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株式会社コイワイ様事例

 

USER PROFILE
■企業情報:株式会社コイワイ
■事業内容:
「鋳造技術の伝承発展に努め高品質のものづくりを通じて社会に貢献し価値ある企業として歴史を刻む」を理念とし、基本を忠実に堅持しながら新たな技術を柔軟に取り入れ業容を拡大。経済産業省によるさまざまな支援 / 推進事業の認定を取得。試作・量産鋳物・金属粉末積層部品の製造販売を手掛ける。

背景

  • 試作や研究開発用、量産の鋳物事業や機械加工事業を展開

  • 3Dプリンタでの試作製造による工数削減に業界先駆けで取り組むなど、DXにつながる挑戦を積極的に行う

課題

  • 若手の人材不足と、熟練者の技術継承

  • 見積作成のスピードと精度の向上

  • 千差万別な顧客要求に添う見積作成

選定

  • 過去の類似3Dデータを高精度検索できるAIの開発

  • 鋳造方案を考慮した見積作成が可能な仕組みの構築

  • 短期間での整備

取り組み

  • 累計1万点超えの試作時3Dデータから類似検索できるシステムを構築

  • 誰でも迅速かつ正確な見積作成ができる環境を整備

今後

  • 全体工数の削減による案件獲得キャパシティの増加

  • 経験年数による精度のばらつきをなくし健全性を高め、営業活動全体を透明化

  • 環境負荷の軽減など、SDGsに関連した環境づくりへのAIやデジタルの活用

 

本プロジェクトの参加メンバー

株式会社コイワイの方々

代表取締役 小岩井 豊己 氏
営業部 部長 小林 大輔 氏
技術部 寺園 久男 氏

株式会社マクニカ

楠 貴弘、森 理、芳賀 妙孝、Mary Grace Malana、Jerelyn Co、福永 慎一郎、猿木 浩文、榊原 麗

背景

3Dプリンタ活用など先進的な取り組みへの積極的な投資を進める

職人の世界である鋳造業において、基本を忠実に堅持しながら新たな技術を柔軟に取り入れることで業容を拡大してきた、試作・量産鋳物・金属粉末積層部品の製造販売を手掛ける株式会社コイワイ。
起業当初は試作品や研究開発用の一品ものの鋳物を中心に事業を展開し、今では量産の鋳物分野や資本出資による機械加工も含めた事業を展開している。
なかでも鋳物事業では、業界に先駆けて3Dプリンタによる試作の鋳物製造に取り組み、従来必要とされてきた木型(きがた)制作プロセスを一気に省略し、工程を大幅に削減するなど、今日のDXにつながる革新的な挑戦を積極的に行っている。
同社と取引のある顧客は、先代の創業者が自動車業界に在籍していたこともあり、現在も自動車やその部品を取り扱うメーカーが中心だが、近年は建設機械やロボット、医療機械などさまざまな業界へ販路拡大を図っている。

そんな同社が手掛ける試作事業においては、コロナ禍以前は毎月40~50点ほどのアイテムを試作品として作り上げてきた経緯があり、引き合いベースではその倍の規模を誇る相談が寄せられていたという。

ー 小岩井氏
試作については、1個の場合もあれば100個の場合もあるなど、お客さまの案件によって大きく変動します。納期についても一週間という短納期もあれば、機械加工も含めて数か月規模でお納めするものなど、量産とは異なるアプローチで多くの試作品を手掛けてきました。

課題

類似データを参考とする見積作成に時間がかかる

同社が在籍する鋳造業界では、日本の産業界全体と同様に、若手の人材が不足している状況にある。
長年現場で培われてきた高度な技術を継承してくためにも、旧態依然としたアナログ的な手法から脱却し、働きやすい環境づくりが以前から求められてきたと小岩井氏は説明する。
そこで必要だと考えていたのが、現場のデジタル化を促進することでビジネスモデルの変革を実現するDX推進だったという。

ー 小岩井氏
経験豊富な熟練者が中心の職場となっており、新人が学べる環境が十分に整備できていませんでした。経営的な視点からも、新たな人材を獲得して技術の継承も含めた環境づくりが急務となっていたのです。

そんな折、経済産業省が主導する企業のDX化支援に向けて、データとデジタル技術を活用して収益を得るビジネスモデルを創出するDXプロジェクトを通じて、中小企業のDX化を支援する取り組みを神奈川県が開始。
そこに、試作品を造形する3Dプリンタをいち早く自社の事業に取り込むなど、デジタルデータを活用した先進的な取り組みを進めてきた同社が参画することになったという。
そこでプロジェクトへの参加を決断した小岩井氏が最初に取り組んだのが、顧客接点の入り口となる試作事業における見積業務の効率化だった。

ー 小岩井氏
引き合い後の見積書作成に手間がかかっており、見積精度が低いことで受注の機会を逸してしまうケースも。プロジェクトを主導する県担当者と相談し、見積作成のスピードと精度向上に向けた取り組みから着手することにしたのです。

特に量産に入る前の試作を手掛ける試作事業では、顧客からの要求が千差万別で、見積を作成する際にもこれまでの知見や過去の実績などを踏まえながら、見積金額を算出することが求められてくる。

ー 小林氏
通常は、試作に必要な型の点数や鋳造するための方案、製作期間などを加味して見積を提出しますが、ベテランであれば過去の実績からおおよその金額をはじき出すことができます。しかし、新人や経験年数の浅いメンバーの場合、関連する部署全てにヒアリングして金額感を導き出さざるを得ず、見積作成に時間がかかってしまう。そこで、過去の試作品実績のなかから一番形状が似ている類似品の3Dデータを探し出し、その見積を参考にしながら金額を想定する運用を行ってきました。それでも、ベテランなら1~2時間があれば作成できますが、経験の少ないメンバーでは1日がかりになってしまうこともあったのです。


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