SMDアンテナのメリットと使用上のポイント

本記事についてはTaoglasのSMDアンテナのアプリケーションノート:APN-13-005.Cの内容からSMDアンテナのメリットと使用上のポイントを説明します。詳細については下記URLのアプリケーションノートを参照ください。

https://www.taoglas.com/wp-content/uploads/pdf/PA.710.A-Application-NoteAPN-13-8-005.C.pdf

SMDアンテナのメリットと使用上のポイント

製品基本情報

TaoglasのMonopole-PIFA SMDアンテナ「PA.710.A」について説明します。アンテナの知識とデザインを知ることはRF装置を最適化するにあたって重要になります。

 

PA.710.Aは逆Fアンテナとなっており、アンテナの下にGNDを有していません。また、短絡機構板と合わせて長方形のセラミック基板で構築されております。この製品は表面実装タイプでテープとリールで供給され、現在の市場に対して大きなメリットがあります。

 

PA.710.AはGNDに接続することで高い放射性能を実現できます。GNDサイズについてはアンテナにとって重要な役割を持っており、効率と波長に関係しており低い周波数ではより顕著です。評価ボードでの最適なGNDサイズは107mm×45mmです。

 

ただし、このアンテナは他の既存アンテナ技術と比較してGND面積が小さくても非常に高い受信感度を実現できます。このアプリケーションノートはアンテナ性能に影響を与える要因を理解するためのものです。
Taoglasは設計者がこのアプリケーションノートに沿って厳密に設計することを推奨します。

最適なアプリケーション

PA.710.AはLTEをカバーするために700MHzで動作するPA.25Aの拡張バージョンです。CDMA、WCDMA、UMTS、HSPA、LTE、GSM、AMPS、GPRSなどのすべてのセルラーアプリケーションに適しています。このアンテナはSMDタイプのため、放射するには周囲に金属がないことが必要になります。

インピーダンス

RFモジュールから伝送ライン、アンテナを50Ωで設計する必要があります。実際には送信側と受信側ではインピーダンスは完全な50Ωにはなりません。そのため、アンテナのインピーダンスを50Ωに調整することが大切になります。

帯域幅

PA.710.AのリターンロスはGNDプレーンとアンテナ周りのクリアランスで決まります。またLTEの帯域要件を満たすために107mmのGNDプレーンと13mmのクリアランスを確保しています。(項目14参照)


PA.710.Aを効率よく動作させるには70mm以上のGNDプレーンと20mmのクリアランスが必要です。そのため、アンテナ周辺のクリアランスが20mmない場合は性能が低下する可能性があります。

利得

理想的なセルラー帯域のアンテナについては無指向性放射特性として0dBiのピークゲインを実現することです。セラミック材料を使用することにより小型で高い効率を実現できます。

偏波

Taoglasの全てのセルラーアンテナとブロードバンドアンテナはセルラー基地局に搭載された直線偏波アンテナからの放送信号を非常に効率的に合わせることができます。

 

アンテナの設置によって水平偏波か垂直偏波かは変わります。実際、内部アンテナの放射および受信は、環境からの反射と大気中の散乱により交差偏波になります。

 

効率

アンテナ効率はアンテナに給電される総電力とアンテナが放射する電力の比率になります。モバイル機器やポータブル機器は理想的にはゲイン"0"の等方性放射電力が必要となるため、効率はアンテナの放射特性の良い指標になります。

 

一般的に20%の効率があればモバイル機器には十分に使用可能です。しかし、海外での使用を考えると40%以上の効率を推奨します。その場合は70mm以上のGNDプレーンを確保する必要があります。仮にGNDプレーンが短い場合は承認を通る確実性が低下します。効率が高いことは結果として微弱信号エリアでのバッテリーの消費を抑えることに繋がります。そのため、効率についてはインピーダンスマッチングや伝送電力、ノイズなど複数の要因が影響を与えます。

GNDプレーンの影響

一般的にPIFAのGNDプレーンについては、少なくとも最低動作帯域のλ/4にする必要があります。もしλ/4よりも短い場合、アンテナ効率に影響がでます。またこれにより放射電力にも問題が起こる可能性があります。

 

もしGNDプレーンがλ/4よりもはるかに長い場合は高い周波数に影響がでます。下記は異なったGNDプレーンでの効率の結果となります。

例えばGNDプレーンが107mmよりも長い場合は、GNDプレーンの幅を増やすことで調整補正可能です。これは決まった割合がないためユーザーのボードサイズに合わせての対応が必要です。また、GNDプレーンが70mmの場合、アンテナの性能として十分な能力を発揮できます。

 

