はじめに
金融業界における商品開発では、一般的な課題として、以下のようなものが挙げられます。
①新サービスや新商品を考える際に、ターゲット像別の反応や論点を広く集めにくい。企画アイデアの“壁打ち相手”が足りない。
②投資初心者・子育て世代・リタイア前など、リスク許容度や関心が違うのに、説明が一律で響かない。「説明の出し分け」が難しい。
③本番アンケートやユーザー調査の前に、仮説検証が回せない。回せてもサイクルが遅く・重く、施策の意思決定が遅れてしまう。
今回は長期稼働する専門的なエージェント型AIシステム向けに構築された「NVIDIA Nemotron™」を活用し、これらの課題を解決できるデモを作成しましたのでご紹介いたします。
デモの紹介
デモの概要
NVIDIAのNemotron-Personas-Japanを活用し、「AI資産運用アドバイザリーへの金融機関顧客の反応」に関するテストマーケティングを実施いたしました。"Nemotron-Personas-Japan"はNVIDIAが公開した、日本の仮想人間データを大量に集めたAI用のオープンなデータセットであり、人口動態や地理的分布、多様な職業や属性を反映しています。性別/年齢/地域/職業/人数 などのペルソナを定め、調査する内容を設定すると、調査が実行され、ペルソナに対する評価やスコアリングを出力できます。別途、ペルソナ(若手会社員投資初心者/リタイア直前の個人投資家 等)を抽出し、「それぞれに合ったNISA・投資信託」の説明をさせることも可能です。オープンデータを活用しているため、「日本の多様な顧客像に合わせてテキストを出し分けられる」点がポイントとなっております。
デモの流れ
本デモは、金融商品・サービスへの反応を、ペルソナを用いて調査・可視化するデモです。下記5ステップで進めていきます。
Step 1:ペルソナを絞り込む
年齢、職業など、属性条件から調査対象を作成します。
性別・年齢・地域・都道府県・職業・学歴で調査母集団を調整できます。
ペルソナデータをベースに金融プロファイルも自動生成されます。
ターゲット層の業種や商品案に合わせて、対象者を切り替える。顧客像の変更が結果にどう効くかが見せやすいです。
Step 2:調査テーマを入力
金融商品・サービス案を、関心度・導入障壁のほか、複数の設問に展開します。
調査テーマを指定し、質問生成ボタンを押すと 「この商品案なら何を聞くべきか」を関心度、導入障壁、重視点などで短時間で揃えられます。
設問生成や調査回答はモデル呼び出しとして分離されていて、利用するLLMモデルを自由に変更できます。
思考モードを使うと、より精度の高い回答が得られます。
Step 3:回答をライブで見る
ペルソナごとの回答が、順番にストリーミング表示されます。
ペルソナ単位、設問単位で結果を観察し、途中経過も体験として見せられます。
全体的な調査進度、設問ごとのスコアやペルソナごとの平均スコアが確認できます。
待ち時間を、観察する時間に変えます。
Step 4:レポートで傾向を読む
関心度・導入障壁の分布マトリクスやキーワードピックアップ、回答をまとめて、調査結果として確認します。
回答結果を集約し、サマリー、極性、障壁、フォローアップ対象に整理します。
注目ペルソナを選び、次の商談や追加ヒアリングの論点に変換できます。資料化しやすい1枚としていて、JSONエクスポートもできます。
結果は左の調査履歴に残り、後続対話へつなげられます。全部ローカル保存のため外漏れの心配はありません。
Step 5:個別に聞き返す
レポートで気になったペルソナに、追加質問を続けます。
ご自身で気になるポイントを聞くほか、回答履歴ベースに質問を自動生成できます。
ペルソナに沿った個人の経験や好みに基づいた詳細な回答が聞けます。
質問回答履歴も全部ローカルに保存されます。
デモの構成
使用したHWなど
・UI:ウェブブラウザーでデモ画面を開く
・GPUサーバー:NVIDIA H100 GPUx1 もしくは NVIDIA DGX Spark™
・推論エンジン:vLLM
・使用モデル:NVIDIA-Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese
・ペルソナデータ:Nemotron Personas Japan
・履歴保存:SQLite
仕組み
「調査アプリ+ペルソナデータ+日本語LLM」の組み合わせです。
ユーザーが画面で調査テーマを入力すると、アプリが複数のペルソナに同じ質問を投げます。
AIは、それぞれのペルソナになりきって回答します。
回答は順番に画面へ表示され、最後に全体傾向をレポートとしてまとめます。
さらに、気になったペルソナを選んで追加質問できます。
人がアンケート対象者を選び、AIがその人たちの反応をシミュレーションし、結果をレポートにまとめる仕組みです。単発のチャットではなく、調査の流れ全体をできる金融向けデモになります。
まとめ
今回は、Nemotron-Personas-Japanを用いた金融商品のデモを紹介しました。NVIDIA製品やオープンデータを活用することで、このようなAI活用が実現することが可能です。社内で開発を完結させることが難しい場合でも、当社より伴走支援の形でノウハウを提供させていただきます。ご興味のある方がいらっしゃいましたら、以下までお気軽にお問い合わせください。
参考資料
nvidia/Nemotron-Personas-Japan · Datasets at Hugging Face
nvidia/NVIDIA-Nemotron-Nano-9B-v2-Japanese · Hugging Face