MOSFETにおけるゲートの役割と特徴
MOSFETにはゲートとドレインとソースという3つの端子があります。ゲート電圧とは、ゲートとソースの間に印加される電圧のことで、データシートではVgsと表されます。
MOSFETのゲートーソース間へ電圧を印加することで、ドレインとソース間が導通の状態になります。しかしゲートは容量成分をもっており、ゲート電圧はその容量を充電しながら上がっていきます。そのためゲートを駆動する回路には、その容量へ電荷を供給または引き抜くことができる能力が必要になります。
*ここではNチャネル、ノーマリーオフのMOSFETを想定しています。
SiC MOSFETがSi MOSFETと違う点
SiCのMOSFETの場合、Siとは特性に違う点があります。
例えば1200V耐圧のMOSFETどうしでSiとSiCデータシートを並べてみた場合、Vgsというゲートーソース間電圧の最大定格が違うのが目につきます。
マイクロチップ社のSiのMOSFET APT12057LLGの場合、Vgsの最大定格は+/-30Vですが、同SiC-MOSFETのMSC025SMA120Bでは最大定格が+23V/-10Vになっています。実際の使用においてゲートにかかる電圧は、サージ等も含めこの範囲を超えてはなりません。
SiCではSiに比べマイナス側の定格が少ないことにお気づきになったかと思いますが、これはSiCデバイス自体の特徴で、馴染んでいっていただけるとありがたいです。
マイクロチップ(Microchip) のSiCの場合はどうなるか。
SiC-MOSFETであるMSC025SMA120BのVgs定格は「+23V/-10V」です。データシートをめくっていきますと、各特性値の横にTest Conditionsという欄があり、いくつか数値など記載されています。例えばオン抵抗欄の場合、「Vgs=+20V, ID=40A」と記載があります。これは記載のオン抵抗が、Vgs=+20VでID=40Aのときの値であることを示しています。実際にこのオン抵抗付近で使いたいとしたら+20VのVgsが必要になります。
Microchip社のアプリケーションノートには、「20Vを推奨, 18V以下ではオン抵抗が増加する」との記載がありますのでご参考にされてください。
Micronote 1826: Microsemi SiC MOSFETs Design Recommendations
なお、SiC-MOSFETのゲート駆動では、シリコンのMOSFETとやや違いはあるものの、MOSゲートを駆動するという点で基本の考え方は変わりません。
Microchip社のSiCデバイス製品は、700V, 1200V, 1700Vの展開で、ディスクリートのSiC MOSFET、Schottky Diodeに加え、特にSiCパワーモジュールに数多くの製品をラインアップしており、モジュール用のゲートドライバーボードもご用意しています。
SiCパワーモジュール製品についても今後ご紹介したいと思います。
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