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VUCA時代を生き抜く、2030年を見据えたSCMの構築・高度化に必要な3つのポイント

※本記事は、2024 年 10 月開催の「Macnica Data・AI Forum 2024 秋」の講演を基に制作したものです。

はじめに

現代のビジネス環境は、VUCAと呼ばれる「不安定で予測不可能な時代」に突入しています。特に製造業においては、このような環境に対応するため、サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)の構築や高度化が求められています。株式会社マクニカと株式会社ブレインパッドが開催した講演「VUCA時代を生き抜く、2030年を見据えたSCMの構築・高度化に必要な3つのポイント」では、これからのSCMを見据えた重要な3つのポイントが共有されました。本記事では、その要点を解説し、特に製造業に従事する方々に役立つ情報をお伝えします。

1.半導体商社から見た製造業のサプライチェーン

SCMを語るうえでまず、半導体商社の視点で半導体の重要性について触れたいと思います。半導体は現代のあらゆる製品に組み込まれており、その市場規模は2030年に100兆円に達すると予測されています。しかし、地政学的リスクの高まりやコロナ禍による供給不足など、サプライチェーンに多大な影響を及ぼしています。

2.不確実性を捉え機動性のあるデータマネジメント

不確実性への対応力を高めるデータマネジメント
コロナ禍で浮き彫りになったのは、従来のデータ分析手法の限界です。過去のパターンが未来を保証しない状況下では、データのリアルタイムな収集・分析が不可欠です。製造業は予測が外れる前提でのオペレーション設計が求められていると言えます。データサイエンスの分野でも、予測モデルの精度向上よりも、モニタリングと迅速な意思決定が重視されています。

2.不確実性を捉え機動性のあるデータマネジメント

人間の意思決定を支えるシミュレーションツール
最新のシミュレーションツールや需要予測モデルは、複雑なサプライチェーンの状況を可視化し、人間の意思決定をサポートします。例えば、在庫状況や生産能力を瞬時にシミュレートすることで、最適な発注や生産計画を立案できます。これにより、組織全体のアジリティが向上します。

2.不確実性を捉え機動性のあるデータマネジメント

3.製造業のグローバルサプライチェーンにおけるリスクマネジメント

サイバーセキュリティと法規制対応の重要性
社内でのデータ活用(可視化や共有)が進む一方で、同時にサイバー攻撃のリスクも高まります。特に、グローバルなデータマネジメントでは、各国の法規制対応やセキュリティガバナンスの強化が不可欠です。IT/情報資産の棚卸しやリスク評価を通じて、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

また、顧客向けにデータを活用した新たなサービスモデルを展開していく中で、セキュリティリスクも増大します。例えば、IoTデバイスやクラウドサービスを活用する場合、データの安全性とプライバシー保護が求められます。これらを確保するための技術的・組織的な対策が必要です。

3.製造業のグローバルサプライチェーンにおけるリスクマネジメント

4.サスティナブル経営に向けたナレッジマネジメント

デジタル化された過去の集合知を活用し、生成AIを活用した社内ナレッジのソリューション化を考えていくことが重要です。
IoT・AIなどデジタル技術の普及やデータサイエンスの進化により、膨大な非構造化データ(画像・動画・音声等)の活用が可能になりました。

ナレッジマネジメントシステム構築のメリット:

  • 生産性向上:誰でも同じ知見に素早くアクセスし、現場の対応力を底上げ
  • 技能継承:ベテランの暗黙知を形式知化し、若手や新入社員へ素早く移転
  • イノベーション:蓄積された知見を活かし、新製品・新サービスを生み出す土台を確立

従業員一人ひとりがデータを活用できる環境を整えることで、組織全体のパフォーマンスが向上、高い生産性とサスティナブルな事業創造を実現可能とします。
まさにナレッジベースを活用して、製造業がサービス型ビジネスへ進化する可能性も秘めています。

まとめ

本記事では、製造業のSCMに関わる方々に向け、VUCA時代に対応するSCMの高度化に必要な3つのマネジメント(データマネジメント、リスクマネジメント、ナレッジマネジメント)のポイントを解説しました。

マクニカとブレインパッドは、SCMの高度化を進めるための伴走パートナーとして支援してまいります。

岡崎 祥太 氏

株式会社ブレインパッド
アナリティクスコンサルティングユニット シニアマネジャー
岡崎 祥太 氏

データサイエンティストとして予測や最適化の技術を用いて幅広い業種のPJを担当。直近ではサプライチェーンの最適化PJを中心に活動。

早川 遼 氏

株式会社ブレインパッド
セールス&マーケティングユニット エンタープライズセールス リード
早川 遼 氏

主に製造業、物流企業を中心としたアカウントユニットのセールスリードとして、幅広いデータ活用プロジェクトの創出、推進に参画。

粟井 優介 氏

株式会社ブレインパッド
セールス&マーケティングユニット アライアンス リード
粟井 優介 氏

専門商社を経験後、製造業向けIoT×AIスタートアップにてビジネス開発マネジャーとして事業を推進。その後、独立を経てブレインパッドに入社。現在は、パートナー企業との協業を通じた提供価値向上に従事。

宮城 教和

株式会社マクニカ
DXコンサルティング統括部 統括部長
宮城 教和

デジタルな未来へと導くイニシアチブを推進すべく、DXコンサルティング部門を統括し、web3開発室長や落合陽一氏と大阪・関西万博コンテンツの継続利用を目指す(株)サスティナブルパビリオン2025の社外取締役も務める。

吉田 良輔

株式会社マクニカ
DXコンサルティング統括部 新事業創発コンサルティング室 室長補佐
吉田 良輔

10年以上半導体事業を中心に日本の産業機械や電機メーカー様などの調達・開発支援を行い、その経験を活かし現在は製造業企業様のDX戦略の策定から実行まで支援しております。