ECサイトの検索性向上

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Business challenge

自社ECサイトにおいて、顧客の検索に対して適切な商品の検索結果を提示できないと、販売機会の損失に繋がってしまう。またその状態が継続すると、顧客の満足度低下によって、他社サイトでの購買に切り替えられ、顧客基盤の流出にも繋がりかねない。
この課題への解決方法の1つとして、商品ページにおける商品名、商品カテゴリ等を顧客の検索意図を捉えてニーズにマッチしたものへアップデートし、ECサイトの検索性を向上していく必要がある。
EC担当者だけでは上記のための分析、改善アクションをとりきれない部分を、AIがデータを分析、適切な商品名、商品カテゴリ等のレコメンドを実施し、コンバージョンに繋がるECサイトの構築を目指す。

課題

ECサイトを運営するにあたって、顧客の検索性を向上させることは、ECサイトの売上向上に影響を大きく与える。なぜなら欲しいと考えている商品を検索しても、検索結果がゼロだったり、違う商品が出てきてしまうと、他社サイトでの検索・購買に流れてしまう可能性が高いからである。例えば「メガネ」と検索した場合に、検索結果の中にメガネケースが多数紛れ込んでしまったとする。これは、メガネケースの商品説明部分に「メガネ」という記載があり、そのキーワードを参照して検索結果として表示しているからである。この場合メガネと検索した顧客はメガネケースを探している訳ではないので、顧客が本当に欲しい商品にたどり着きにくくなり、顧客にとっては「思ったものが見つからない」という不満につながる。

上記のような検索性への不満が続くと、販売機会の損失や顧客の流出に繋がる可能性が高い。しかしEC担当者は日々の業務に追われる中で、一度ECサイトを構築した後に、顧客のニーズにマッチした検索結果が提示できているのかといった状況の把握、分析、改善のためのアクションをとれていないケースが多い。また何をどう改善したらいいか、充分な時間をかけて考える時間も取れないと言ったケースも多い。

顧客が欲しいと思っている商品がサイト内にあったとしても、その検索キーワードは必ずしも現状のサイト内の商品名や商品説明に含まれているとは限らない場合もある。また顧客の検索キーワードはトレンドにも左右されやすく、不変のものではない。ECサイトで取り扱う商品が増えていく中、サプライヤーや自社から取得する商品情報をそのまま掲載するだけではなく、商品名や商品カテゴリといった部分も継続的にチューニングしていく必要がある。

そこで顧客の検索から適切な自社製品購買へとつなげ、販売機会の損失回避による売上向上と顧客満足度向上を目指すため、人手では1つ1つ対応しきれない中で、どのような商品名や商品カテゴリ構造にするべきかを、各種データを基に分析、レコメンドしてくれるAI導入を検討することになった。

課題解決のプロセス

上記の課題解決のために、まずは適切な商品名の設定を目標にAI活用の検討をスタートした。
利用するデータは大きく2種類、自社データと外部データである。

・自社データ

①製品データ:製品名、説明、Web階層、製品ID、画像 ②カテゴリ固有の属性 ③現在のカテゴリ分類体系 ④自社サイト内での検索ログ

・外部データ

①GoogleAdWords:商品カテゴリの消費者検索を理解するためにマッピングされたキーワードプランナーとトレンド ②競合他社のブレッドクラム(パンくずリスト)を使用したカテゴリマッピング ③CrowdANALYTIXによる属性と重みづけの分類体系

実際のプロジェクト

実際のプロジェクトでは、任意の複数カテゴリをPOC対象として選択。AIが各カテゴリ内の属性項目ごとに重要度を重みづけした属性スコアを提示。またその後に各商品ごとに、望ましい商品名をスコアと共にレコメンド。現状の商品名のスコアと比較を行い、最終的にはEC担当者の判断により、差異が大きいものから商品名の変更判断を行い、ECサイトへの反映を行った。

1)AIが重要度を重みづけしたスコアを提示

属性項目ごとの重みづけ

Attribute Name Attribute
Weights
Product Type 1
Fixture Color/Finish 0.9892
MFG Brand Name 0.9569
Series 0.8909
Indoor/Outdoor 0.855
Number of Blades 0.8457
Ceiling Fan Width(in.) 0.8105
Attribute Name Attribute
Weights
Airflow(CFM) 0.7904
Control Type Included 0.7222
MFG Model # 0.5068
Features 0.4293
Blade Color 0.2879
Motor Speed(RPM) 0.2326
Mounting Type 0.0043

2)各商品ごとに、望ましい商品名をスコアと共にレコメンドし、現状の商品名のスコアと比較

商品名のレコメンド

商品名のレコメンド

3)商品名の変更をEC担当者が判断し実施

4)ECサイトへの反映

その後POCの対象とした任意のカテゴリにて、ABテストを実施。AIによりレコメンドされた商品名に変更した商品が、変更をしなかった商品に比べ、過去との比較で売上向上を確認することができた。現在は対象カテゴリを拡大し、この商品名レコメンドAIを継続的に利用している。
またECサイトの検索性向上に向けて、商品名だけではなく、商品カテゴリ体系やランディングページのレコメンドAIの取り組み検討も新たにスタートしている。

AIは一度開発をしたら終わりではない。日々新しい商品やインプットとなる自社/外部データの追加更新に合わせて、マクニカとCrowdANALYTIXは日々お客様との密なコミュニケーションを実施し課題を把握、AIモデルの開発・運用・精度維持をサービスとして提供している。

商品カテゴリ・ランディングページのレコメンド

商品カテゴリ・ランディングページのレコメンド