マーチャンダイジング分析と販売計画の最適化
- 通常「人」では行うことのできない粒度と網羅性のマーチャンダイジング分析を可能に
- 売上拡大につながる効果的な販売計画を迅速に立案することを実現
- マーチャンダイジング
- 販売計画
- 商品分析
- BIツール
- CrowdANALYTIX
Business challenge
商品担当者やマーチャンダイザー(MD)は、販売目標達成の為に販売計画を定期的に考え実行する必要がある。販売計画は、担当商品の販売、在庫、販促などの商品に関するデータ全般に加え、外部要因も考慮しながら複合的に分析しなければ立案できない。
しかし、全商品の関連データとKPIを「人」の力でトラッキングするには限界ある。大量の複雑な情報を処理することのできるAIの特性を生かして、マーチャンダイジング関連の膨大なデータを分析し、MDが効果的な販売計画を迅速に立案できることを目指す。
課題
小売業、流通業、アパレル業において商品担当者やMDは、販売目標達成の為にお客様にとって適正な商品やサービスを、適正な価格で、適正な数量を、適正な時期に、適正な場所で販売すること(5つの適正)を目指しており、その為に52週MDという言葉があるように定期的に販売計画の立案を行っている。頻度は担当者や商品によって異なるが、52週MDの場合は、1週間ごとに販売結果を分析し、今後の予測をたて、その予測に沿った計画の修正を行う必要があるといわれている。
このサイクルを守り、正確に予測を立て続ければ、先ほどの5つの適正も実現し、販売目標の達成も可能だが、実態はどうだろうか?週次で分析し、予測を立て、立案した計画に則って活動しているにも関わらず、「トレンドを外し余剰在庫が出てしまった」、「欠品による機会損失が生じてしまった」などの結果が出てしまっていないだろうか?
数多くの商品を店舗とECで展開している米国のとある大手小売業(以後A社)では、各商品カテゴリーごとにMDがアサインされている。そして、各MDは毎四半期に立てられる予算を達成するために週次でBIツールなどの複数の分析ツールを活用しながら販売計画の立案をしているが、それでも余剰在庫を抱える・欠品が出ることが各カテゴリーで起きていた。
なぜ定期的に分析・予測・販売計画の立案・実行を行っているにも関わらず成果が伴ってこないのか?A社では自社の業務を見直した結果、販売計画立案における最初のステップである分析段階に以下の課題があることを特定した。
- ✔ 毎週月曜日に様々なレポートやダッシュボードをチェックするために多くの時間を浪費してしまっている。(A社では分析と計画立案にMD一人に対し毎週6時間かかっていた。)
- ✔ チェックしなければならない商品とKPIが多すぎて分析した結果から優先的に取り組むべきアクションが不明確なまま販売計画を立案してしまっている。
1週間で行うことのできるアクションの数は限られている中、取り組むアクションを見誤ってしまうことがまさに余剰在庫や欠品を引き起こし、売上拡大の足かせになっていると考えた。
課題解決のプロセス
そこでA社は、MDの分析時間の削減と成果に繋がる効果的な販売計画の立案を支援する仕組みを作ることを目指した。理想とした運用は、「毎週月曜日の出社時に、一つのダッシュボードを確認すれば、先週発生した担当カテゴリーや商品のトランザクションの中で予算達成に影響の大きいイベントをすぐに把握することのできる」ものだ。その為には、過去から現在までの膨大な商品関連のデータを様々なKPIから分析するプラットフォームを構築する必要がある。最終的にこの分析プラットフォームを全てのカテゴリーに実装する想定だが、まずは影響度の大きい売上No.1のカテゴリーをスコープに設定することにした。
第一ステップは、カテゴリー内の商品に関連する過去数年分のあらゆるデータをプラットフォームに取り込むことから始まった。それはPOSシステム、商品マスタ、取引先ポータルやECに掲載している商品は、EC関連のトラフィックも含めて様々なソースからデータを取り込んだ。
次のステップは、取り込んだデータに対してどのようなKPIをトラッキングすべきかを選定するフェーズである。売上、利益、個数はもちろんのこと、販売率、在庫回転率、Web閲覧数、カート投入率など、普段MDがトラッキングしているKPIや本当はすべきだが工数的にトラッキングできていなかった重要なKPIを選定した。これでプラットフォームの準備段階の完了である。
そして分析段階では、過去から現在までの商品関連の大量のデータを、選定した様々なKPIから複合的に分析し、「先週の実績 vs 過去の実績や目標数値」との比較を行った。その比較分析の結果、特に過去の傾向や目標数値と乖離のある結果を特に考慮すべきイベントとして検知することができた。
A社ではその検知結果をもとにMDがすぐに販売計画の立案ができると判断し、スコープを売上Top 10のカテゴリーまで増やし、合わせて検知結果を単一のダッシュボードで表示するデモも作成した。対象カテゴリーのMDは、これまでの分析時間から解き放たれ、毎週月曜日の出社時に単一のダッシュボードに上がっているイベントをベースに販売計画を迅速に立案することができるようになった。そして、これまでカバーできていなかったデータ範囲とKPIもトラッキングすることにより、より正確かつ効果的な販売計画を立案できるようになった。このように毎日発生する膨大な量のデータを過去も含めて分析し、様々なKPIでトラッキングし続けることは「人」にはできない芸当である。
A社は現在も分析対象のカテゴリーを増やしている。今後ビジネス拡大に向けてさらに取扱商品数が増えた場合も、この分析プラットフォームがどのMDにとっても効果的な販売計画を迅速に立案することを支援していくであろう。