激しい環境変化を、
確かな価値提供で乗り越える

Project Story 01

  • 宮本 隆気

    2022年中途入社

  • 堀内 隆真

    2002年新卒入社

  • 配島 陽介

    2021年中途入社

  • 大日方 滋

    2001年新卒入社

  • 佐藤 直生

    2021年中途入社

半導体は産業のコメと言われ、家電などの身近な物だけでなく、自動車や鉄道、通信機器などのインフラまで、あらゆる文明の利器を支える黒子として活躍している。生活にある「便利」のほとんどが半導体によって支えられているといっても過言ではない。それらを製造・供給している半導体業界は変化が激しく、事業拡大のために同業界の会社を合併・買収するM&Aが頻繁に行われている。めまぐるしく変化する業界において、商社の生存競争も熾烈を極めており、マクニカの価値が日々試されている。

Chapter1 社内を震撼させた、衝撃のニュース

ある朝、サプライズニュースが社内を駆け巡った。老舗半導体メーカー(以下A社)が、マクニカと長年取引をしているアメリカシリコンバレーの半導体メーカーを買収するというのだ。昨今急速に寡占化が進む半導体業界において、半導体サプライヤーのM&Aのニュースは決して珍しいものではなかった。しかし、マクニカとこれまで約15年に渡り、ビジネスを共に創り上げてきたビジネスパートナーが買収されるということは、彼らとのビジネスの主導権がA社に移るということであり、今後のビジネスの方向性が大きく変わる可能性がある。そのため、この買収発表は非常にインパクトのあるものだった。A社による買収が完了し、マクニカとしては新たに取引契約を締結する必要があったが、買収直後、A社が国内販売網を再編するという新たなニュースが飛び込んできた。「このニュースを聞いたときの衝撃は大きかったです。こういった買収の際に発生する、販売網の整理というのは、買収された会社と取引をしていた商社が契約を打ち切られるケースがほとんどでしたから」と大日方は話す。マクニカは文字通り、窮地に立たされたのである。

Chapter2 自社だからこそ実現できる、デマンドクリエーション

しかし、大日方をはじめとするチームメンバーは考えた。A社が取引をする商社を絞り込むということは、選ばれた商社にビジネスが集約されていくという事であり、これはマクニカにとって今まで以上のビジネス基盤を構築するチャンスであると。また、A社の製品を取り扱う事ができれば、更にグローバルにビジネスを拡大する事ができ、マクニカの価値をより世界中に届けることができる。A社による販売網の再編も、ビジネス拡大が目的である。マクニカとビジネスパートナーになるメリットをA社に証明することができれば、取引契約にまで繋げることができる。そのために、まずはマクニカの強みであるディマンドクリエーション力(新しくビジネスを創造する力)をPRするための活動から始めた。半導体ビジネスにおいては「顧客のニーズを的確に捉えた上で、それに対して最適な提案・サポートができる」という事が大きな付加価値となる。そのためには、自社で取扱う製品の事を熟知しているという事に留まらず、お客様との信頼関係を築き、「お客様を深く知っている」という事が重要だ。「『ビジネスを創造する』というのは我々の得意分野です。買収完了当初はA社へその強みを証明するためのプレゼンに必要な情報が不足していましたが、それでも全く焦りはありませんでした」と堀内は語る。マクニカは持ち前の幅広い顧客基盤を活かし、即座にA社に価値を訴求するために有用な情報の収集を開始。A社の製品が必要とされているマーケットやお客様に関する情報等、通常では考えられない量の重要情報を短期間で集約した。これらの情報を整理し、A社へプレゼンテーションを実施。A社はマクニカの営業力の高さ、それによる確かなディマンドクリエーション力を評価し、契約締結については継続検討となった。

Chapter3 圧倒的な技術力で、価値を証明する

マクニカのA社に対する価値の訴求はこれでは終わらなかった。当初、A社は一部の製品については大きなシェアを獲得していたものの、アナログ製品のシェアは小さく、この状況をなんとか改善しなければならないと考えていた。マクニカはここで圧倒的な技術力を証明すべく、A社が開発するアナログ製品を複数組み合わせたIoTセンサーボードを独自開発したのだ。このIoTセンサーボードを開発する際、A社との取引契約を締結していなかったことから、製品のデータシートは一切入手することができなかったため、乗り越えなければならない課題は山積していた。通常の開発者であればすぐにさじを投げてしまうような開発であったが、それをマクニカはたった2か月間で完成させ、A社に提供したのだ。「マクニカには仕入先メーカーにも劣らない技術力を有するエンジニアが多数在籍しています。これを証明するためには言葉だけでは不十分だと考え、実際にボードを開発しようとなりました」と堀内は話す。「とはいえ、私もさすがにこのときのマクニカのエンジニアの技術力には驚かされました。A社のエンジニアでさえ、このボード開発を2か月でやりきることは難しいと言っていましたから」。マクニカはこのボードの開発を通して、自分たちの技術力であれば全アナログ製品を一社で拡販・サポートできるとアピールした。A社も圧倒的なマクニカの技術力を高く評価し、最終的にはマクニカとA社との取引継続の契約だけでなく、国内代理店としては唯一のASIA及びASEANを包括したGlobal Distributerとしての契約締結に至る運びとなった。

Chapter4 ピンチの時こそ、真価が問われる

通信装置・産業機械・医療機器等、幅広いお客様に半導体製品を提供し、社会の発展に大きく貢献しているマクニカが、ビジネスを進めていくうえで、常に大切にしていることがある。それは、「ピンチをチャンスにする」ということ。M&Aだけでなく、半導体製品の需給ひっ迫による納期トラブルや価格の高騰など、めまぐるしく変化する半導体業界では、当たり前のようにピンチが多発する。マクニカはこのようなピンチを幾度となく乗り越え、その中で「次に繋げる」ということを繰り返してきた。その会社の真価はピンチのときにこそ発揮される。一般的には買収した仕入先メーカーとの契約がない商社が契約を継続することは困難であると考えられており、この度のM&Aも通常であればマクニカはA社製品の販売権を消失していただろう。それも販売網を再編する環境下ではなおさらである。それでも諦めず、契約の新規締結だけでなく、今まで以上のビジネス販路の獲得までを目指し、自分たちの価値の訴求に全力を尽くした。マクニカのメンバー一人ひとりに、「ピンチをチャンスにする」というマインドが根付いているからこそ、実現できた海外へのビジネス展開。今後マクニカは、日本に留まることなくグローバルにA社の製品を提供することとなる。強みである営業力と技術力を活かし、ソリューションとしてA社製品をお届けする事で、お客様と共に世界中の人々の生活を豊かにする事に貢献していく。マクニカが日本だけでなく、世界全体の生活に必要不可欠と言われる時代が来るのもそう遠くない未来かもしれない。

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