プロジェクトストーリー(半導体) イメージ画像

半導体

事業のタネは窮地を“チャンス”に変える
『デマンドクリエーション力』

OUTLINE

半導体業界の寡占化と、A社による約15年間のビジネスパートナーであるB社の買収という逆風により、マクニカは窮地に立たされた。

取引が揺れる局面で、ピンチをチャンスにするという強いマインドと、持ち前の幅広い顧客基盤を活かし、マクニカはデマンドクリエーション力を惜しみなく発揮。そして、お客様の課題をしっかりと見極め、高い営業力と技術力でマクニカの価値を訴求した。

結果として、マクニカは高く評価され、A社との取引継続に加え、アジア・ASEANを含むGlobal Distributor契約を獲得し、海外展開という事業拡大に繋がった。

PROJECT MEMBER

  • 宮本 隆気

    宮本 隆気

    中途入社

  • 堀内 隆真

    堀内 隆真

    新卒入社

  • 配島 陽介

    配島 陽介

    中途入社

  • 大日方 滋

    大日方 滋

    新卒入社

  • 佐藤 直生

    佐藤 直生

    中途入社

POINT

  • タネが生まれるまで

    • 約15年間のビジネスパートナーであるB社の買収
    • 半導体業界で急速に進む寡占化
  • タネを育てる

    • 幅広い顧客基盤を活かした情報の収集
    • デマンドクリエーション力でマクニカの価値を訴求
  • タネの芽吹き

    • マクニカの営業力・デマンドクリエーション力への評価
    • 海外事業への展開

プロジェクト発足のきっかけ

社内を震撼させた、衝撃のニュース

ある朝、サプライズニュースが社内を駆け巡った。老舗半導体メーカー(以下A社)が、マクニカと長年取引をしているアメリカシリコンバレーの半導体メーカー(以下B社)を買収するというのだ。

半導体業界は、昨今急速に寡占化が進み、半導体サプライヤーにおけるM&Aのニュースは決して珍しいものではなかった。しかし、約15年間にわたり当社とともにビジネスを創り上げてきたパートナーであるB社の買収は、彼らとのビジネスの主導権がA社に移るということを意味しており、今後のビジネスの方向性に大きな影響を及ぼす可能性が考えられるため、この買収発表は非常にインパクトのあるものだった。

更に、A社によるB社の買収が完了し、当社が新たな取引契約の締結に進もうとした矢先に「A社が国内販売網を再編する」という衝撃的なニュースが飛び込んできた。買収時に発生する販売網の再編は、買収された会社と取引をしていた商社が契約を打ち切られるケースがほとんどであり、マクニカは窮地に立たされた。

業務風景

プロジェクトの挑戦ポイント

クオリティーの高いデマンドクリエーションで
チャンスを掴み取る

A社が取引をする商社を絞り込むということは、選ばれた商社にビジネスが集約されていくということであり、これは今まで以上のビジネス基盤を構築するチャンスであると大日方をはじめとするチームメンバーは考えた。

また、A社の製品を取り扱うことができれば、更にグローバルにビジネスを拡大することができ、マクニカの価値をより世界中に届けることができる。A社による販売網の再編も、ビジネス拡大が目的である。マクニカとビジネスパートナーになるメリットを証明することができれば、取引契約にまで繋げることができる。

そのために、まずはマクニカの強みであるデマンドクリエーション力(新しくビジネスを創造する力)をPRするための活動から始めた。
半導体ビジネスにおいては顧客のニーズを的確に捉えた上で、それに対して最適な提案・サポートができるということが大きな付加価値となる。そのためには、自社で取扱う製品のことを熟知しているということに留まらず、お客様との信頼関係を築き、お客様を深く知っているということが重要だ。

「『ビジネスを創造する』というのは我々の得意分野です。買収完了当初はA社へ強みを証明するためのプレゼンテーションに必要な情報が不足していましたが、それでも全く焦りはありませんでした」と堀内は語る。
マクニカは持ち前の幅広い顧客基盤を活かし、即座にA社に価値を訴求するために有用な情報の収集を開始。A社の製品が必要とされているマーケットやお客様に関する情報など、通常では考えられない量の重要情報を短期間で集約した。
これらの情報を整理し、A社へプレゼンテーションを実施。A社はマクニカの営業力の高さ、それによる確かなデマンドクリエーション力を評価し、契約締結については継続検討となった。そして、マクニカのA社に対する価値の訴求はこれでは終わらなかった。

業務風景
インタビュー

プロジェクトの成果

圧倒的な技術力で、マクニカの価値を証明

当初、A社は一部の製品については大きなシェアを獲得していたものの、アナログ製品のシェアは小さく、この状況をなんとか改善しなければならないと考えていた。マクニカはここで圧倒的な技術力を証明すべく、A社が開発するアナログ製品を複数組み合わせたIoTセンサーボードを独自開発したのだ。
このIoTセンサーボードを開発する際、A社との取引契約を締結していなかったことから、製品のデータシートは一切入手することができなかったため、乗り越えなければならない課題は山積していた。通常の開発者であればすぐにさじを投げてしまうような開発であったが、それをたった2カ月間で完成させ、A社に提供したのだ。

「マクニカには仕入先メーカーにも劣らない技術力を有するエンジニアが多数在籍しています。これを証明するためには言葉だけでは不十分だと考え、実際にボードを開発しようとなりました。とはいえ、私もさすがにこの時のマクニカのエンジニアの技術力には驚かされました。A社のエンジニアでさえ、このボード開発を2カ月でやりきることは難しいと言っていましたから」と堀内は語る。

このボードの開発を通して、自分たちの技術力であれば全アナログ製品を一社で拡販・サポートできるとアピールした。A社も圧倒的なマクニカの技術力を高く評価し、最終的にはマクニカとA社との取引継続の契約だけでなく、国内代理店としては唯一のASIA及びASEANを包括したGlobal Distributorとしての契約締結に至る運びとなった。

業務風景
プロジェクトメンバー

プロジェクトの展望

ピンチの時こそ、
真価が問われる

通信装置・産業機械・医療機器など、幅広いお客様に半導体製品を提供し、社会の発展に大きく貢献しているマクニカが、ビジネスを進めていくうえで常に大切にしていることがある。それは、ピンチをチャンスにするということ。
M&Aだけでなく、半導体製品の需給ひっ迫による納期トラブルや価格の高騰など、めまぐるしく変化する半導体業界では、当たり前のようにピンチが多発する。マクニカはこのようなピンチを幾度となく乗り越え、その中で次に繋げるということを繰り返してきた。

会社の真価はピンチの時にこそ発揮される。一般的には買収した仕入先メーカーとの契約がない商社が契約を継続することは困難であると考えられており、この度のM&Aも通常であればA社製品の販売権を消失していただろう。それも販売網を再編する環境下ではなおさらである。
それでも諦めず、契約の新規締結だけでなく、今まで以上のビジネス販路の獲得までを目指し、自分たちの価値の訴求に全力を尽くした。マクニカのメンバー一人ひとりに、ピンチをチャンスにするというマインドが根付いているからこそ、実現できた海外へのビジネス展開である。

今後マクニカは、日本に留まることなくグローバルにA社の製品を提供することとなる。強みである営業力と技術力を活かし、ソリューションとしてA社製品をお届けすることで、お客様とともに世界中の人々の生活を豊かにすることに貢献していく。
マクニカが日本だけでなく、世界全体の生活に必要不可欠と言われる時代が来るのもそう遠くない未来かもしれない。