関西エアポート株式会社、成田国際空港株式会社と共同講演!ロボデックスレポート

2020年2月12~14日の3日間、東京国際展示場で開催された第4回ロボデックス2020に今年も出展しました。サービス分野で活躍するロボット、産業用ロボットモーターやアクチュエーター、軸受といった駆動技術、制御や計測に活用するセンシング技術、AIやIoTといった第四次産業革命のキーテクノロジーまで、ロボット関連技術を取り扱うメーカーが出展し会場は大盛況でした。そして、今年も、特別講演の「空港・公共施設におけるロボット活用の現状と課題」というタイトルで関西エアポート株式会社と成田国際空港株式会社と講演させていただきました。

 

「ロボットは人の代わりになったのか」by関西エアポート(株)桐山様
成田空港のスマートエアポートの取り組みについて by成田国際空港(株) 阿部様

事例に学ぶ失敗しないサービスロボットの導入

今年は、特別講演として「事例に学ぶ失敗しないサービスロボットの導入」と題して、弊社サービスロボット推進事業部 金澤 友和が登壇させていただきました。サービスロボットを導入した企業の一部には、導入後に日々の運用でロボットの活用が進まず、期待した効果が得られない例も散見される中、マクニカが販売する清掃ロボットの国内導入事例から、サービスロボットを日々活用し、期待した導入効果を確実に得るために、導入検討時に抑えるべきポイントについてご紹介しました。

サービスロボットの失敗シナリオとは?

よくサービスロボットを導入したにもかかわらず、期待した効果が得られなかったという残念な声を耳にします。そのお客様に背景を聞くと、ロボットを導入することで、人による作業からの代替や作業効率の改善、雇用不安の解消といった課題の解決に向けて、上司から清掃の自動化、効率化をせよとの指示が出たので、とりあえず清掃ロボットを購入したが、思うようにロボットが動かすことができずに、そのまま放置してしまっているとの声が多数見られます。

ロボット導入の成功とは?

ロボット導入の成功とは、日々の作業の中で、ロボットが当たり前に使われている状態になること、ロボットがなくてはならない状態になっていることです。費用対効果をあげるためには、とにかくロボットの作業頻度を上げることです。人による作業の場合は、作業頻度に比例して、人件費が上昇します。対して、ロボットによる作業の場合、初期費用は大きくなるものの、作業頻度を上げても人件費の増加は抑えられるため、作業頻度を上げれば上げるほど、費用対効果が改善します。日々の作業の中で毎日当たり前のようにロボットが活用されていけば、費用対効果の観点でも導入の効果が得られます。

 

どう選定すればいいのか?

カタログ上の仕様だけでの検討では不十分で、導入を検討している現場でちゃんと使えるか検討することが重要です。安全性を1つ例にとってみても、空港では一般の旅行客が行きかう中で人とぶつからないことが求められます。一方で、ショッピングモールの夜間清掃では、一般の方は当然いない中での作業となるため、人ではなく通路に置かれた一時的な荷物や催事広告などを認識して、衝突を回避、迂回することが求められます。このように一言で安全性と言っても、各現場で求められるものが異なります。

 講演では、いくつかの事例をご紹介させて頂きました。その中でも、関西エアポート株式会社では市場にある数ある清掃ロボットの安全性、生産性、ユーザビリティなどを検証した結果、弊社清掃ロボットを導入していただきました。また、成田国際空港株式会社は、実際に使用する清掃会社の清掃員がプロの目でロボットが高い品質で清掃できているかチェックすることが本格導入前の確認としては重要なポイントとなりました。

オンサイトデモではなく実証実験

マクニカではオンサイトデモではなく現場での実証実験を行います。オンサイトデモにて、ロボットの得意な場所で得意な動きを見せることは意味を成しません。長期運用を見据えたうえでは、実際の現場にて、ロボットが期待通りに動くかどうかを見ていただくことが重要だと考えております。そのため、実証実験では、実際の現場でロボットは何ができて何ができないかを見極め、どんなことで不具合が発生するのかその条件を把握いたします。また、私たちがテストするのではなく実際の清掃員、ロボット使用者が実証実験をすることが重要と考えます。実証実験の段階で、実際の清掃員の方にロボットの操作に慣れていただき、実際の現場での課題や問題点を明確化し共有していくことが、本格運用への準備だと考えます。

試験運用から本格運用までのステップ – 長期運用を見据えたロボット選定

長期運用において重要となるのはマップ修正能力です。主に、ロボットの清掃範囲を覚えさせるにはティーチング(※1)とマッピング(※2)の2パターンあります。

 

実際の清掃環境は変更は必ず発生しますが、環境の変更時に必要なロボットの設定変更は最小限であることが求められます。広い施設になればなるほどマッピング/ティーチング作業が大変ですが、現場作業者の技術に依存することなく誰がやっても簡単に作業ができることが重要です。また簡単なだけでは無く、汚れがひどいところを2回洗浄させたり、接触リスクを回避するために一部のみ入らないように修正したり、使用環境に応じて理想的な清掃プランに作り上げていく事が出来ることも最大のポイントとなるでしょう。上記ポイントを踏まえまして、初期の試験導入から本格的導入は一般的に1年くらいは必要とされます。

まずは実証実験にて、ロボットの必須機能要件の動作確認が必要です。そのあとの試験導入では、実際の運用現場での作業方法の再構築や、その現場でのロボット活用のノウハウを蓄積し、その後は同施設内での拡張運用や他施設での運用の検討にはいります。そのフェーズが終了したら多数施設での本格運用を始めることができます。ロボットがいざ必要になった時に、いきなり現場で運用をしようと思っても、ノウハウが十分でなく、思うような効果をあげるのは困難です。将来的に現場においてロボットが必要になることを見据えて、今から試験導入を行い、ノウハウを蓄積することが重要です。

※1ティーチングとは?普段の清掃パターンとおなじことができるが、作業精度は作業者依存になる

※2マッピングとは?ロボットが学習する。最適ルートを計算し、レイアウト変更があってもすぐに対応可能

マクニカでは今までの経験を生かし伴走型のサポートで、お客様のサービスロボットの導入前の検討から本格導入までサポートしてまいります。

 

1972年の創業以来、半導体商社、技術商社として活動してきたマクニカですが、取り扱う半導体の多くはIoTのなかで利用されるセンサーデバイスやネットワークデバイスとして利用されています。さらに、IoTデバイスとAIを組みわせることで、今ではビジネスの現場を強くしていく活動を幅広く展開しています。この分野で培ったナレッジとロボット技術を組み合わせていくことで、将来のロボットの活用に役立てていきたいです。人々がサービスロボットを活用することで、より快適で楽しく仕事ができる。マクニカは、そんな世の中に貢献したいと思っております。