マクニカのパーパス《誕生秘話》 マクニカのパーパス《誕生秘話》

次の50年を見据えて、今こそパーパスを再定義

マクニカは1972年の創業から今年で創立50周年の節目を迎える。半導体専門商社として始まったマクニカの歴史は、技術商社への変貌をとげ、今なお成長・進化を続けている。ビジネスの領域は、半導体だけではなくネットワーク、サイバーセキュリティなどへ拡大してきた。そして今、AI、IoT、自動運転、ロボットなど先進的で新しい領域にも進出し、サービス・ソリューションプロバイダーへの事業変革にチャレンジしている。

「マクニカは何の会社で、何のために存在するのか?」

事業変革に挑戦する今だからこそ、原点に戻り、マクニカの存在意義、つまり「パーパス」を再定義する必要があると社長の原は考えた。

そして原は、「伊藤レポート」や数々のビジネス書の著者で知られる一橋大学の名誉教授 CFOセンター長である伊藤教授をアドバイザーとして招請し、快く承諾をいただいた。

パーパスと本気で向き合う、社員と一緒に創る

「世の中の人々は、自分は何のために働くのか、何を成したいのかを真剣に見つめなおしている。だからこそ、企業のパーパス(存在意義)と働く人の目的が一致していくことが重要になっている」

伊藤教授のコメントだ。

原は「マクニカのパーパスはトップダウンではなく、経営陣・幹部・社員が一体となって作りたい」と考えた。社員との共感を大事にするからこそ、時間をかけてでも、社員の考えや思いを受け止めたかった。そのため、取締役会、経営会議メンバーによるパーパスの討議にとどまらず、原は全ての部門でパーパスを熟考、討論してもらい、そこからでてきた“様々なマクニカ”にすべて目を通した。

また、パーパス制定にあたり、創業時からマクニカが行ってきた事業、今取り組んでいる事業、未来に向けて実現したい事業に一貫した”マクニカらしさ”は何かを探し求めた。過去の歴史を紐解き、未来の構想を語り、マクニカで働く”人”について語り、何度も行ったり来たりしながら、探し続けた。

マクニカでは共通言語になっている”目利き力”は、優れた製品コンセプトや最先端技術を見極める力のことだ。伊藤教授から「何故、マクニカは目利き力があるのか?」と聞かれた時には”はっ”とした。何故ならばそれは当たり前のようにマクニカに存在する強みとして認識しており、そこに疑問を投げかけられることがなかったからだ。「マクニカらしさ」を見つける過程において、伊藤教授のようなアドバイザーの存在が、よりマクニカの輪郭を浮き彫りにしてくれた。

“先”が3つ、譲れない思いを言葉にする

先進性、挑戦心、未来構想力、実装力など、マクニカが成長の過程で尖鋭化させた強みや、未来を切り開く原動力になるキーワードを特定した。原は今回、制定したパーパスにこれらの譲れないポイントをすべて盛り込むことができたと考えている。

お気づきだろうか?短いパーパスの文の中に”先“という漢字が3つも入っている。

短い文章の中に”先“という漢字が3つも入れることの是非は何度も何度も議論を重ねた。

議論の中で原は言った。「”先”という漢字をこの短い文章の中で3つも使っている。これこそがマクニカらしさを表しているのではないか」。その瞬間、その場にいたメンバーは満場一致で最先端ではなく「最先端のその先」にいく覚悟を決めた。

もう1つのこだわりについても、お伝えしたい。

“明日”を創るではなく、“今”を創るとしている点だ。

未来を構想することはできても、現場での実装を積み重ねていくことでしか描いた未来にたどり着けない。だからマクニカはきちんと実装することに、とことんこだわる。

未来を創るという意味では”明日を創る“と表現することが多いかも知れない。しかし、マクニカのこだわりである実装は”明日“ではなく、”今”、やるべきことなのだ。マクニカの仕事は未来の構想だけではなく、“今、きちんと実装”することなのだ。

3,000名を超える人が参加した、昨年11月に開催した先進テクノロジーを中心にしたオンラインイベント「Macnica Exponential Technology 2021」で伊藤教授がマクニカの印象についてこんなコメントをしてくれた。

「マクニカという会社はとても面白い会社だと感じました。シリコンバレーのベンチャー企業のもつアジャイルでクイックディシジョン・クイックアクションを実現する一方で、協調的な日本のいいところを持ったハイブリット企業だと感じています」(伊藤氏)

”最先端のその先にある技と知を探索”するためには、伊藤教授のおっしゃったベンチャースピリッツが必要だ。また、“今”を創るためにはしっかりとお客様に寄り添っていくことが必要で、協調的な姿勢が不可欠である。

全社員がこのパーパスと自分の人生の目的を重ねあわせ、自分が生まれてきた意味をそこに求め、そして――

変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き今を創る。 変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き今を創る。