”に関わる主観的なものです。だからこそ、単純に“はい・いいえ”で答えるような選択式(MCQ)ではなく、回答者の“感じ方”を重視する『Perception Based Research』という手法での調査が重要なのです。」
さらに鈴木氏は、ダイバーシティの捉え方を“氷山”にたとえ、「表に見える“女性管理職比率”などの数値は、あくまで氷山の一角にすぎません。その下には、組織の意識や文化といった目に見えない層があり、そこが変わることで初めて、見える数値も変わっていくのです」と説明しました。

この考え方をもとに、今回は事前にマクニカ社員を対象に、以下のような設問でアンケートが実施されました。

・ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DE&I)の取り組みで、ポジティブな印象を持つ会社名を最大4つまで教えてください。
・逆に、ネガティブな印象を持つ会社名を教えてください。
・ポジティブだと答えた会社の共通点は何だと思いますか?
・ネガティブだと答えた会社の共通点は何だと思いますか?

 アンケート結果を見た原社長は、「マクニカにも、できている部分と、まだ改善の余地がある部分の両方があると感じました。ただ、アンケート回答の中で共通していたのは“人を大切にしている会社”が評価されていたという点で、これはマクニカがこれからも大切にすべき価値だと改めて思いました。」と感想を述べました。

その後鈴木氏は、ダイバーシティの3階層モデルのうち、最も深いレベル3Identity」の重要性について指摘しました。

榊原役員

鈴木氏Identityを守るためにマイノリティが入ってくると排除しようとするのが人間です。この問題は金銭面では解決できず、組織の在り方そのものを見直していく必要があります。」

この点について西川役員は、「個人(Individual)の考え方と、職業(Occupational)の役割は密接に結びついています。たとえば女性が営業のようなアグレッシブな職場に入りづらいと感じることもある。表面的な比率が上がっていても、内面では違和感を抱えているケースもあるのではないでしょうか。」と、述べました。

これに対して原社長も共感し、「画一的な組織環境がこのような問題を生み出してしまう。同じような人ばかりだと、面白みやアイデアの多様性が失われてしまうため、さまざまな人材を採用し、チームの活力バランスを意識する必要がある」と述べました。さらに、「マイノリティだけに偏れば同様の課題が生じるので、多様性のある組織づくりが大切だ」と話しました。西川役員も「個性を重視していくということですね」と応じました。

また鈴木氏は「リーダーが意識的に障壁を下げ、多様な人が働きやすい環境を作ることが大切」と話しました。

そして西川役員は、金銭以外の“Non-Monetary Incentive”の重要性について触れました。
西川役員「働いていて“なんか楽しそう”“柔軟性がある”“声が上げやすい”と感じられること。そうした空気感がすごく大事だと思っています。フェアであることはもちろんですが、結局、手を挙げられる人しか評価されないような環境だと、多くの人が埋もれてしまう。明るく、ストレスの少ない環境をどう維持・発展させていくかが、ダイバーシティの鍵だと感じました。」

■まとめ

イベントの締めくくりとして、原社長は次のようにまとめました。

「マクニカはオープンフェアで、エネルギッシュな社員が多く、新卒・中途問わず活躍のチャンスが広がっています。鈴木さんの言っていたLv2の『企業文化』を意識しつつ、一人ひとりのIdentityを活かし、キャリアを自ら切り拓いていくことが重要だと改めて感じました。それによって個々がマイノリティとして活躍し、画一的な組織を打破し、イノベーションを生み出すことにつながります。」

この言葉を受けて鈴木氏は、「マクニカには確固たる企業文化が根付いている」と述べたうえで、「ダイバーシティは5年後の組織を形づくる鍵です。すでにエクセレントな成果を生んでいますが、さらにスーパーエクセレントを目指してほしいです。」とのコメント。

西川役員もこの考えに共感を示し、「今のマクニカのカラーを大切にしつつ、5年後には新しい組織カラーを描いていきたい」と未来へのビジョンを語りました。

第2部:DE&I ch. みんなでやってみよう~社員意見交換会~

2部では、マクニカで活躍する3名の社員が登壇し、DE&Iに関する3つのテーマについて自身の考えや体験談を語りました。登壇社員以外のマクニカ社員も、テーブル(オンライン会場ではブレイクアウトルーム)ごとに同じテーマでディスカッションを行い、白熱した議論がそこここで見られました。第1部の対談で印象的だったキーワードも交えながら、社員一人ひとりがDE&Iを“自分ごと”として捉えるきっかけとなりました。

