
こんな方におすすめの記事です
AIの事業展開をする経営者層、データサイエンティスト、機械学習エンジニア、人工知能について勉強をしているすべての人
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はじめに
はじめまして。12月からAIリサーチセンターに配属されました土屋です。
今月から不定期ではありますが、こちらでAI関連のテクノロジーのお話を書かせていただくことになりました。 宜しくお願いいたします。
ここで、突然ですが、質問です!
皆さんはどのように、人工知能の最新トレンドにキャッチアップをしていますか?
本、ネット上の記事、セミナー、ニュース、こうしたさまざまな情報媒体でのキャッチアップも勿論大事なことですが、
AIの本当の最新トレンドをつかむには、論文で学ぶしかありません!
世界には、たくさんのAIの研究者がいて、日々、新しい手法を考え、新しい手法の現実世界での適用方法を試行錯誤しています。その結晶が論文です。
AI関連の事業展開をしている企業の技術者はそれらにキャッチアップをする必要があります。
なぜ、AIのトレンドにキャッチアップをする必要があるのか?ということについてですが、それは議論の余地がありません。
ことAIに関しては、効率的な手法は研究者によって常に開発され続けています。それらを知っているかいないかでは、考えられるビジネスの幅が変わってきます。
例えば、今年はGPUを5枚重ねないとできなかったことが、来年はモバイル端末でできることもあるかもしれません。それを知っていれば、ビジネスモデルが変わることすらあるかもしれませんし、この業界ではそういった現象はよく起こります。
AI関連の事業展開をしている経営者の方は、率先して技術者たちに論文を読ませるようにしましょう。
技術者の方は、率先して論文を読むようにしましょう。
また、弊社マクニカでは、常に論文でのキャッチアップは怠りません。
今後このテックブログでも、論文についてまとめを投稿していきますので、ご活用いただけますと幸いです。
論文は学会に採択されたものを選ぶ
「論文を読むと良いことがある」と言われても、まず論文をどのように見つけていいかがわからないかと思います。
例えば、AI系の論文が集まる場所としては、arXiv(https://arxiv.org/)などがありますが、そこで”AI”と検索をして、AI系の本当に良い情報を見つけるのは、ほとんど不可能です。
世界にはたくさんの研究者がいて、論文を公開しているので、そういった媒体は一日数百件の単位で論文が更新されていきます。
なので、そんな媒体だけで、本当に価値のある論文を探すのは、横浜の中で本当においしいラーメン屋さんを探すのと同じくらい大変なことです。
では、どのように論文を探せばよいでしょうか?
おすすめは、AI系の学会に採択された論文から、価値のある論文を探すことです。 AI系の学会はいくつかありますので、概要を説明します。
AI系の学会
AI系の学会といっても、それぞれの特徴がありますので、こちらにそれぞれの学会の特徴をまとめました。
名前 |
詳細 |
場所 |
時期 |
人工知能全般 |
|||
IJCAI |
機械学習だけでなく、AI全般の世界のトップカンファレンス |
スウェーデン |
7月 |
AAAI |
IJCAIと同格のカンファレンス |
ハワイ |
ハワイ |
JSAI |
人工知能学会全国大会と呼ばれる日本の大会 |
鹿児島 |
6月 |
統計的機械学習・Deep Learning |
|||
NeurIPS |
機械学習系のトップカンファレンス, 去年まではNIPSという名前だった |
カナダ |
12月 |
ICML |
NeurIPSに並ぶトップカンファレンス, 実験重視だったが近年は理論重視型になった |
スウェーデン |
6月 |
IBIS |
日本最大の機械学習系のワークショップ |
札幌 |
11月 |
コンピュータビジョン |
|||
CVPR |
コンピュータビジョンのトップカンファレンス |
アメリカ |
6月 |
ICCV |
CVPRに並ぶカンファレンス, 隔年開催 |
イタリア |
10月 |
※2018年12月調べ。学会の時期は全て2018年のものです。自然言語処理に特化したものには、ACLやEMNLPなどがあります。
各々目的にそって、学会を絞りましょう。
例えば、「機械学習やDeep Learningに関する最先端の情報を知りたい」というニーズがあるのであれば「NeurIPS2018」と検索をして、NeurIPS2018に採択された論文を探しましょう。
または、コンピュータビジョンの最先端にキャッチアップしたいのなら、「CVPR2018」と検索して、CVPR2018に採択された論文を読むのがおすすめです。
AI系の学会活用方法
学会の活用方法としては、実際に行ってみるというのは非常に価値のあることなのですが、人気過ぎてチケットは簡単には入手できません。
ただし、学会のホームページを見れば、学会に採択された論文や、今年のAIトレンドを説明しているチュートリアルを見ることができます。
また、論文にはgit hubのURLがついていて直ぐに試せるものもありますので、どれだけ有効かを簡単に確かめることもできます。さらに、チュートリアルは動画がついている場合もあるので、そちらも確認すると良いでしょう。
どのように論文を効率よく読むか?
論文を読むのであれば、読み方は非常に大事です。
効率的に論文を読むには、論文を読む順番を意識する必要があります。
個人的には、論文は小説と違って大切に読むものではないので、アウトプットを前提に読むと良いと考えています。
私は、現筑波大学 学長補佐の落合陽一先生流の論文の読み方を採用しています。
まず、論文を読む順番に関してですが、論文は普通、以下のように構成されています。
1. アブストラクト → 2. 関連研究 → 3. 実験 → 4. 結論
ここで、前から順に読まないことに注意です。なぜなら、実験はしたけど結論としてよく分からない結果になりました。みたいなこともたくさんあるからです。
なので、おすすめの読み方は、以下の通りです。
- アブストラクト:概要を知る
- 結論:どのような結果が得られたかをまず知る
- 実験:何を以てその結論が得られたかを知る
- 関連研究:他に何の研究を知れば知識を深められるかを知る
まとめ
ここでは、「AIの最先端は論文で学ぶ」というところから、「どのように論文を選び」「どのように選んだ論文を読むか」について説明しました。
続いて、先日12/3 ~ 12/9に統計的機械学習・Deep Learningに特化した学会”NeurIPS2018”が開催されたので、
次回の記事では NeurIPS2018のまとめ を投稿していこうと思いますので、宜しくお願いいたします。