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今知っておきたい!ISMS認証取得・運用の基本の「キ」 《前編》

ポイント

  • 1.ISMS認証取得にむけた基本的なステップの解説
    ISMS適用範囲の決定、方針の策定、リスクアセスメント、文書作成、教育の実施、内部監査実施の流れを説明し、それぞれのステップで何をすべきかを具体的に紹介。
  • 2.ISMS認証取得と運用維持に関する一般的な課題とその解決策の提示
    リソース不足、ルール遵守の難しさの観点から運用が形骸化し、ISMS認証取得だけが目的になることなどの課題に対する具体的な解決策を提示。
  • 3.継続的なセキュリティ強化の重要性
    認証取得後も定期的なリスクアセスメント、ルールとポリシーの更新、教育とトレーニング、監査と評価を実施し続けることで、効果的な情報セキュリティ体制を維持することの重要性を解説。

目次

1.はじめに

現在、情報セキュリティが企業経営においてますます重要な要素となっています。そのため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得する企業が増えてきています。しかし、ISMS認証の取得には多くの知識とリソースが必要であり、取得後の維持運用も課題が多いと感じる企業は少なくありません。本記事では、中小企業の情報システム部門の方向けに、ISMS認証取得のための基本的な情報と効率的な運用方法について詳しく解説します。

2.効率的なISMS認証の取得・維持・運用方法とは?

ISMS認証の基礎知識

ISMSとは「Information Security Management System」の略で、組織全体で情報セキュリティをマネジメントする仕組みを指します。その目的は、情報セキュリティリスクを洗い出し、評価し、適切に管理することにあります。ISMS認証を取得することで、企業はセキュリティの信頼性を高めるとともに、ステークホルダーからの信頼を獲得することができます。ISMS認証基準として広く認識されているのがISO27001(またはJIS927001)で、この基準に従って情報セキュリティ体制を構築することが求められます。

ISMS認証取得によって得られるメリット

ISMS認証取得によって得られる主なメリットとして、以下の点が挙げられます。まず、企業の情報セキュリティ体制が確立され、信頼性が向上します。これにより、ステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなります。次に、責任者や担当者を明確にし、社内体制を整えることで、情報セキュリティに対する対応が一貫性を持つようになります。最後に、認証取得に向けた取り組みを通じて、社員一人一人のセキュリティ意識が向上し、従業員全員が積極的に情報セキュリティを守る意識が醸成されます。これらのメリットは、企業全体の情報セキュリティ体制の強化に寄与し、ビジネスの信頼性を高める重要な要素となります。

ISMS認証取得に必要なこと

ISMS認証の取得には、多くのステップがありますが、以下の手順を参考に進めると効果的です。

  • 適用範囲の決定
    企業全体での適用範囲を決めるか、特定の部署やプロジェクトに限定するかを検討します。
  • 基本方針の策定
    トップの名前で情報セキュリティポリシーを制定します。これは企業の公式サイトなどで公開することが望ましいです。
  • 文書の作成
    各種セキュリティルールや手順書を作成します。例えば、パスワードの管理ルール、入退室管理のルール、バックアップのルールなどです。
  • リスクアセスメント
    社内にどのような情報セキュリティリスクが存在するかを洗い出し、評価を行います。リスクの優先順位を付け、対応方針を決定します。
  • 従業員への教育
    各従業員に対して、作成したルールに基づいてセキュリティ教育を実施します。Eラーニングツールを使用すると効率的です。
  • 内部監査の実施
    内部監査員を選任し、社内で決めたルールが守られているかをセルフチェックします。この結果はトップに報告され、マネジメントレビューが行われます。
  • マネジメントレビュー
    内部監査の結果やその他の関連情報を基に、トップマネジメントが情報セキュリティ体制の有効性を評価し、改善計画を立てます。また、これまでに作成したセキュリティポリシー、手順書、記録などを見直し、必要に応じて修正・更新を行います。すべての文書が整備され、最新の状態であることを確認します。
  • 審査
    認証機関による外部審査を受けます。この審査では、ISMSの運用状況や文書類がISO27001の要件を満たしているかが確認されます。
  • 取得
    外部審査で合格すると、ISMS認証が発行されます。

これらのステップを継続的に実施することで、情報セキュリティ体制の有効性を維持し、改善を図ることができます。

ISMS認証における課題と解決策

ISMS認証は取得がゴールではありません。維持・運用する中で多くの企業が直面する主な課題とその解決策について紹介します。

  • リソース不足
    中小企業の場合、一人の情報システム担当者が他の業務を兼務で対応しているなど、ISMS認証取得に必要なリソースが不足する傾向があります。この課題に対処するためには、社内の教育やトレーニングを強化し、知識の共有を促進することが重要です。また、外部の専門家やコンサルタントの力を借りることも一つの方法です。
  • ルール遵守の難しさ
    作成したセキュリティルールを従業員全員が守ることは簡単ではありません。定期的な教育とトレーニングを行うことで、ルール遵守の意識を高めることができます。
  • 運用の形骸化
    ISMS認証を取得した後、運用が形骸化することがあります。これは定期的な監査や評価を行い、運用状況をチェックすることで防止できます。さらに、最新のセキュリティ情報を常に収集し、ポリシーやルールの更新を行うことも必要です。
  • 認証取得だけが目的になること
    ISMS認証の取得だけが目的となり、その先の運用や改善が疎かになることがあります。認証取得後も継続的な改善を目指し、セキュリティ体制の強化に努めることが大切です。

これらの課題に対処するためには、自社の特性や状況に合わせた計画を立て、着実に進めることが重要です。

3.まとめ

ISMS認証の取得は、情報セキュリティの強化に向けた第一歩です。適用範囲の決定、リスクアセスメント、教育の実施、そして運用と維持の継続的な取り組みが重要であり、その効果は認証取得後も持続的に発揮されます。次回の後編では、ISMS認証取得後に浮上するセキュリティリスクの対応方法について詳しく解説する予定ですので、ぜひお楽しみにしてください。

今知っておきたい!ISMS認証取得・運用の基本の「キ」《後編》 はこちら

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