PIFAアンテナはユーザのボード端に配置をする必要があります。電磁波はボードの最も長い側面に平行移動して、放射電力を増幅するためです。この配置対応を実施しない場合、アンテナ性能は著しく劣化します。

 

大きなGNDプレーンはリターンロスと効率を向上しますが、最大の最適長は107mmです。高効率のアプリケーションでは幅 45mm、長さ 最小70mmが必要です。

 

PCBのトップレイヤーのGNDは他のレイヤーのGND層に比べてアンテナ性能に大きな影響を与えます。また、GNDの強化のためにviaでトップ層、中間層、ボトム層を接続します。これらはあとで説明するコプレナー伝送線路にとって重要になります。

 

アンテナはトップレイヤーとボトムレイヤーに配置が可能です。それ以外の層についてはGNDにする必要があります。それが出来ない場合はviaで全てのレイヤを接続してください。

アイソレーション

アイソレーションとは異なった2つのアンテナ間の結合特性になります。例えば、MIMOアンテナの場合、1つ目と2つ目のアンテナのアイソレーションを-10dB以上取ることが理想です。一つの方法として偏波方向を異なる位置に配置する方法がありますが全方向性セルラーアンテナでは、これは困難のため、アンテナ間の距離をできるだけ離すことが大切です。

環境について

全てのアンテナはデバイスや筐体に近づけると電気的性能に影響があります。周りを囲まれている場所に配置する場合は最大の効率を得るためにGNDや他のデバイス、金属から20mmのスペースが必要です。これらのクリアランスが確保出来ない場合、アンテナ効率が低下して調整された周波数がシフトします。また近接効果もアンテナの放射パターンに悪影響を与えます。そのため、筐体には金属やEMIの吸収材料を使用しないで下さい。

 

PA.710.Aは周囲に3mmのクリアランスが必要になります。1mm以下はアンテナのディチューニングや放射効率の発生を引き起こします。

優位性

①小型かつ最小のフットプリントのためモバイル機器へ実装可能
②機械での搭載が可能
③伝送損失は最小限に抑えられて、類似品と比較しても大幅に改善
④アプリケーションノートのレイアウトに従う限り、他のアンテナと比較して放射スプリアスが削減
⑤垂直および水平偏波の両方で高いゲインを実現
 上記はワイヤレスアプリケーションに非常に役立ちます。指向性は決められておらず反射とマルチパス信号はどの平面からも発生します。
 この時に考慮すべき重要なパラメーターは合計の電界強度です。すべての水平および垂直からのすべての信号ベクトルの合計になります。
⑦高い品質と歩留まりを保証
⑧アンテナの設計コストは不要

コプレナー伝送線路

コプレナー伝送についてはGSMモジュールからGNDプレーン端までです。GNDプレーンの端からアンテナまではコプレナーではありません。これは50Ω±10%を維持するように調整します。

ここで提示された値については一例になりますので、実際は修正することを推奨します。選択したペアに応じて高さを合わせて50Ωを取得できます。

GNDプレーンの端にviaを打つことをお勧めします。これにより良好なGNDを確保でき、システムとして安全な50Ωを確保ができます。またviaによりシールド効果を有します。下記の図はコプレナー周りのviaの配置を示します。

マッチング回路

PIFAアンテナは他のアンテナに比べて離調しにくいアンテナですが、マッチングアンテナを調整するとアンテナ性能が改善します。PA.710.Aのマッチングには5.6nHの並列インダクターと4.3pFの直列コンデンサーで50Ωを実現します。

外部インダクターについて

PA.710.Aは50Ωのマッチングをするために2つの部品が必要です。最初の設定としては5.6nHの並列インダクターと4.3pFの直列コンデンサーから始めることを推奨します。この値についてはGNDプレーンのサイズに依存します。

マッチング回路の適切な選択

TaoglasはRF統合サービスを提供しています。顧客が私たちの製品を使用する場合、筐体とリファレンスPCBを使用できます。マグニチュードとスミスチャートの両方の形式でS11を提供できます。この演習で使用したマッチング回路等を利用して、アンテナの特性を調整できます。

部品取り付け

評価ボード全体のGNDプレーンのサイズは107mm×45mmです。(最大性能) また、アンテナエリア全体のサイズは120mm×45mmです。アンテナ部分は13mm×45mmになります。

制限事項

GNDプレーンがアンテナの端に来ないように必ず下図の緑線よりも下に配置してください。ここにはGNDプレーンの他に金属なども含まれます。

 

デバイスがGNDエッジ端に配置される場合は5mm以上のクリアランスを確保して、アンテナを長方形の短辺に配置することを推奨します。

お問い合わせ

本製品に関してご質問などありましたら、以下より問い合わせください。

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