車の電動化

電気自動車(EV)の出荷は急速に伸びており、2020年代には大幅な加速が予想されています。主要な自動車メーカーはすべて、EVモデルを導入または計画しています。電力範囲を最大化してコストを最小化するためにパートナーと共に積極的な研究がなされています。SiCデバイスの主要なアプリケーションを図1に示します。

 

予測では、2030年までにSiCの出荷が100億ドル(約1兆円)市場に成長するという見込みが出ています。アプリケーションの中で、最も高い電力を必要とするのは、EVトラクションインバーターです。またその他のコンバーターは、車載充電器とDC-DCコンバーターです。双方向の電力のやりとりがますます必要とされ、優れたボディーダイオード特性を備えた高速スイッチが大きく貢献します。

 

これらのニーズを満たすために、AEC-Q101認定を受けたUnitedSiCのSiC FET製品が市場に投入されました。主なトポロジーについて説明し、特に高電圧バッテリ電圧システム(500〜800V)でSiCデバイスを使用する利点を記述します。

UnitedSiCの利点
図1:UnitedSiCの利点

車載充電器トポロジー

車載充電器(OBC)は車内にあるため、電力密度と効率の両方を最大化するコンバータートポロジーを使用して、体積と重量を節約する必要があります。トポロジーの選択は、電力範囲に依存する可能性があり、乗用EVでは6.6KW、11KW、さらには22KWのものまであります。場合によっては、OBCが双方向である可能性があります。

 

これは、回路が電力網からバッテリーを充電できるようにするだけでなく、EVがエネルギーを電力網にフィードバックする分散型エネルギー源として機能できることを意味します。このモードでは、電力の流れは逆になりますが、動作電力のピークは、バッテリーの充電電力よりも低い(半分)場合があります。

 

図2は、単方向電力フロー用に設計された車載充電器に見られる2つの構成を示しています。この回路には、フロントエンドに整流器段とDC-DCコンバーター段の2つの主要セクションがあります。整流器段は、AC電源電圧を整流して、力率が1のDC電圧を提供します。 位相シフトフルブリッジDCDC段は、正確に制御された出力を供給して、バッテリーパックを充電します。リチウムイオンバッテリーの充電中、回路はまず電流制御モードで動作し、次に急速充電用の定電力モードで動作し、最後にバッテリーが充電されるまで定電圧モードで動作します。

 

単方向電力フロー用に設計されたオンボード充電器にある2つの構成
図2:単方向電力フロー用に設計されたオンボード充電器にある2つの構成

整流器段で効率を最大化するために、ブリッジレストポロジーがますます一般的になっています。これはダイオード整流器ブリッジの伝導損失が回避できるためです。図2は、低電力レベルに使用できるトーテムポールPFC(TPPFC)回路を示しています。この回路には、高速スイッチング位相レッグが含まれ、他のライン周波数でスイッチングします。

 

高速スイッチングレッグは、連続導通モード(CCM)または臨界導通モード(CRM)で動作できます。 CCMモードでは、スイッチのターンオンは難しく、最良のオプションは、優れた低QRRボディーダイオードを備えたワイドバンドギャップスイッチを使用することです。

 

表1は、最新のスーパージャンクションデバイスと比較したUnitedSiCFETのQRRを含むデバイスパラメーターの比較を示しています。 20kHzを超えるスイッチング周波数の場合、ワイドバンドギャップスイッチを使用する必要があります。UnitedSiC FETが標準的なゲートドライブ回路で動作しますので、スーパージャンクションデバイスからUnitedSiC FETへのドロップインおよびアップグレードが簡単に行えます。

パラメーター

単位

UJ3C065040K4S

スーパージャンクションデバイス

Vds

V

650

650

Id 100C

A

40

29

RTHUC

C/W

0.46

0.55

Rds

mohm

42

40

Rds 125

mohm

59

80

Rds 175

mohm

68

 

RG

ohm

4.5

0/85

Ciss 400V

pF

1500

4340

Coss 400V

pF

100

70

Coss (er)

pF

146

146

Coss (tr)

pF

325

1630

Eoss (400V)

uJ

12

13.2

Qg (10V)

nC

32

93

Vsd

V

1.4

0.9

Qrr

nC

137

13000

表1:最先端のスーパージャンクションデバイスと比較したUnitedSiC FETのQRRを含むデバイスパラメーターの比較

CRMモードを使用すると、ピーク電流が高くなり、インダクターにさらに多くの制約が課せられるため、オン抵抗の低いスイッチが必要になります。ハードターンオンがないため、少なくともバス電圧が低い場合には、シリコンスーパージャンクションFETを使用できますが、このような場合でもSiC FETを使うことは理にかなっています。

 

まず、SIC FETのオン抵抗の値は、非常に低くなっています。次に、シリコンスーパージャンクションFETと同じ程度のオン抵抗をもつSiC FETの価格は同程度になってきています。最後に、現在のトポロジーを1200V SiC FETを使ったより高いDCレールに拡張して、最小のスイッチカウントで電力出力を増加することができます。

 

3フェーズアクティブフロントエンド整流器は、11〜22KWの高電力レベルに最適な選択肢です。バス電圧は通常600〜800Vで、1200Vのデバイスを使用する必要があります。この場合も、図2の2レベルの3相回路には、スイッチング損失が低く、QRRが低いスイッチが必要です。これの事は選択肢がIGBTではなくSiC FETになります。

 

図3は、35mohm、1200V、TO247-4L(UF3C120040K4S)UnitedSiC FAST FETのターンオンおよびターンオフ特性を示しています。これらのデバイスは、非常に低いターンオンおよびターンオフ損失を考慮して、高効率のアクティブフロントエンド整流器を実装するために並列にして使用されます。 4リードのケルビンパッケージを使用することで、ユーザーはより低い損失とよりきれいななゲート波形でより高速にスイッチすることができます。

