はじめに
これまでマクニカでは、半導体ひずみセンサーSTREALの評価キット向けに計測・評価用のひずみ可視化ツールを提供してきました。従来版は評価に必要な機能を備えている一方で、ユーザーのみなさまからは次のような課題も寄せられていました。
- 操作フローがわかりづらい
- アイコンなどが小さく、視認性が悪い
- ログ取得はできるものの、アプリケーションで解析ができない
こうした課題を踏まえ、本ツールでは「操作フローの整理」「視認性の向上」「計測と同時に解析できる直感的なUX」を重視し、従来版で培った機能や知見を活かしながら、モニタリングユニット「NEシリーズ」向けに新たなひずみ可視化ツールを開発しました。
本記事では、評価用途に加え、現場でのモニタリングや検証作業にも活用できるよう機能・UXの両面で進化した本ツールについて、その特長とUXの改善ポイントをご紹介します。
ツール概要
ツールイメージ
本ツールは、半導体ひずみセンサーSTREAL向けモニタリングユニット「NEシリーズ」と接続し、ひずみ・温度データの計測、可視化、解析を行うための評価・モニタリング用アプリです。
主に、
① 開発・評価フェーズでの計測・解析
② 現場における状態モニタリング・検証
の両用途を想定して設計されています。
従来版で提供してきた基本的な計測・評価機能を踏襲しつつ、操作性の向上と視認性の改善を重視したUI/UX設計とすることで、はじめて利用される方でも直感的に操作できる構成としています。
従来からの変更点
従来版からの変更点をわかりやすく整理するため、UI/UXおよび機能面における主な進化ポイントを Before / After 形式で下記にまとめました。ツールがどのように改善されたかを、主なポイントとして把握できます。
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項目 |
Before(従来版) |
After(新ツール) |
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操作フロー/UI |
ボタンが小さく、操作の流れが把握しづらい |
操作フローを整理、フローをもとにUIを刷新し、視認性を向上 |
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リアルタイム波形表示 モニタリング |
波形の横軸がサンプル数表示 |
横軸を時刻表示に変更し、時系列でデータ追跡が可能 |
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解析(フィルタリング) |
ログ取得後に、手動で解析 |
移動平均・FFT・標準偏差を搭載 |
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センサー波形設定 |
1chずつ画面を切り替えて設定 |
一画面でまとめて設定可能 |
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ログ保存 |
計測データのみ保存 |
計測データ、画面キャプチャー、解析データの保存が可能。さらにログからデータ復元も可能 |
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開発・評価支援 |
設定、確認に手間がかかる |
データシートをツール上で参照可能。設定しやすいUIに改善 |
以下では、これらのAfterで示した改善点について、 機能ごとに具体的な画面例とともにご紹介します。
主な特長
リアルタイム波形表示によるモニタリング
計測画面では、センサーから取得したひずみ・温度データをリアルタイムで波形表示します。
オートレンジや拡大・縮小操作に対応しており、計測中の微小な変化から長時間のトレンドまで、用途に応じた確認が可能です。
また、各センサーの現在値、初期値、差分、ステータス情報を一覧で確認できるため、数値と波形の両面から状態を把握できます。
フィルタリング機能
従来は記録後の解析が中心でしたが、本ツールでは、計測と同時に解析結果をその場で判断できる直感的なUXを実現しています。
取得したデータに対して、移動平均、FFT解析、標準偏差といった解析機能を搭載しています。用途に応じてリアルタイム解析と記録データ解析を使い分けることで、評価や検証を効率的に行うことが可能です。
計測画面
移動平均
移動平均機能では、計測中のひずみデータに対してリアルタイムで解析を適用できます。
ノイズの影響を抑えながら波形の傾向を確認できるため、長時間計測時のトレンド把握や微小変化の観察に有効です。
ツール内移動平均イメージ
FFT解析
FFT解析機能では、計測中のデータに対してリアルタイムで周波数解析が可能です。
解像度や窓関数の設定にも対応しており、振動成分や周期特性の確認など、より詳細な評価に活用できます。
ツール内FFT解析イメージ
標準偏差
標準偏差機能は、記録したCSVデータに対して解析を行う機能です。
計測結果のばらつきや安定性を定量的に評価でき、試験結果の比較や事後解析に役立ちます。
ツール内標準偏差イメージ
センサー波形設定機能
センサー波形設定機能では、センサーごとに波形の表示方法を柔軟に設定できます。
ひずみ・温度それぞれの波形色、線の太さ、表示オフセットを個別に調整できるため、複数センサーを同時に計測する場合でも、高い視認性を確保できます。評価内容や測定条件に応じた、最適な波形表示環境を構築可能です。
センサー波形設定機能
ログ保存
計測データはログとして保存でき、自動保存や保存先指定にも対応しています。保存したログファイルは後から読み込み、波形として再表示することが可能です。
左:実際の取得ログ 右:ログから復元した波形データ
開発・評価支援
従来版で評価されたレジスタ設定機能を踏襲し、さらに本ツールではユーザーがより使いやすいようスライダーやスピンボックスによる数値入力を可能にしました。これらの機能により、STREALの各種レジスタをGUI上から設定・読み出しできます。
データシートへのリンクも備えており、評価やチューニング作業を効率的に行えます。
また、表示言語は日本語/英語の切り替えに対応しており、開発・評価環境に応じた利用が可能です。
ツール内レジスタ設定画面
まとめ
NEシリーズ向けに新たに開発した本ツールは、 従来版で評価されてきた計測・解析機能を活かしながら、 「何をすればよいか」「次に何を確認すべきか」を迷わせないUXを重視して再設計しました。
その結果、評価用途はもちろん、モニタリングや検証の現場においても、 計測・確認・解析を一連の流れで直感的に行えるツールとなっています。
今後も、ユーザーのみなさまのお声を反映しながら、機能拡張や改善を進めていく予定です。