■テーマ1:第一部の感想についてお話しください。

神田さんOccupational IdentityPersonal Identityの話が印象的でした。中でも無意識のIdentityによって、悪気なく押し付けてしまうことがある点に恐怖を感じ、 “当たり前”を疑う視点を持つことの重要性を改めて感じました。」

宮本さん「私は新卒の頃、営業という職種に対して“こうあるべき”という空気に強い違和感を抱き、Occupational Identityと自分のIdentityに悩んでいた時期がありました。こうしたバイアスは会社全体で手放す意識が必要だと思います。」

菅原さん「“女性が特別扱いされたいわけではない”という話に共感しました。原社長の“本質があってこその数値”という言葉に安心しました。」

異なる立場や視点からの発言を通じて、無意識のバイアスにどう向き合うかについての気づきが広がるセッションとなりました。

 

■テーマ2:マクニカでダイバーシティの壁になっていることはあると思いますか?壁になっていることがあるとしたら、どうしたらいいと思いますか?

2つ目のテーマでは、マクニカにおける“壁”に焦点が当てられました。

宮本さん「女性の管理職や営業職が少なく、身近にロールモデルがいないと、自分の5年後・10年後が想像しにくいと感じます。同じ立場の先輩が“すぐ近くにいる”ことが大事だと思います。」

菅原さん「“育児は女性の役割”という前提が、まだ根強く残っていると感じます。私自身は夫が半年育休を取ってくれたことで、フルタイムで働けています。“自分にしかできない育児はない”ということに気づけた経験でした」。

神田さん「“バリバリ働く人が評価される”という価値観がキャリアの多様性を狭めていると思います。給料を上げるには、自分に合わないマネジメント職に進まなければいけないというような構造も、壁になっていると思います。」

制度面だけでなく、評価や意識のあり方そのものに潜む課題が浮き彫りとなったセッションでした。

■テーマ3:「エクセレントDE&Iカンパニー・マクニカ」になるにはどうしたらいいと思いますか?(※エクセレントDE&Iカンパニーとは?ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの取り組みが優れている会社のこと。)

最後のテーマでは、“より良いマクニカ”を目指すための具体的な提案が語られました。

菅原さん「いろんな背景を持つ人が働きやすい制度が大切です。その制度を“正しく使い、きちんと会社に還元する”ことが信頼にもつながると思います。」

宮本さん「マクニカの魅力を広く知ってもらうために、さらに積極的なPR活動が必要だと感じています。また、上層部と現場担当者のダイバーシティに対する考え方の違いを擦り合わせる機会を作ることで、多様な意見を採り入れ、組織の柔軟性を高めることができるのではないでしょうか。」

神田さん「働く時間や場所に、もっと柔軟性が必要だと思います。人によって集中できる時間や事情は異なるので、個々のニーズを満たすことで生産性が向上します。ただし、制度が悪用されないよう、社員が“成果”をきちんと示すことが重要です。」

3人それぞれの言葉から、「制度をどう活かし、信頼と柔軟性のある職場を築くか」という課題が見えてくるセッションとなりました。

 

■まとめ

今回の意見交換では、多様な働き方や価値観への気づきと課題が浮き彫りになりました。
制度の形だけでなく、実際に使いこなし成果を示すことや、無意識のバイアスに向き合うことが大切だと感じられました。社員一人ひとりが自分ごととしてDE&Iに向き合い、より良い職場づくりを進めていく意義を改めて確認する機会となりました。

イベントアンケート結果

イベント終了後、全社員を対象にアンケートを実施し、合計594件の回答が寄せられました。

1部・第2部それぞれについて「イベントの満足度(5点満点)」と「参加前後で意識に変化があったか」を尋ねたところ、以下の結果となりました。

  • 1部:満足度は 3.97点、44.39% が「意識に変化があった」と回答
  • 2部:満足度は 4.04点、55.26% が「意識に変化があった」と回答

 自由記述では以下のような声が寄せられました。

  • 「ダイバーシティについて、身近なテーマに感じられ、自分ゴトと気づけるきっかけとなった。」
  • 「女性だから諦めていた事などにこれからはもっと挑戦したいと思った。」
  • 「モノの見方にバイアスがかかっていた可能性があるため、今後気を付けたい。」
  • 「登壇者の方も三者三様で、グループ内でも様々な意見や見方があり、改めて多様な意見に触れる機会の重要性を感じた。」

多くの社員にとって、DE&Iを自分の視点で見直す貴重な機会となりました。

マクニカでは今後も、DE&I推進活動を継続的に行っていきます。