消費行動や価値観を大きく変化させた新型コロナウイルス感染拡大により、Eコマースやネットスーパーの需要も拡大し、小売業界にとってさらに競争環境が激化しました。
小売業では、更なる売上利益の拡大戦略として、AIやIoTなどの最新テクノロジーの活用が広がっており、店舗業務の効率化・省人化や商品在庫の適正化、顧客のパーソナライゼーション、レコメンデーションを実現する企業が増えてきました。
本記事では映像AI解析技術を活用したソリューションについてご紹介します。ご検討の一助になればと思い、ユースケースや導入に至るまでの流れについても記載しています。ぜひご覧ください。
映像AIで実現できること
来店顧客に最適化した広告掲示
店舗/施設毎の来店者数カウントや、顧客の性別・年齢等の属性を推定、さらにデジタルサイネージなどで掲示する広告コンテンツの視聴時間を計測します。これによりどの広告がどれだけ見られたか(視認性の計測)や、どの顧客がどの広告に興味を示したか(属性毎の効果)など、広告効果の可視化を可能にします。これらの情報を基にターゲット顧客層毎に最適化した広告を実現できます。
また、サイネージでは顧客属性(年齢/性別)に応じたコンテンツの切り替えやターゲット層からの広告視認率の見える化によるインプレッション課金にも活用が可能です。
ターゲット顧客層に最適化したレイアウト
店舗/施設内の人数カウントや滞在時間の計測、来店客の属性を推定します。これにより入店からどの経路で進むか(導線のトラッキング)や、属性毎にどの場所に多くの人が集まるか(人流分析)の計測を可能にします。これらの情報を基にターゲット顧客の購買行動に合わせたレイアウトの最適化を実現できます。
実施内容
インフラ整備
カメラを各所に配置し、現場の情報を取得できる環境を整えます。さらに、カメラからの映像をより高精度にAI解析させるためにエッジAIデバイスを設置し、現場に近い場所で解析を実行します。
エッジ側の映像解析は精度の向上だけでなく、データ通信料などのコスト削減や個人情報などのセキュリティ対策にもなります。
データ分析と打ち手の検討
店舗/施設で取得した人数/属性などの情報と、POSデータ等の基幹システムで蓄積されている顧客・販売情報を連携させます。取得したデータに基づいた分析をおこない打ち手の検討をおこないます。
打ち手の実施と改善
分析結果に基づいたターゲットの再設定や広告掲示・店舗レイアウトの改善などを実施し、都度効果測定を繰り返しながら継続的に改善をします。
準備物
カメラ
既存で設置されている監視カメラでも活用は可能です。取得するデータや導入するAIソフトウェアに合わせて、設置場所や台数・画角が決まります。
映像解析ソフトウェア・ハードウェア
実現したいこと(目的や精度)に合致するAIソフトウェアはゼロから自社で開発をすることなく、製品化された学習済みのものが数多くあります。これらを動作させるために、エッジAIデバイスと呼ばれるAI解析用のエッジコンピュータが必要となります。映像解析に特化したGPUが内蔵されているものであることが好ましいです。
システム導入までの流れ
適切なツールの選定
AIソフトウェアとエッジAIデバイスは用途に応じて選択できるほど、数多くのメーカーやラインナップが存在します。海外や国内で導入実績のある製品や、目的や精度に合致する製品を選んでいきます。重要なのは、まずは実現したいことの要件を定義し、候補のツールを挙げて実現性を検討します。
PoC(実証実験)と課題の洗い出し
システムの使用方法を現場スタッフの方々が理解をした上で試運転を開始します。運用している中で気づいた課題をもとに調整をかけます。
実運用
運用後のソフトウェアバージョンアップや機器の保守体制まで整備した状態で、本番システムを実店舗にて運用を開始します。映像AIで取得した情報をもとに、サービス向上へとつなげていただけます。
ご興味があればぜひお問い合わせください。
いかがでしたでしょうか。弊社マクニカでは小売業向け映像AIソリューションのご提案をしております。ご不明点があればお気軽のご相談ください。