「技」と「知」を掛け合わせ、
社会問題解決に挑む

Project Story 03

  • カンヌサミスンダララジャ カピレッシュ

    2022年新卒入社

  • 長谷川 さくら

    2022年中途入社

  • 小林 俊介

    2019年中途入社

  • 本村 健登

    2013年新卒入社

世界の食糧問題を解決したい。そのような熱い想いをもって日々奮闘しているチームがある。世界に目を向けると、パンデミックや経済ショック、紛争、気候変動等が重なり、かつてないほどの食糧危機が発生している。マクニカの持つテクノロジーを活用すれば、この危機的状況を少しでも改善することができるのではないか。マクニカは、農業にイノベーションを起こし、日本、そして世界の食にまつわる社会課題の解決を目指し、フード・アグリテック事業において新規サービスを立ち上げた。

Chapter1 互いの想いに共感する、運命の出会い

マクニカは考えた。「世界の食糧問題を解決するためには、食品の効率的な生産を可能にする植物工場を普及させる必要がある」。そして、「人々の健康的な生活を実現するためには、植物工場で生産される食品が安全かつ美味しいものである必要がある」と。そこでマクニカは日本の農業の実態に目を向けた。日本は農業分野において高い技術を持った数少ない国。しかし、高品質を重要視するあまり、効率的な生産方法が確立されていないという特徴が見えてきた。マクニカは、ここにイノベーションの余地があると考えた。「日本の農家の知見やノウハウによる高品質かつ美味しい食品を、マクニカのテクノロジーを活用し植物工場で効率的かつ持続的に大量生産できるようになれば、世界を変えられるかもしれない」。そのような考えを持っていたマクニカは、ある日NEXTAGEという企業と出会うことになる。NEXTAGEはアグリテックビジネスに注力しており、農業に従事する人々の高齢化や環境問題によってわさびの生産が難しくなっている状況に対し、「日本の食文化を守りたい」という想いでわさびの生産方法に革新を起こそうとしていた。出会うべくして出会ったこの二社は互いの想いに共感し、共同でプロジェクトを進めることになる。わさびは水温や気温、日照時間等、植物の中でも栽培条件の管理が特に難しく、高品質なものを安定して生産することが困難なものだ。わさびの大量生産を実現するソリューションやビジネスモデルを構築すれば、わさびだけでなく、様々な食品の大量生産が可能になるかもしれない。こうしてマクニカの挑戦が始まった。

Chapter2 自らが提供できる価値を、徹底的に模索する

大きな目標を掲げて始動したプロジェクトだが、開始早々行き詰まることとなる。誰もがどこでもわさびを簡単に栽培できるようになり、世界中に美味しいわさびを届けるためには、当然そのためのシステムを新しく構築する必要がある。しかし、マクニカは、プロジェクト当初「そのシステムをどのようなものにすべきか」という答えをNEXTAGEに求めてしまい、システムの構築に関する議論が前に進まなかったのである。「NEXTAGE様はわさび工場の専門家ではありますが、テクノロジーの専門家ではありませんでした。テクノロジーの実装のためには、私たちがその業界特有の知識と最先端テクノロジーを繋ぐ必要があることにプロジェクトの途中まで気づけていなかったのです」と小林は語る。自分たちのミッションを再認識したマクニカは、「自分たちがこのプロジェクトにおいて何を価値として提供できるのか」「どのようなシステムを作れば目指すべき目標を達成できるのか」を明確にするべく、わさびに関するあらゆる情報を収集した。マクニカがテクノロジーについてプロフェッショナルであっても、そのテクノロジーが目的を達成するものでなければ意味がないからだ。マクニカは、生産工場の視察を行ったり、様々なわさびを試食したり、更には大学や専門家のヒアリングを通して、わさびに関する幅広い情報を吸収し、自分たちがこのプロジェクトで提供できる価値を徹底的に模索した。

Chapter3 最先端システムを、驚くべきスピードで実現

マクニカは様々な活動を通して、わさびの大量生産を実現するためには、わさびの大きさや色見等のデータを数値化し、栽培管理を効率化した上で、栽培難易度を下げることが大切であると考えた。しかし、ここでもまた壁にぶつかってしまう。わさびの各種データを取得するための適切なセンサーがまだ世の中に存在していなかったのだ。当初この壁を乗り越えることは困難であると思われたが、マクニカのデータサイエンティストたちが徹底的に議論を重ね、知恵を出し合った結果、解決の糸口を見つけることができた。「形状が異なる物体の大きさやカメラからの距離にばらつきがある複数の物体を測定するAIの開発は何度か経験していました。そこで、既に我々が開発したことのあるAIを活用すれば、この問題を解決できるのではと考えたのです」とカピレッシュは語る。カメラで取得した画像データからAIにわさびの情報を読み取らせることは簡単ではない。通常であれば、少しでもカメラの画像に映るわさびの形状や大きさが異なるだけで、AIはわさびを検知することができず、適切にデータを取得することができないのだ。しかし、マクニカの開発経験がこれを可能にした。形状が異なるものでも一つの物体として認識することができる「床の汚れを検知するAI」と、カメラとの距離が異なる物体に対してサイズを定量化して検出できる「ゴルフボールの自動検出AI」を活用し、半月というスピードで、わさびの大きさや色見等の情報を取得するシステムの開発と実装までを実現させたのだ。こうして、NEXTAGEとマクニカが共同で開発した生育データ可視化システムはまもなく世に出ることになった。このシステムが多くの農家で採用されれば、誰もが効率的にわさびの栽培計画(レシピ)を作成することができ、安定したわさびの高品質栽培が実現できることとなるだろう。

Chapter4 想いをテクノロジーで、「カタチ」にする

まだ誰も実現していない、困難なこのプロジェクトを前に進めることができたのはなぜか。それは、マクニカのAIに精通した「技」とNEXTAGEの持つわさび栽培における専門的な「知」が掛け合わさったからである。NEXTAGEは美味しいわさびを作るノウハウには絶対の自信があったが、それを具現化するテクノロジーを持っていなかった。そこでマクニカのもつテクノロジーを掛け合わせることで、今までにないブレイクスルーを起こし、NEXTAGEの想いに応えたのだ。「NEXTAGE様のように、『何とかして社会を変えたい』、『一人一人の人生をより良くしていきたい』という熱意やそれを実現するアイデアを持つ企業や人はたくさんいます。そのような方々の想いを具体的な『カタチ』として、社会へ実装し続けることが、私たちの使命だと考えています。」と本村は語る。このプロジェクトはマクニカが掲げる目標の大きな第一歩だ。マクニカはこのプロジェクトで新しく創り上げたビジネスモデルや技術、ノウハウを軸に、更に別の食糧問題の解決にも貢献していく。全ては食糧問題を解決し、世界中の人々の健康的な生活の持続を実現するために。マクニカの挑戦は終わらない。

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