35mohm、1200V、TO247-4L(UF3C120040K4S)UnitedSiC FAST FETのターンオンおよびターンオフ特性
図3:35mohm、1200V、TO247-4L(UF3C120040K4S)UnitedSiC FAST FETのターンオンおよびターンオフ特性

フロントエンド整流器に対する別のアプローチは、図4に示すウィーン整流器です。これにより、650VシリコンスーパージャンクションデバイスをSiCショットキーダイオードと共に使用して、コストを削減できます。この回路では、スイッチはハードスイッチングされません。必要な半導体の数は多く、ダイオードの電圧降下により達成可能な最高の効率が制限されます。

ウィーン整流器。これにより、650VシリコンスーパージャンクションデバイスをSiCショットキーダイオードと共に使用してコストを削減できます。
図4:ウィーン整流器。これにより、650VシリコンスーパージャンクションデバイスをSiCショットキーダイオードと共に使用してコストを削減できます。

DC-DCコンバーター

図2に示すように、バッテリーの充電と12V / 24V電源の供給の両方に役立つ主力のDC-DCコンバーターは、位相シフトフルブリッジ型です。最大負荷において、この回路はFETのゼロ電圧スイッチ(ZVS)ターンオンで動作し、ターンオフ損失はデバイスに付けられたスナバコンデンサーによって最小限に抑えられます。回路は高周波数(100-300kHz)で効率よく動作できます。

 

SiC FETは導通損失とターンオフ損失が低いため、理想的です。特にゲート駆動要件もシンプルです。これは、UnitedSiC FETの場合、0〜12Vで、または-12 / 0 / 12Vを出力する単純なパルストランスから駆動できるからです。軽負荷状態では、ハードスイッチングが発生する可能性があり、スーパージャンクションFETでは問題が生じ、ダイオードの回復によって引き起こされる故障が発生しやすくなり、IGBT回路は損失が高くなる傾向があります。

 

図5に示すLLCトポロジーは、特に出力電圧が固定されている場合に最適です。このトポロジーは、固定出力DC-DCコンバーターステージで最も頻繁に見られますが、位相シフトフルブリッジは、可変出力電圧の処理により適していると考えられています。低バス電圧では、高速ダイオードを備えたスーパージャンクションFETがLLC回路で使用されます。より高い電圧では、IGBTの損失が過剰になり、選択肢がSiC FETに移行します。

低バス電圧でも、UnitedSiC 650V SiC FETは、非常に低いゲート電荷、出力容量を充電するための短い時間、および低いボディーダイオード導通損失を提供し、100kHz〜500kHzのLLC動作周波数を駆動するのに適しています。7mohm 650Vの低オン抵抗のデバイスがTO247-4Lパッケージで利用可能になりました。

 

薄型のスペースに制約のあるアプリケーションでは、27mohm、650Vのデバイスが業界標準のDFN8x8で利用可能です。 双方向DC-DC変換の場合、図6に、出力側にアクティブスイッチがあるデュアルアクティブブリッジ(DAB)とCLLC回路を示してあります。バッテリー充電では、出力電圧が大きく変動するため、ゲートPWM波形を変動させることにより、固定DCバスからDABを制御できます。 CLLCトポロジーが適用されている場合、DC-DCステージの共振に近い動作を維持するには、アクティブ整流器ステージ(トーテムポールPFCまたは3フェーズアクティブフロントエンド)の制御方式を変更してバス電圧を変更する必要があります。

 

どちらの場合も、反転モードで効率的にハードスイッチを行うには、2次側でSiC FETを使用する必要があります。これらは、EVバッテリー充電用の650V〜1200V FET、または12V / 24V出力用の100〜150Vクラスの低電圧シリコンFETです。

出力側にアクティブスイッチがあるデュアルアクティブブリッジ(DAB)およびCLLC回路
図7:出力側にアクティブスイッチがあるデュアルアクティブブリッジ(DAB)およびCLLC回路

SiからSiCへの移行を容易にする

ワイドバンドギャップSiC FETは、トポロジーの改善と高周波の使用を可能にし、高電力密度と高い効率を実現します。スイッチのコストの上昇は、EVスペースのシステムレベルのコストの減少によって簡単に相殺されます。UnitedSiC FETは、すべてのタイプのゲート駆動電圧と互換性があるという利点を有しているため、SiC MOSFET設計だけでなく、シリコンベースの設計にも組み込むことができます。これにより、世界中の設計者がSiCを導入する際の移行が容易になり、既存のシリコンベースの設計をアップグレードするだけの場合もあります。

この先にあるもの

次のステージにおいては、35mohm、1200Vスタックカスコードスイッチを使用した、図7に示すドライバー付きのSIPハーフブリッジなど、ドライバーとFETが集積さる方向に進んでゆきます。スイッチング波形は、非常に高速でクリーンなスイッチングを示しています。この記事で記述しているすべての回路オプションはビルディング・ブロックとして使え、各デバイスがそのような性能を可能にしています。

35ミリオーム、1200 Vスタックカスコードスイッチを使用した、ドライバーが表示されたSIPハーフブリッジなどのドライバーとFETの統合ステージ
図8:35ミリオーム、1200 Vスタックカスコードスイッチを使用した、ドライバーが表示されたSIPハーフブリッジなどのドライバーとFETの統合ステージ

SiC FETテクノロジーは急速に改善され、2020リリースで開発中のスイッチングメリットの数値が2倍に向上しています。ディスクリートパッケージの改善およびSiCベースのインテリジェントパワーモジュールの導入と相まって、これらの進歩は、EVの展開が急速に進むにつれて、電力密度をさらに押し上げるのに役立ちます。

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